2008年03月05日

留学させてあげる・留学してもらう

先週、日本語学校の生活指導担当者・事務担当者(募集担当者を含む)の研修に参加しました。

現在、日本語学校は厳しい時期を迎えています。

福田首相によって留学生30万人計画が出されたものの、入管からの留学生の在留許可を得るのが、難しくなっているのです。

一時期、日本語学校から不法滞在者が続出し、社会問題にもなりました。

それを受けて、入国に関する審査も厳しくなり、日本語学校からの不法滞在者は減少してきました。

しかし、留学生の受け入れ時点での選抜こそが、不法滞在や犯罪を減らす方法だという方針がとられています。簡単に言えば、「賢く、お金を持っている学生を入れましょう」ということです。

福田首相の留学生30万人計画なんてのは、どこに行ってしまったのだろうね。
短期留学を増やして、それを30万人に加えようかなんていう議論もなされているとかいないとか。

今回の研修でも、どうやって賢い学生を確保するのか、選抜の基準はどうするのか、などの情報交換がありました。

そこで、いろいろな意見が出ました。

小さい学校や、新規の学校は、まず経営を安定させるために、定員を満たすことが大切になり、学生の質を考えたり、選抜(もちろん入管を通る範囲で)するのは、二の次だという意見。

賢い学生と入管は言うけれど、中国では本当に賢い学生は、アメリカやヨーロッパに留学し、日本に来るのはその次のレベルが多いという意見。

そして、本当に賢い学生を日本へ留学させたいなら、学割(通常の日本語学校の学生には発行されない)、住居、奨学金などをしっかり整備しなければならない。もちろん、文部科学省やその他の団体にも関係するのだが、日本語学校にばかり、全てを押し付けるのは間違っているのではないかという意見が出ました。


結局、フィリピンの看護士さん・介護福祉士さんの問題も同じです。

・来日して、日本語の学習は半年のみ。
・看護士は3年、介護福祉士は4年以内に日本の国家資格を取得しなければならない。(ビザの更新ができなくなる)

このような厳しい条件の中で日本へ来たいと思う人たちは多くはありません。

その中で、日本へくるのは、やはりアメリカやヨーロッパに行けなかった人たちが、必然的に多くなるはずです。

ちなみに英語が通用するカナダでは、永住権がもらえるそうです。


結局、「来させてあげる」か、「来てもらう」かの違いなんですね。

看護士・介護福祉士の場合は、現在日本では「働かせてあげる」という発想です。
まだ切羽詰っていないから「来てください」の発想になっていないのです。

留学の場合も、少子高齢化、人・物・金のグローバル化を考えれば、将来的に優秀な頭脳、人材を確保するという目標を立てなければなりません。

そうした場合、(賢い)留学生にも「来てもらう」という発想が必要なのではないでしょうか。


「留学させてあげる」か「留学してもらう」か、この違いが日本語学校のみならず、日本の将来に大きな違いを生み出すのではないかと思ったのでした。


you_zero2467 at 01:00│Comments(1)TrackBack(0) 日本語教育 | 日本

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この記事へのコメント

1. Posted by 悟空   2009年05月11日 15:18
おっしゃる通りです。

近年の出生率も100万人前後だと思いますが、我々団塊の世代では230−250万人位、ほぼ2−2.5倍であったのではないかと。

もう既に来ていただきたいというべき時代に入ったと認識せずにはいけないわけで。

世界で使われることの少ない日本語、韓国語などの国家は英語圏、中国語圏、スペイン語圏などに比べ外部から移り住むには明らかにハンディーがあります。

韓国語よりも更に書く漢字、読む漢字などが特に難しく、日本の閣僚でも学者でも読みきれない、使い切れない言葉、慣用句が一杯あります。

介護士試験なども、外国人向けにはひらがなだけでもいいのではと思いますが。

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