かみさんが死んじゃった。
俺の最愛の人が死んじゃった。
たったひとりの俺の家族が死んじゃった。

あの瞬間、俺の世界は足元から崩れ去った。

俺はすべてを諦めた。
俺は自分の人生も終わったんだ…と思った。
あとは朽ち果てるのを待つだけだ…と思った。

それなのに…
俺は心の底で、「終わり」を受け入れることができずにいたらしい。
いまだに「高み」を目指したい…という俗っぽい欲望が残っているようなのだ。

その欲望は、与えられなかったモノを手に入れようとする衝動だ。
奪われてきたモノを取り戻そうとしているだけなのだ。

そんな欲望は棄ててしまったほうがいい。
そうすれば、今より少しは楽に生きられるはずだ。

だが…
俺は自分が暗い欲望に支配されているということに
まったく気づいていなかった。

成功を続けてきた末に、俺は突然、失敗をしてしまった。
その失敗によって、俺はようやく自分が俗っぽい欲望に縛られていることに気づいたのだ。

失敗自体が問題なのではない。
俺が今でも俗っぽい欲望を隠し持っている…ということが問題なのだ。

決して叶えられない欲望は、俺の中でルサンチマンとして蠢いている。
そして、毒を撒き散らし、他人を傷つけ、俺自身をも傷つけているのだ。

俺は頭の片隅で思っていたようだ。
すべては完璧でなければならない…と思っていたようなのだ。

これは、誰かによって課された義務ではない。
俺が俺自身を拘束していただけだ。

俺が「高み」を目指すこと。
かみさんは、そんなことを俺に望んでいなかった。
かみさんは、そんなことを俺に強制しなかった。
俺が勝手に自分を縛り、勝手に「高み」に昇ってしまっただけだ。

かみさんがいたら、きっと俺に言うだろう。

そんなに頑張らなくたっていいじゃん。
たまにはゆっくりすればいいじゃん。

完璧じゃなくたっていいじゃん。
ダメだっていいじゃん。


俺の横にかみさんはいない。

だけど…
もしもかみさんがいたならば…
きっと「もう闘わなくていいよ…」と笑顔で言ってくれると思うのだ。

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