北海道

悠遊舎閉館 其の後:札幌へ

二十四節気「処暑」七十二候「禾乃登(こくものすなわちみのる)」

 9月に入り秋の始まりを感じるようになって参りました。此処、札幌に於いては既に日中の気温は25℃前後が最高となり快適な夏の終わりを過ごしています。

 皆様に於かれましては如何お過ごしでしょうか。
 
 さて8月1日に悠遊舎を閉じてから約3週間に亘って慌ただしく引越しの荷造りに勤しみ、8月21日に札幌へと移住して参りました。此方へ来てからはずっと引越し荷物の荷解きやら新生活の準備やらで大わらわの毎日でしたが、9月に入ってから少しづつですが落ち着きを取り戻しつつあります。それでも完全に荷物の整理を終えるためにはギャラリーの再開を待つしかありません。愛知県に於いて開廊していた当時の常設展示作品の開梱は狭いアパートの一室では到底叶わず、暫くはダンボールの中で眠っていて貰うしかありません。勿論そうは言ってもネットでの通信販売は継続しておりますので、もし御所望の作品がありましたらお気軽にお問い合わせ頂ければ嬉しく思います。

 此処で少なからず皆様が疑問に思っておられるであろう「何故、札幌なのか?」について少し御説明したいと思います。

 5月のGW明けに突如決まった「悠遊舎閉館」、その後「どうしてもギャラリーを再開せねばっ!」と言う思いを実現するために、ありとあらゆる熟慮の末(意外に浅慮かも…f^_^;)札幌に移住することを決めました。

(1)刈谷から名古屋へ移転→家賃の高さに比べて果たして売り上げは如何か?
(2)刈谷から東京へ移転→大都会は自分のような田舎者には落魄れる要素満載
(3)刈谷から関西へ移転→
    関西在住の作家さんが他ギャラリーと競合してしまう可能性大
(4)刈谷から各地方都市へ移転→
    ギャラリーを再開するなら最低限「政令指定都市レベルの人口規模があること」が大事と考え、札幌、仙台、広島、福岡が候補に。仙台、広島は行ったことが無く余りに無知(広島は修学旅行で宮島と原爆記念館を見学はしましたが)。そんなこんなで福岡か札幌か?の二者択一となり寒い>暑いことから札幌に決めました。
 勿論「美味い」「安い」「広い」など他にも様々な理由がありますが、長くなるので此処では割愛致します。いつかギャラリーを再開した時にきちんと御説明致しますので、その時はに是非、札幌まで遊びにいらしてください。

 知っていましたか?実は札幌は名古屋とほぼ同規模の人口があるのです。一方で人口密度が低い。人の多いところがかなり苦手な自分にとっては理想的な街なのです。しかもどの都市からもアクセスが良い。例えば現在、札幌⇆名古屋の航空券は往復¥9,000(LCC)、所用時間も片道2時間弱だったりします。流石に日帰りは厳しいですが、観光がてら札幌へ足を運ぶのも一つの選択として”有り”ですよね。また各都市からも新千歳までは直行便が出ていることが多いですから、距離が遠いとは言えアクセスは悪くないと考えています。
 また札幌と言う街のブランド力も考えました。日本の都市で世界的に知られている街は東京、京都や大阪など多数ありますが札幌もその一つと考えています。特に北海道は世界の富裕層からも注目されていると言うニュースを耳にすることも最近よくありますし、確かに街を歩いていても海外からの観光客の人たちをよく目にします。そう言う意味でも札幌の持つポテンシャルは決して低くないと考えています。

 そうは言っても自分にとってはそんなに知り合いも多くなく、全くの新人としてやって来ましたので、初めからそう簡単に上手く行くとも思っていませんが、そこはほら、根っからの能天気さで乗り越えて行こうと思っています。気付いたら「愛知でこっそり再開していた(汗)」と言うことの無いよう頑張りたいと思っています。
 早ければ2019年中にもギャラリーを再開出来るよう今から画策しております。その時には必ず御連絡を差し上げますので、それ迄の間どうぞ暖かく見守りください。

 札幌の街に住んで未だ少ししか時間が経っていませんが、北海道人の印象は「親切で優しい」。あと何故だか「散髪屋が矢鱈と多い」。昨日も最寄りの駅まで1kmほどの道のりを歩いたのですが、途中に目に付いただけでも5~6軒の床屋がありました。この理由も誰方か御存知の方がいらっしゃいましたら教えて頂けると嬉しいです。

 季節の変わり目ですのでお身体を御自愛ください。
 今後とも宜しくお願い申し上げます。

雪の北海道へ、あくまでも出張です。

2018年3月21日(水)

二十四節気「春分」七十二候「雀始巣(すずめはじめてすくう)」

3月も終わりに近づいたと言うのに、未だに花粉症の症状が出ずにいます。
今年は花粉量が少ないと言う話は聞いていませんが、
それでも何故か症状が出ないのは自分の友人に言わせれば、
「もしかすると北海道に行っていたからなのでは?」とのこと。
そうなのです、3月の初めに北海道へ行って参りました。

 3月4日(日)の早朝から、昨年秋から中部⇄札幌に就航したAir Asiaを利用して3日間の滞在でした。往復で9,000円と言う何とも有難い価格設定。これは「北海道へ行けっ!」と言う神様の思し召し…と言うことにして、まだ雪の残る真冬の北海道へ旅立ったのでした。行きの便では富士山が澄んだ空気の中とても綺麗に見えて得した気分です。

 本当は札幌在住の作家さんに御挨拶したかったのですが、お忙しくされていることもあって今回は会えず仕舞い。仕方なく昼前に札幌駅に到着してから、先ずは駅前の食堂にてランチ→1回目の海鮮丼。冬の北海道と言えばやはりこれを忘れる訳にはいきません。新鮮な海の幸を手軽に楽しめるのも北海道ならではです。
 その後は観光も兼ねて定山渓温泉に日帰り入浴して来ました。今年に入ってからの初温泉は大雪の中の露天風呂など、なかなか趣のある冬景色が堪能出来ました。
 その夜は札幌駅近くのホテルで明日の音威子府行きに備えます。

180305_otoineppu_01
 北海道の2日目、今回の北海道出張の目的は音威子府に行くことでした。
 音威子府村(おといねっぷむら)は札幌から特急列車で3時間以上、旭川を経由して宗谷本線で北へ一路、稚内よりも南に位置する北海道で一番小さい村です。人口は800人、御多聞に洩れず高齢化が進んでいますが、音威子府が特徴的なのは、一方で高校生が120人住んでいるのです。北海道おといねっぷ美術工芸高等学校が村内にあり、この高校は美術教育に於いて有名で、全国からこの高校を目指してやって来る生徒がいるのだそうです。ちっとも知らなかった!
 そしてこの高校を10年ほど前に卒業し、その後、京都伝統工芸大学校で木工芸を学び、現在は音威子府へ戻って働きながら木彫をしている福田亨氏に会いにここまでやって来ました。
 札幌駅を出発したのは7時30分、旭川までが約90分、旭川を出てからはとにかく雪雪雪、途中、落雪を心配して列車が徐行運転するなど、雪国の大変さを身に沁みて感じながら、それでもこんなところへ来る機会はそうそうあるものではありません。そのことに寧ろちょっとしたワクワク感を感じながらの道中でした。
 20分ほど遅れて音威子府に到着したのは11時過ぎ、雪はそれほど強くは降ってはいませんでしたが風のない曇天の静かな村です。氷点下まで下がってはいませんでしたが、それでも気温は0℃近く、ピンと張り詰めた空気を感じます。小さな田舎の駅まで福田亨氏に迎えに来て貰って、雪が3mほど積もっている雪道をごとごと揺られながら、彼の仕事場でもある村営の木の体験施設「木遊館」へ。
 初めてお会いする福田亨氏は20代後半、礼儀正しく落ち着きを感じる青年でした。
 彼はここで木工のインストラクターをしながら創作活動に励んでいます。彼の生み出す作品、自ら「立体木象嵌」と名付けた技法を使って彫刻作品を創っています。
 象嵌はもともと金工などでよく見られる技法の一つで、模様を刻んだ溝などに他の素材を嵌め込んで文様を描き出す技法です。福田氏は土台となる木に細かい溝を彫り込んで、そこに自ら見つけ出して来た違う木の素材を嵌め込んで、植物や虫などの彫刻作品を制作しています。
 その作品は非常に精密な技術を必要とし、また素材となる木には一切の着色を施さずに制作するため、例えば赤い花弁を表現するために赤い木の素材を探して森に入ったりすることもあるようです。北海道の原野のど真ん中に位置する村でもあるため木の材料には事欠きませんが、それでも自分の表現にぴったり来る素材を見つけるのは至難の技でしょう。そう言った彼自身のこだわりが作品に格調を与え、まだ若い作家であるにも関わらず作品の持つ静謐な、それでいて強い存在感を感じさせるのかも知れません。
180305_otoineppu_03
 木と言えば自分のような勉強不足の人間からすれば、素材でそんなに大きな違いがあるとは思えなかったのですが、木それぞれに柔らかさ、手触り、そして色の違いがあり、思っていた以上に様々な表情を持っていることに気付きます。福田氏が木の素材を保管している引き出しの中なども見せて貰ったのですが、例えば緑色をした木があって、これは緑青腐れ菌と言うきのこの仲間が木を分解するときに青緑色の色素を出すことで、木そのもが変色してしまうのだそうです。そういった様々な表情を持つ木を集めて来ては、象嵌と言う技法で作品を生み出している福田氏の作品は非常に緻密な細工、技術の元に達成される境地にある作品です。
180305_otoineppu_02
 悠遊舎ぎゃらりぃで3月31日(土)から開催される「木霊する場所 木の造形展」にて、彼の作品を紹介することになっています。宜しければ福田氏の生み出す小さな宇宙を体感しにいらしてください。尚、3月31日(土)には福田氏が音威子府村からはるばる在廊してくれることになっていますので、この機会に是非、足をお運びください。
 15時過ぎには特急にて音威子府を出発し、旭川で乗り換えて札幌に到着したのは19時頃。途中、雪景色をうっすらと夕陽が照らしてその綺麗だったこと!雪の大変さは想像が尽きますが、それ以上にその美しさも堪能出来た旅でした。

 北海道の3日目、名古屋への帰りの便は19時30分だったので、それまで小樽でのんびり過ごすことにしました。勿論、小樽といえば硝子の街ですし色々と勉強も兼ねてのことですが…
 小樽へ来たのは10年以上振り、こぢんまりとした中に歴史的建造物や美味しいグルメなども目白押しでとても好きな街です。駅を降りてから先ずはひたすら海へ、煉瓦倉庫街の手前を右に折れて「大正硝子館」へ向かいます。「月下美人」と言うとんぼ玉専門のギャラリー&ショップへ。そこは悠遊舎ぎゃらりぃでもお付き合い頂いている川北友果さんが何度か個展をされているギャラリーで、御挨拶も兼ねて伺いました。
 「月下美人」は若い女性の店長さんが一人で切り盛りしていて、かなり精力的に活動されている印象でした。取り扱っている作家さんもとても質が高く、本当に良い作品を取り揃えてみえるギャラリーでした。また小樽に行くことがあれば遊びに行かせて貰おうと思います。
 「月下美人」を出て、取り敢えず昼食を取ろうと駅前の三角市場へ。ここまで来たら再びの海鮮丼しかないでしょう。市場の中の滝波食堂さんにて並ぶこと30分、美味しい美味しい雲丹とイクラと蟹のわがまま丼を頂きました。実は音威子府でお会いした福田亨氏はもともと小樽の出身、彼のお母様の知り合いの食堂でした。そのお陰で蟹汁のサービスをして貰ったりと人の縁とは有難いものです。その後、商店街の中にある「あまとう」と言う老舗の和洋菓子屋の2階で善哉を頂いて、16時30分小樽発千歳行きの列車にて空港へ。
 空港で山ほど土産を買い、じゃがぽっくるは3箱(でも本当はもっと買いたかった(T_T)、ルタオやらマルセイバターサンドやら…そして最後に念願のジンギスカン丼を晩飯に食して北海道を後にしました。

 今回の旅で思った以上に北海道を身近に感じることが出来ました。まだ秋冬の北海道しか経験がないので、次には春夏の北海道を堪能しに戻って来たいと思います。

●▲▼◆■★●▲▼◆■★●▲▼◆■★●▲
悠遊舎ぎゃらりぃ
〒 448-0804
愛知県刈谷市半城土町大湫99-3 悠遊舎1階
tel (0566)61-0321 / fax (0566)61-0321
http://www.you-yuusya.com
http://blog.livedoor.jp/you_yuusya/
https://www.facebook.com/YOU.Yuusya/
●▲▼◆■★●▲▼◆■★●▲▼◆■★●▲

増原嘉央理 略歴

増原嘉央理

1985 北海道に生まれる

2004 英国留学
2008 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科陶磁コース 卒業
   平成19年度 武蔵野美術大学卒業制作 陶磁賞
   第46回 朝日陶芸展 入選
2009 第29回 長三賞現代陶芸ビエンナーレ 入選
   めし碗グランプリ展 工藤良健 審査員特別賞
   第62回 瀬戸市美術展 奨励賞
2010 瀬戸市新世紀工芸館セラミックコース 修了
   めし碗グランプリ展 優秀賞
   第40回 ながさき陶磁展 インテリア・工芸部門 最優秀賞
2011 北海道にて制作を開始
   第21回 日本陶芸展 入選
   第30回 長三賞常滑陶芸展 入選
2012 そば猪口アート公募展 安曇野市教育委員会賞
   めし碗グランプリ展 山本信審査員特別賞
   第3回 帯留コンテスト 山中審査員特別賞
   第5回 菊池ビエンナーレ 入選
2013 第6回 織部現代陶芸展 入選
   2013工芸都市高岡クラフトコンペティション 入選
2014 第2回 陶美展 入選(’16)
2015 第23回 日本陶芸展 入選
2016 第56回 東日本伝統工芸展 朝日新聞社賞

堀内亜理子 略歴

堀内亜理子

北海道に生まれる

1998 秋田公立美術工芸短期大学専攻科 修了
2000 岩手県安代町漆器センター 研修修了
カテゴリー