いつか迎えに来てくれる日まで

数年前の6月27日、たった一人の家族、最愛の妻を癌で喪った。独り遺された男やもめが「複雑性悲嘆」に喘ぎつつ、暗闇の中でもがき続ける日々の日記。

2018年02月

たぶん生きることに意味なんて無い。
俺に限ったことではなく、
人間なんて、みんながそうなんだ。

産まれてきてしまった以上、
生きるしかないだけのことだ。
死への恐怖が本能に組み込まれている以上、自ら命を断つことが難しいだけのことだ。
この世に「生」
を受けてしまった以上、どんなに死にたくても簡単には死ねないんだ。

たとえ人生が無意味であろうとも、どうせ死ねないのなら、
幸せに生きたいと願うのが普通だろう。
いつかは必ず死ぬけれど、
死ぬまでの間くらい、幸せに暮らしたいと思うのが当然だろう。

そうやって、誰もが幸せの源泉を探すんだ。
俺にだって、
幸せの源泉があったんだ。

だが、ようやく手に入れたのに、
幸せの源を失ってしまうことだってある。
世界で一番大切なモノを失ってしまうことだってある。

自分にとって、最も大切なモノを無くしたら、
幸せになるための努力はおろか、ただ生きていることにさえ絶望してしまうことだってある。

そんな人、自分の身近にはいないよ…と思う人も多いだろう。
以前は俺の身近にも、そんな人はいなかった。

だが、ある日突然、
俺自身が「そんな人」になってしまった。

・・・

今の俺は惰性で生きている。
本当
は死にたいけれど、死ぬ勇気が無いから生きている。

そんな俺にとって、毎日は苦しみの連続だ。
そんな俺にとって、
人生は拷問のようだ。
今すぐ逃げ出したいのに、
逃げ道なんてありはしない。

いつだって哀しいんだ。
いつだって寂しいんだ。

いつだって苦しいんだ。
いつだって痛いんだ。

それでも俺は、
死ぬことなんてできないだろう。
本能が俺を拘束し、
俺を生かし続けるんだ。

だけど…
俺は本当に哀しいんだ。
俺は本当に痛いんだ。

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久しぶりに泣きたくなってしまった。
切なくなって、やるせなくなって、俺はボロボロと涙を溢してしまった。

きっかけはハッキリしている。
かみさんが元気だった頃、彼女が俺にくれたメールを読んでしまったからだ。

最も古いメールは、平成20年2月4日のものだった。
その日、
かみさんからもらったメールの文面は、「東京マラソン?」
いま読んでみると、意味が分からない。

この時いったい、
かみさんと俺は、どんな会話をしていたんだろうか。
二人で一緒に東京マラソンを観に行こう!なんて話をした覚えはないし、俺が東京マラソンに出てみようかな…なんて言った記憶もない。

あの時いったい、
俺たち二人はどんなやり取りをしていたんだろう…と考えていた。
すると、俺は好奇心に駆られしまい、かみさんが送ってくれたメールのすべてを読みたくなってしまった。

俺はかみさんがくれたメールを一通ずつ、ゆっくり時間を掛けて読み始めた。

・・・

改めて読み直して気づいたことがある。
かみさんは毎日メールをくれていたんだ。
しかも、
一日に何度もメールをくれていたんだ。

メールの内容は他愛もない。

今日は何時頃に帰れそう?だとか
今日の夕飯は○○だよ~だとか
今から買い物に行ってくるね~
だとか…

そんなメールが一日に何度も来ていた。

当時はLINEなんて無かった。
だから、かみさんはいちいちメールを打ってくれていたのだろう。

かみさんは専業主婦だった。
友だちとランチに行く約束でもなければ、かみさんはひとりぼっちだ。

きっと寂しかったに違いない。

・・・

かみさんのメールを読んでいると、
かみさんが今でも生きているような気がする。
それはとても心地の好い瞬間だ。

だが、心地好いのは一瞬だけだ。

俺はすぐに現実を直視する。
かみさんは死んじゃったんだ…という現実が、俺の頭をぶん殴る。
そして、俺の足元が崩れていく。

メールを読めば、今でも生きているような気がするが、
やっぱり彼女はいないんだ。
かみさんの存在がリアルに感じられるのに、やっぱり彼女はいないんだ。

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話しかける相手がいない。
話しかけてくれる相手もいない。

誰かの視線に温もりを感じることもない。
誰かの気配に包まれることもない。

周囲の空気が凍てついている。
何もかもが動かない。

やっぱり休日はツラい。
いまだに俺は、
独りぼっちの休日に慣れることができない。

・・・

休日だからといって、ダラダラと過ごしているわけではない。
俺には「主夫」としての仕事がある。

かみさんにお供えをしてあげなくてはならない。
仏壇もきれいにしてあげなくてはならない。
その他、掃除や洗濯、
ゴミ捨て等々、やらなきゃならないことはいっぱいあるのだ。

だが、最低限の家事は別として、「やらなくてもいいこと」
までやっているような気がする。
無理やり「
やらなきゃならないこと」を探し出し、身体を動かしていないと落ち着かないのだ。
本当は暇なのに、
無理やり忙しくすることで、心のザワつきから目を反らしているのだろう。

だが、
それにも限界がある。
やらなきゃならないことが無くなると、
俺は呆然としてしまう。

そして心がザワつくんだ。
落ち着かなくなるんだ。

・・・

ザワつきを抑える方法は2つある。

1つめの方法は、睡眠薬を飲むことだ。
睡眠薬を飲むと、あっ
という間に緊張感が抜けていき、穏やかな気分になることができる。
心のザワつきから解放されるせいか、ある種の快感が伴う。
だが、
この方法は就寝前にしか使えない。

2つめの方法は、
朝からウィスキーやブランデーなどの強い酒を飲むことだ。
肝硬変の身にとっては自殺行為かもしれないが、かりそめの穏やかさを手に入れることはできる。

・・・

つい先日のこと。
俺の友人が言っていた。
ひとりぼっちになりたいな…

その人には配偶者のほか、
2人の娘さんがいる。
その友人は、
娘さんたちが独立したら離婚して、ひとりぼっちになりたいのだそうだ。

俺には友人の気持ちが理解できない。
俺は「独りぼっち」
に耐えられるような人間ではないからだ。

いや…
違うかもしれない。
かみさんと出逢う前、
俺はひとりぼっちでも平気だったはずだ。
ひとりぼっちになる機会は少なかったが、俺はひとりぼっちを楽しんでいたはずなんだ。

そうだ。
俺は知ってしまったんだ。
かみさんが俺に教えてくれたんだ。

世界で一番大切な人と寄り添うこと。
それがどんなに幸せなことなのか。

せっかくかみさんが教えてくれたのに、
かみさんは死んじゃったんだ。

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生きることを教えてくれた あなたを忘れないよ 
かけがえのない愛の形見に さみしさは似合わない 
そっと微笑む にじむ夜を 抱きしめ 

あなたはいつだって 私のそばにいる 
目に見えぬ力で 心を震わせる 
いつかまた きっとまた めぐり会う時まで 少しだけのさよなら 

触れることは もう叶わない 
でもいつも感じてる 私たちが生きた証を 
唇に言葉を乗せ あなたのかわりに 歌おう 声の限りに 

私たちはみんな どこから来たのだろう 
命の船に乗り どこへと行くのだろう 
あなたから私へと 想いを繋ぐために 

悲しまないで うなだれないで 振り向かないで 
怖がらないで とどまらないで 
諦めないで 生きて行きたい 
あなたのように 

あなたはいつの日か ふたたびよみがえり 
永遠のどこかで 私を待っている 
たましいは決して 滅びることはない 

いつかまた きっとまた めぐり会う時まで 少しだけのさよなら 
たくさんのありがとう 少しだけのさよなら



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あまりにも激しい「悲しみ」が、俺の頭を叩きのめす。
次から次へと噴き出す「悲しみ」が、俺の心と身体をと切り裂く。
俺は痛みに耐えきれず、虚空に向かって泣き叫ぶ。

そういうことは、だんだんと減っていく。
その代わり、
静かだけど、とても深い「哀しみ」が、俺を満たすようになっていく。

静かだけど、深い「哀しみ」
で心がいっぱいになったとき、遺された者は「絶望」の中にいることに気づく。
今現在をやり過ごし、
未来には何の希望もない。
死ぬまでの時間を浪費するだけだ。

かみさんのいない日々に意味が見い出せない。
かみさんがいないから、未来に目的が見い出せない。
無意味な余生だけが残された。

かみさんの死と同時に、俺の半分も死んだんだ。

・・・

あまりにも大きくて激しい「悲しみ」から、静かだけど深い「
哀しみ」への変化。
考えようによっては、死別からの「立ち直り」
なのかもしれない。

だが、「立ち直り」の先にあるのが「絶望」
なのだとすれば、いったい何のための「立ち直り」なのか。

それとも何か?
この世界で一番大切な人を喪い、
独りぼっちになってしまった奴は、死ぬまで「絶望」の中で
もがき続けなければならないのか?
静かだけど、深い「哀しみ」の中で、溺れ続けていかなければならないのか。

絶望だ。
俺の視
界には絶望しかない。

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