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埼玉県上尾市の埼玉アイスアリーナで開かれた浅田真央サンクスツアー(以下MTTと略)の9月7日18:00の公演に行ってきました。新幹線で東京まで行き、少し時間に余裕があったので、宿泊先のレム秋葉原に向かい、不要な荷物は置いていきました。秋葉原から上尾までは電車で40分ほど。途中、車窓にさいたまスーパーアリーナが見えました。

上尾市は人口22万の中規模都市、駅前から会場まではけんちゃんバスという定期バスがあります。隣に県立武道場があり、普段はスケート場と武道場の利用者だけが乗るため、臨時便が出ていました。16:30のバスの発車までまだ30分ほどあったので、前のロッテリアで時間をつぶしました。

このバスはスムーズに出発しましたが、その後のバスはトラブルがあったとか。何でも早めに行動しておけば間違いありません。けんちゃんバス、驚いたことには交通系ICカードが使えず、現金で支払いました。

会場までは20分ほどかかりました。すでに大勢の人が列をつくって開場を待っています。入口前で公演グッズを販売しており、協賛企業の特設テントも並んでいました。
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MTT全体のスポンサーはエアウィーヴ、アルソア、中部電力、JAにいがた、JAL、Kirala、ロッテ、佐藤製薬、住友生命、読売新聞の10社。それに加え、各公演に地域スポンサーがあり、埼玉では伊藤園、アイダ設計、埼玉トヨペット、三光ソフラン、ベルーナ、毎日興業の6社が協賛しています。

どこの会場も既設のスケートリンクを使っているため、会場が小さく、なかでもここは特に座席数が少なく1040席とか。一度に千人を超える人が詰め掛けることなど想定されていませんから、会場外に特設トイレが置かれていました。
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入口横が記念グッズ売り場になっていて、そこでパンフレットと膝掛けを買いました。建物内は普通の気温でした。しかし、スケートリンクへのドアを通り抜けたとたん、気温が急激に下がりました。

寒いとはきいていたので、キャリーバッグにダウンジャケット、ストール、腰巻、中綿入りのスパッツなどを詰めて持参していました。それでも足りないくらいで、買ったばかりの膝掛けも使いました。

A席5千円の場所でしたが、会場が小さいおかげでリンクが近く、双眼鏡を使う必要は全くありませんでした。SS席やS席はリンク内に設定されていましたから、さらに寒かったのではないかと想像します。
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スケーターたちが出入りするのは向こうのスクリーンの下からでした。会場全体がよく見渡せ、集団で滑るフォーメーションの変化もよくわかりました。

休憩なしの80分のショーです。浅田真央が競技選手時代に滑ってきたプログラムの中から選んだものにアレンジを加え、ショーのために再構成しています。

一般のアイスショーではスケーターが自分のプログラムを順番に滑っていきます。集客力のあるスターであっても、その人だけがずっと滑るということはありません。

歌手のライブなどと違い、運動量が凄いので、切れ目無く滑り続けることは体力的に無理です。ですから、演技と演技の間に一定の間があきます。また、プログラム持ち寄り形式であるため、全体構成はどうしても似通ったものにならざるをえません。

ところが、MTTではその常識を覆し、浅田真央が80分のうちの半分は氷上にいて滑りを見せてくれます。構成に工夫をこらし、途切れることなく曲が続いていきます。そのため休憩の無い80分であっても中身が濃く凝縮されています。

メンバーには姉であり、トップクラスのスケーターである浅田舞、日本代表であった無良崇人がいます。それ以外はオーディションで選ばれた全国レベルではほぼ無名のスケーター7人です。

このメンバー構成が絶妙だと感じました。特に浅田舞と無良崇人の存在の大きさ。ふたりはソロで滑る場面もあります。華やかで美しい容姿の舞の滑りはアイスショーで一層映えます。無良はバンクーバー五輪のFP『鐘』を滑りました。重厚な曲にあわせたダイナミックなスケーティングとジャンプ。彼の能力の高さを知るとともに、これを初の五輪で滑った10代の真央の凄さを思います。

他のグループナンバーではそれ以外の男性スケーターたちもジャンプを跳びます。真央自身がジャンプを大量に跳び続けることは体力的には難しいので、そこを男性スケーターたちに任せ、彼ら自身の見せ場も作っています。また、その間に女性スケーターたちが滑る優美なナンバーも織り込み、ショーの構成の緩急をつけることに成功しています。
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このショーの凄さは単に浅田真央を見せるだけのショーではないことです。浅田真央というしっかりした核があり、そこに斬新な工夫を加えて全く新しいものを作り上げています。

こうしたショー構成が可能なのは、競技選手時代に真央があらゆるジャンルの曲を滑ってきたからです。クラシック、オペラ、ミュージカル、ポピュラー、重厚なものから軽快なものまで、悲劇的なものからコミカルなものまで、どんなものも彼女のレパートリーにあり、そこから自在に構成できます。競技時代のプログラムはスケーターの財産だと思いました。

ジャンプが減ったとはいえ、真央は自分自身のジャンプはずべて完璧に決めました。さらに、クライマックスにもってきたソチ五輪FPの『ラフマニノフピアノ協奏曲第二番』では、前半を男子スケーターたちがリレーでつなぎ、無良に続いた真央が最後の3Loに加えて2Loを四つ続けるという五連続ジャンプを見せてくれました。

競技ではこんなジャンプはルールに抵触するためにできません。ショーならではの高度なジャンプです。会場は大歓声に包まれました。

MTTのチケット入手は非常に困難です。今回手に入れることができたのは幸運でした。できるだけファンの方が近くで見られるように、家族連れで見に来られるように、今まで行けなかった場所で見ていただけるように、との浅田真央自身の意向から地方の既設リンクが会場に使われているからです。

さらに、見に来てくれる人の期待以上のものを見せたい、という心意気がショー全体に漲っています。この値段でこれだけのものを見られるのなら、是非もう一度見たいという人がたくさんいます。まだいくつかの会場が予定されていますが、チケット争奪戦はさらに激しくなるでしょう。

選手時代のプログラムを滑るのはこれで最後、と彼女はパンフレットの中で語っています。滑るなら新しいことをしたいというのです。

浅田真央の魅力のひとつはここなんだと思います。守りに入らない。選手時代も女子としてはただひとり3Aを跳びつづけました。勝つためにはもっと無難な戦略でと言われることが多かったにもかかわらず。次なる段階で、さらにみんなの期待を上回る何かを彼女は見せてくれるはずです。