かみさんが元気だった頃。
俺の一週間は、
月曜日の朝にスタートして、金曜日の夜にゴールを迎えた。

スタートからゴールまでの間はキツい。
肉体的な疲労感もさることながら、精神的なストレスが半端じゃない。

障害物もたくさんあるし、
アップダウンがとても激しい。
苛烈な競争の中、
俺は必死で先頭を走っているが、足を引っ張る奴だって少なくない。
俺に伴走してくれる人たちも、
一生懸命に頑張ってくれるが、相当にキツそうではある。

だが、俺は「短距離ランナー」
だ。
全力で走らなければならないのは、
月曜日の朝から金曜日の夜まで…という短い時間だけだ。

ほんの少しの間だけ辛抱すればいい。
金曜日の夜までの間だけ、
全力で走り抜ければいい。

ゴールはいつだって視界に入っている。
しかも、ゴールの向こう側には、
かみさんが笑顔で待っている。
必死で走る俺に向かって、
かみさんが手を振ってくれている。

そして…
ゴールに飛び込んだ瞬間、俺はかみさんを抱きしめるんだ。

・・・

俺は「短距離ランナー」だ。
月曜日の朝から金曜日の夜までならば耐えられる。

だが。
かみさんが死んじゃった。
その日から、
俺はゴールを失ってしまった。

金曜日の夜になっても、
そこは俺のゴールじゃない。
そこにはかみさんがいないんだ。
だから俺は、金曜日の夜を迎えても、走り続けなければならない。

かみさんが亡くなって以来、休息を取る暇は無く、憩いの時間も無く、俺はずっと走り続けている。
自分の意志に関わらず、俺は「長距離ランナー」になってしまったのだ。

伴走してくれる人はおろか、
周囲に人影さえ見えやしない。
遠くを見渡してみても、
ゴールは視界に入ってこない。

いったい、
いつまで走り続けなければならないんだろう。

さすがに疲れた。
俺は本当に疲れてしまったんだ。

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