かみさんを看取った日から約1か月の間。
俺は眠れない日々を過ごしていた。

早めに床には就くのだが、
朝まで一睡もできなかった。
よっぽど神経が昂っていたんだろう。

俺は布団を頭から被り、全身を震わせて咽び泣いていた。
あるいは、かみさんの姿を想い浮かべつつ、虚空に腕を伸ばして泣き叫んでいた。

そうしているうちに朝が来てしまい、疲労を溜め込んだままの身体で出勤していた。

かみさんを亡くしたばっかりで、俺の心と身体はボロボロだった。
せめて睡眠を取りたかった。
心身を休める時間が欲しかった。

俺は心療内科の門を叩き、睡眠導入剤(ハルシオンとレンドルミン)を処方してもらった。
その日以来、
俺はようやく眠れるようになった。

あの1か月間は、
確かに地獄のような日々だった。

・・・

あの時期の経験があるためだろうか。
俺は眠れないことに恐怖心を抱くようになった。

かみさんが元気だった頃だって、たまには眠れない日もあったはずだ。
だが、そんな日には、
良い意味で開き直ることができていた。
眠れなくても別にいいじゃん!…と受け入れることができたのだ。

だが、今は開き直ることができない。
焦燥感がハンパじゃない。

あの1か月間の記憶が、俺の中にトラウマとして残っているのだ。
俺は眠れない夜を過ごすことが怖いのだ。

・・・

10月10日の夜から10月11日の早朝にかけて。
俺は一睡もすることができなかった。
睡眠薬を飲んでいたためか、
多少はボンヤリしたのだが、眠りに落ちることはできなかったのだ。

7時間もの長い間、
布団の中で物思いに耽っていた。
意識がボンヤリしていたせいか、
自分の意思とは無関係なイメージばかりが頭に浮かんだ。
心の深層に隠れたモノが、意識の中に浸透してきていたのだろう。

不快だった。
苦痛だった。
淋しかった。

俺は自分が世界の片隅にいることを自覚した。

・・


眠れなくても別にいいじゃん!
かみさんが元気だった頃ならば、
眠れない夜もやり過ごすことができたはずだ。

俺は、
そんな自分を取り戻したいと思っている。
これからだって、
眠れない日は頻繁にあるはずだからだ。

だが…
俺にとって、
眠りは唯一の救いなのだ。
眠りに落ちることが、
俺を現実から遠ざけてくれるのだ。

無防備な意識のままで、
残酷な現実と向き合い続けること。
それは人を狂わせる。

眠りによって、残酷な現実から目を背ける時間があったからこそ、かみさんを喪ったあとも、俺は何とか生きてくることができたのだ。

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