優嵐句集

花冠同人

朝日さす峰の桜の清しさへ
山裾の家取り囲み山桜
花樒仏心ここにひそやかに

少し風あるのも良けれ山桜
午後の陽の惜しみなくありたんぽぽへ
幼子に初の桜を触れさせる

いっぱいに山桜抱き増位山
大橋を渡らんのどけき春の日に
春空に飛行機雲のほぐれゆく

渡り来し橋春光の真ん中に
菜の花の彼方に青き大阪湾
IMG_0194

河川工事進むや残る鴨のいて
ヨーデルの明るき調べ三月に
新しき電波時計や春動く

春の宵あかり灯りぬ須磨明石
暮れかかる溜池に春の鴨の影
春の霜溶け行くなかを中学生

初音かな洗濯を干すベランダへ
浪花場所力士浮世絵飾られて
春の土腹につけたる負力士

IMG_0006

春隣る山下刈りの町内放送
水仙花淡路の友より便り来る
春立つ朝野鳥の声に目覚めおり

少年ら余寒のなかを駆けゆけり
驚きの余寒や鉄の十字架に

春雪が薄く輝く朝の街
二月早や明るきうちに夕餉とす

<兵庫津を歩く>
菜の花の沖を北前船がゆく

知らぬ間に春の雪の降りいたり
地に青く瞬き初めしいぬふぐり
IMG_0017

除夜に降る雪眺めつつ露天の湯

降る雪が包む鳴子の年の夜


初春の雪の山見ゆ滑走路

松納静かな雨が屋根濡らす


日が昇る初雪の山の後ろより

北風に響くや子らの遊ぶ声


大寒の雀膨れるだけ膨れ

夕空に茜残りぬ日脚伸び


待春の巡礼道を辿りけり

眩しさや枯れの極まる野の光

IMG_0008

冬菊へ小さき虫の寄り止まる

師走の空へ薔薇色の薔薇咲きぬ

枇杷の花咲き初む川沿いの道に
冬の鵙いまは静かに止まりおり

山降り来りなば傍らに万両

葉も少し赤さ加えて実南天

ジャングルジムの中より見上げ冬の空
短日の入日が窓を輝かす

雲低く但馬は雪と思う午後
行く年のひと日ひと日を楽しみぬ

IMG_0006


登り来て秋のダム湖を一望す

秋晴れの一日暮れて一番星


わが影の刈田に遠く映りおり

刈りこまれ松の見事に秋高し


雨やめば鵙の高音の始まりぬ

流れ星ひとつ未明の南天に


鵙猛る午後の強風正面に

烏瓜朱をあざやかに風の中


晴れし朝残る燕の舞いにけり

見上げれば桜紅葉に触れる雲

IMG_7963

わが郷は豊年なるよありがたし

鮮やかに月夜横切る飛行機雲


夕焼けの残れる中へ今日の月

月白ややがて樹間の光り初む


川の上の駅に降り立つ秋彼岸

秋高し海青々と須磨明石


朝風のなかにえのころ輝きぬ

秋の水夜明けを映し流れおり


宵闇のジャングルジムに遊びけり

黄金の田広がる上を燕去る

IMG_7835

このページのトップヘ