平成22年5月1日のこと。
かみさんが「転移性肝臓癌」
と診断された数日後のことだ。

かみさんは俺に言ってくれた。
一緒にいてくれて、ありがとう」


闘病していた2か月の間、
かみさんはたくさんの印象的な言葉を遺してくれたが、「一緒にいてくれて、ありがとう」も、そんな言葉の一つだ。

だが、
俺の人生において、かみさんの方から「一緒にいてくれて、ありがとう」と言われるシナリオは無かった。
この言葉は本来、
俺がかみさんに伝えるはずの言葉だったのだ。

・・・

平均寿命は男性よりも女性の方が長い。
かみさんは「姉さん女房」
だったが、俺より2つ年上なだけだ。
絶対に俺の方が先に死ぬ。
かみさんと暮らした20年間、俺はそう信じて疑わなかった。

かみさんが癌と診断される数か月前。
これからもずっと、
平穏な日々が続くと信じていた頃のことだ。

俺は突然、
ある決心をした。
俺が死ぬとき、容ちゃんに伝えよう。

一緒にいてくれて、ありがとう」
「幸せな人生をくれて、
ありがとう」
「俺に生き方を教えてくれて、ありがとう」
この三つの言葉を容ちゃんに伝えよう。

そして。
容ちゃんに看取られながら死んで逝こう。

なぜ突然そんな
ことを決心したのか、理由は自分でも分からない。

・・・

両親に虐待されて育った。
人間不信になった。
人生が嫌いだった。
世界を憎んだ。

そんな俺に、かみさんは寄り添ってくれたのだ。
そんな俺に、かみさんは生き方を教えてくれたのだ。
そんな俺に、
かみさんが幸せな人生をプレゼントしてくれたのだ。

だからこそ。
俺は最期の瞬間、かみさんに「一緒にいてくれて、ありがとう」と伝えたかったんだ。

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