人間にとって、最も幸せなことって何だろう。
人間にとって、一番大切なことって何だろう。

それはきっと、自分が最も愛する人のために、自らの命を削ること。
それはきっと、自分の一番大切な人のために、自らの命を捨てること。

俺にとっても、そうだった。

・・・

産まれてから今日までの間、俺が一番幸せだったのは、かみさんの闘病中だったかもしれない。
言うまでもなく、かみさんの闘病中は、俺にとって、最も辛い日々でもあったのだが…

最愛の人を喪ってしまうかもしれない。
この世界で、俺にとって一番大切な人を亡くしてしまうかもしれない。

そうした恐怖に苛まれつつも、かみさんに不安を与えたくない。
死の恐怖から、かみさんを守りたい。
かみさんを不安にさせないために、俺は自分の恐怖を抑圧し続けた。

本当に辛くて苦しい日々だった。
かみさんを助けたい、守りたい。

治療のためならカネには糸目をつけない。
俺の体力や精神力にも糸目をつけない。

「かみさんを守る」
そのことだけを考えて、その他のすべてを捨てた。

・・・

それはとても濃密な時間だった。
あらゆるものを捨てて、かみさんのためだけに尽くす。
自分の命をすり減らし、かみさんに尽くす。

それは苦しくても、辛くても、悲しくても、それでも幸せな時間だった。
かみさんと俺との絆が、最も強く結ばれた時間。
それは、ある意味で、幸せな日々だった。

・・・

人間にとって、最も幸せなこと。
それは愛する人のために尽くせる時間なのかもしれない。

愛する人に尽くすこと。
それは人にとって、最も幸せなことなのかもしれない。

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