やっぱり俺は、普通じゃない。

早朝に起床し、
かみさんに線香をあげる。
バルコニーに出てタバコを吸う。
部屋に戻って、かみさんにお供えをする。
洗濯機を回しながら床掃除をする。
そして洗濯物を干す。

そこまではいい。
だが、その後はやることが何もない。

見るともなしにテレビを見ているが、次第に心がザワついてくる。
だんだん心が落ちていき、不安感が強くなっていく。
そのくせ無気力になってしまい、身体を動かすこともできやしない。

この感覚には耐えられない。
抗鬱剤と抗不安剤を飲み、その後はウィスキーに溺れる。

すると、
心と身体が弛緩していき、俺は眠りに落ちる。
一時的な安息の時間だ。

だが、数時間もすれば目が覚めて、
再び苦痛に襲われる。
夜が来るまで耐え忍び、
睡眠薬を飲んで寝てしまう。

俺の休日は、いつだってこんな感じだ。

・・・

俺は堕落した。
だが、
かみさんが亡くなった直後はこんなに堕ちてはいなかったはずだ。

あの頃、俺には「やるべきこと」がたくさんあった。

かみさんの葬儀をすること。かみさんの位牌を作ること。
四十九日や百箇日、一周忌の法要をすること。香典をくれた人たちにお返しをすること。
手元供養をするために「
遺骨ペンダン」を手に入れること。「生前戒名」を付けてもらうこと。
かみさんと二人で眠るための「永代供養墓」を買うこと。
財産を義弟たちに遺贈するため、公証役場で「遺言公正証書を作ること。
自宅の中をかみさんでいっぱいにするために、
かみさんの写真を壁全体に貼ること。

泣きじゃくりながらだったけど、俺はすべてをやり終えた。

そうだ。
あの頃は今より活動的だったのだ。

とめどもなく涙が噴き出したけど、
それでも身体は動いてくれたのだ。
どんなに悲しかろうと、
かみさんのために「やるべきこと」があれば、心も身体も動いてくれたのだ。

・・・

今の俺には「やるべきこと」
がない。
せいぜい、かみさんに線香をあげ、
お供えをしてあげられるだけだ。

きっと、「やるべきこと」
のない奴は、どこまでも堕ちていくんだ。

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