昨日は博多青松高校の卒業式でした。
今回、娘が卒業するので、博多青松高校の保護者教師会の会長の務めも5月の総会までとなりました。
この3年間、これまでの人生にはなかった本当に得がたい経験やいろいろな出会いがたくさんありました。
感謝です!
博多青松高校では後期入学があるので、入学式と卒業式は年に2回あります。
ですから出席した卒業式は今回が6回目で最後の祝辞となりました。
以前、入学式の祝辞を掲載しましたので、これを機会に卒業式の祝辞も公開します。

本日卒業を迎えられる皆さん、おめでとうございます。
また、本日まで立派にご子息を育ててこられた保護者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

さて、これから皆さんは、自分の夢に向かって、人生を歩んでいかれるわけです。
ただ、夢には落とし穴があることもありますので注意が必要です。
自分の夢に向かって頑張ることは大切なのですが、夢の実現にとらわれすぎると、
夢がかないそうにないからと過剰に不安になったり、
もしかして自暴自棄になって生活が破綻することを招くこともあるかもしれません。
そのようにならないためにもぜひ頭の片隅においてもらいたいことは、
夢は実現してもしなくてもどちらでも構わないということです。

その昔、中世ヨーロッパでは、錬金術といって、多くの人々が賢者の石を作ろうといろいろな試みをしていました。
賢者の石はふつうの金属を金に変えたり、人間を不老不死にすることができる石です。
当時の人々はとても実現しそうにない夢を追い求めていたわけです。
もちろん、そのような石は一度だってできたためしはありません。
それでは、無駄な行為だったのかといえば、そんなことはなかったのです。
その石を作ろうとする過程において、実にいろいろな試みが行われ、
試行錯誤の結果、さまざまな新しい発見があり、当時の科学の進歩に大きく貢献したのです。
ですから、仮に夢が実現しなくても、夢を追い求めて努力することが、
みなさんのいろいろな能力を高めたり、
また次の幸せへの新たなステップに踏み出すきっかけになったりすることにつながるのです。
大切なことはそのような努力の過程を楽しむということです。

落とし穴のことがわかれば、安心して夢の実現に向かって努力していきましょう。
ここで、夢を叶えるコツをお話ししたいと思います。それはたった2つのことです。
ひとつは、「絶対にそうなりたいと念じ続ける」。
もうひとつは「努力を続ける」つまり、「あきらめない」ということです。
だけど、ほとんどの人が、うまくいかないことが続くともうだめだ!と諦めてしまいがちです。
実はここに大きな誤解があります。
「うまくいかない」ということは「うまくいっている」ということなのです。
みなさんはエジソンという人をどこかで耳にしたことがあると思います。
電球をはじめ、いろいろなものを発明した「大発明家」と呼ばれている人です。
そのエジソンの言葉に、ヒントがあります。

 それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ。
 失敗すればするほど、我々は成功に近づいている。

大切なことは「失敗」との向き合い方です。失敗したからといってしょげていても何にもなりません。
失敗したら正面からそのことに向き合い、なぜそのような失敗をしたのかを観察することが大切です。
そうすると、問題点が浮かび上がってきて、どこをどのように直していけばいいかもみえてきます。
つまり、いわゆる「失敗」と呼ばれているものはその仕事を完成させるためにあるのです。
当然、大きな仕事になればなるほど、その回数は増えます。
失敗するたびに、改善を重ねていきますので、少しずつよくなり、
より完成度の高いものに仕上がっていくのです。
ですから、これから皆さんが何かに取り組んでうまくいかないことが続いたら、
それはその「うまくいかない」ことを通して、夢に近づいている証拠だとかえって喜んでもいいわけです。

とはいえ、やはりこれからの人生いろいろあり、「今がどん底だ!」と思う瞬間があるのも確かなことです。
そこで、あのとんちで有名な一休さんのお話をしたいと思います。
一休さんが亡くなる直前に、お弟子さんたちを呼んで、三巻の巻物を渡したそうです。
その巻物をお弟子さんたちに手渡すときに
「本当に困ってどうしようもなくなったとき、この巻物を開けなさい。それまでは決して開けるんじゃないぞ」
と言いました。それから何年か経って、お寺が存続できるかどうかの大問題が起きたのです。
お弟子さんたちは大変困りました。
そこで、一休さんが残した巻物を思い出し、
これを読めばこの困難な状況を見事に切り抜けることができるような
ものすごい秘策が書かれているに違いないと思ったのです。
まさにわらをもすがる思いで、巻物を開けてみると…
 一巻目には ・・・ 大丈夫
 二巻目には ・・・ 心配するな
 三巻目には ・・・ なんとかなる
と書かれていたのです。
それを見たお弟子さんたちは、あっけにとられ、笑い出しました。
そのとき、不思議なことに、彼らの頭の中で見事な解決策がひらめき、
その困難な状況を切り抜けることができたということです。
ピンチを感じたときは、「今考えることができることをすべてやってみる」ことが大切です。
なぜか光は見えてくるものです。
そのとき、一休さんが言うように「心配しなくてもなんとかなる」と腹をくくっていると、
落ち着いてそのような行動をとることができると思いますので、
その時には、この一休さんの話を思い出してみてください。

最後になりましたが、校長先生はじめ、諸先生方、保護者の皆さま、ご臨席の皆さまの益々のご健勝ご発展と、
卒業生の皆さんのさらなる成長をお祈り申し上げ、祝辞とさせていただきます。