会社からの帰り道。
俺はいつでも俯いていて、地面を見つめながら、とぼとぼと歩いている。
かみさんが亡くなってから、地面は俺の友だちだ。
あまりにも深い哀しみと、押し潰されそうな寂しさで、
心と体が重たくて、俺の視線は自然と地面に吸い寄せられる。
かみさんが元気だった頃の俺、颯爽と足早に歩いていた俺、いつでも前を向いて笑顔で歩いていた俺は、
もうこの世には存在しない。
だが時折、俺は何気なく視線を上げる。
そこには、かつて、かみさんと二人で一緒に見た風景が広がっている。
・・・
かみさんと一緒に歩いた道、かみさんと一緒に入った店、かみさんと一緒に立ち止まって眺めた場所。
それらの風景を見た瞬間、かみさんと俺の、暖かくて幸せな想い出が、走馬灯のように蘇ってくる。
あの時、この店でビールを買ったっけな…
あの時、かみさんと並んで歩きながら、あんな会話をしたっけな…
あの時、かみさんと一緒に散歩をして、あそこの道を歩いたっけな…
たくさんの想い出が、俺の頭の中を駆け巡る。
そして気づくのだ。
かみさんと俺は、いつでも一緒だったんだな…と。
・・・
そうだ。
かみさんと俺は、いつでも一緒だったんだ。
かみさんの横には俺がいて、俺の横にはかみさんがいる。
ごく普通の日常の風景でありながら、その普通の風景の中にこそ、たくさんの幸せが詰まっていたのだ。
それなのに、かみさんは今、俺の横にいない。
かつて、かみさんがいたはずの空間は、もはや空っぽだ。
その空っぽの空間に、かみさんの姿を想い描く。
そこにはいないかみさんの姿を、まるで今でもいるかのように想い描く。
そんなとき、涙がこみ上げてくる。
その場で泣けたら、どんなに楽だろうとは思うものの、
さすがに中年の親父が泣きながら歩いていたら不気味だろう。
だから俺は、歯を食いしばり、空を見上げ、涙が溢れるのを堪える。
想い出の風景を眺め、亡きかみさんに想いを馳せつつ、俺は家路を急ぐ。
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俺はいつでも俯いていて、地面を見つめながら、とぼとぼと歩いている。
かみさんが亡くなってから、地面は俺の友だちだ。
あまりにも深い哀しみと、押し潰されそうな寂しさで、
心と体が重たくて、俺の視線は自然と地面に吸い寄せられる。
かみさんが元気だった頃の俺、颯爽と足早に歩いていた俺、いつでも前を向いて笑顔で歩いていた俺は、
もうこの世には存在しない。
だが時折、俺は何気なく視線を上げる。
そこには、かつて、かみさんと二人で一緒に見た風景が広がっている。
・・・
かみさんと一緒に歩いた道、かみさんと一緒に入った店、かみさんと一緒に立ち止まって眺めた場所。
それらの風景を見た瞬間、かみさんと俺の、暖かくて幸せな想い出が、走馬灯のように蘇ってくる。
あの時、この店でビールを買ったっけな…
あの時、かみさんと並んで歩きながら、あんな会話をしたっけな…
あの時、かみさんと一緒に散歩をして、あそこの道を歩いたっけな…
たくさんの想い出が、俺の頭の中を駆け巡る。
そして気づくのだ。
かみさんと俺は、いつでも一緒だったんだな…と。
・・・
そうだ。
かみさんと俺は、いつでも一緒だったんだ。
かみさんの横には俺がいて、俺の横にはかみさんがいる。
ごく普通の日常の風景でありながら、その普通の風景の中にこそ、たくさんの幸せが詰まっていたのだ。
それなのに、かみさんは今、俺の横にいない。
かつて、かみさんがいたはずの空間は、もはや空っぽだ。
その空っぽの空間に、かみさんの姿を想い描く。
そこにはいないかみさんの姿を、まるで今でもいるかのように想い描く。
そんなとき、涙がこみ上げてくる。
その場で泣けたら、どんなに楽だろうとは思うものの、
さすがに中年の親父が泣きながら歩いていたら不気味だろう。
だから俺は、歯を食いしばり、空を見上げ、涙が溢れるのを堪える。
想い出の風景を眺め、亡きかみさんに想いを馳せつつ、俺は家路を急ぐ。
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