優嵐句集

花冠同人

山桜朝の光に咲きそろい

花々の向こうに大きく山桜

高架橋花の姿を近く見て


洗濯の前に挨拶朝桜

夕映えの山の桜よまた明日

咲き初めし染井吉野に陽の高し


花の峰つなぎ日輪渡りけり

暮れかねているよ花盛りの山は

雲の影山に落ちたり放哉忌


山桜若葉の色もさまざまに

そちこちに燕ひらりと身をかわし

花桃や裏窓今朝は開けられて


電線に腰赤つばめやや離れ

満開の桜に雨の降り始む

夢うつつ花時の嵐聞いている

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夕食を作る窓辺の日永かな
我もまた花束もらい卒業す
答辞読むときおり声を詰まらせて

春なかば枝先のみな光りおり
子午線を越えれば春の大橋に
公園のいずこも子らに日永の陽

永き日の交差点に人溢れ
山茱萸の花にしばらく晴れ続く
初桜今年はこちらの尾根に咲き

ゆで卵きれいにむけて春の朝
桜色の傘をさせる子花の雨
母乗せて見上げた尾根の山桜

軒先の出入り忙しつばくらめ
早起きは雉鳴く声に目覚めおり
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午後からは一月送る雨となる
立春祭知らせる朝の町内放送
早春の田の一画に供養塔

風に揺れ地に咲き初めしいぬふぐり
北方に白き山見ゆ春景色
二月早や十指にネイル輝かせ

曙の雲をまといて春の山
梅が香に誘われ歩く散歩道
その歴史長き国なり建国日

春淡し芽吹きまではいま少し
いにしえの四天王寺の春そこに
山の色かくし近づく春しぐれ

頂に春の陽あまりにありにけり
心地よく乾きぬ春風に干せば
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ゆっくりと昔の映画松の内
松過の夕刻にある明るさよ
葱青々ところどころは折れながら

春を待つピアノの音の軽やかに
少女たる日々は隣に冬銀河
寒くなる寒くなるぞと寒茜

風あれど寒晴いっぱいわが頭上
流れ来し雲の一片雪降らす
レコードに針を落とした冬の夜
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去年今年伊豆里山の温泉に
元朝にはや蝋梅の香りおり
年の夜の風の音きく露天の湯

わずかずつ盛られてうれし節料理
新春の川に魚影の豊かなり
風の音朝より強し寒波来る

松の内淡路へ渡る船に乗る
海峡ゆく寒の空気の澄む中を
島に来て八幡宮へ初詣

大観覧車見下ろせば冬の海
霜溶けてゆく陽の当たるところより
中天に三日月浮かべ寒茜
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落葉を終えたる木々の清々し
ブランコを思い切り漕ぐ冬空へ
野の枯れに朱を残しおり烏瓜

冬半ば入日は塔の先かすめ
さんさんと桜冬芽の陽を浴びぬ
冬の鵙いまは静かに止まりけり

尾花枯れ枯れゆくほどに明るくて
山茶花の備えしつぼみ続々と
冬の雲連ね輝き播磨灘

寒波来る部屋に日の出の油絵を
柚子湯にといただきし実の香のあふれ
ぽつぽつと人家の灯り冬暁

四畳半に聴くクリスマスオラトリオ
裸木へくまなく昼の陽の恵み
伊豆の湯へ年を越さむと向かいおり
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月低く四十九日を戻りけり
地にいくさ絶えることなし秋の星
文化祭どの子も普段と違う顔

秋の蝶いつも静かに花に来て
冬来る空どこまでも青々と
広々と陽を受け冬を迎える田

初冬の空へ広々椋大樹
木枯に少年たちの駆けてゆく
干柿に初冬の薄き光あり

木枯やふわりふとんにくるまりぬ
暮早き空を惜しみて子ら遊ぶ
しぐれ去り夕刻の虹おいてゆく

三日月や凩やみし夕空に
人と人つないで広し冬青空
ゆくものをゆかせて冬紅葉赤し
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さまざまなことが一度に九月尽
秋祭の練習太鼓の音響く
退院し見る初萩の花の揺れ

秋祭の幟の下を下校の子
集落のなかに小さく芋の秋
人生の先行きは不明槍鶏頭

<兵庫県立いえしま自然体験センター六句>
秋の陽の水平線まできらきらと
登り来て峠越えれば秋の海
秋晴れに子ら一斉に磯観察
秋海へカヌー次々漕ぎ出せり
秋海へ朝の合唱する子らよ
調査隊中間発表秋の昼

裏窓の開くやじょうびたきの声
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母看取る窓に飛び交い秋の蝶
身に入むや臨終の母の手を取れば
母よ西方浄土は秋夕映

<近大病院七句>
重陽なれば病院食にも菊ゼリー
病棟の湯にひとり入る秋の夜
病院の湯より見下ろす秋灯
長き夜の静けさ訪れ病棟に
爽やかに清拭タオルの熱さかな
満ちてゆく月待つ今宵芋煮付
病棟の窓より見るや夕月夜

澄む秋となりたる街へ退院す
退院の道にひつじの伸びたる田
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コバルトの朝空炎暑を約束す
満月の光ほのかに熱帯夜
日の出かな湧きたつ如き蝉の声

地は燃えて空ゆく雲の秋隣
暑き日の名残りの光山に差す
窓に入る風の軽さよ秋立ちぬ

蝉そのとき静かになりし長崎忌
車停め出れば虫の音聞こえ初む
山の日や再び山に登りたく

新秋の雲ひとつなき夜明けかな
早秋や暁の月高くあり
夜明けにはほっと息つくごと残暑

台風一過窓すべて開け放つ
盆過の雲の並びを見て居りぬ
赤とんぼ甍のうえを群れて飛ぶ
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