2007年01月05日

多文化主義〜この世界がより輝きを増すための考え方〜

以下は、教養演習(アボリジニ文化)の発表でこれから使うレジュメです
今まで学習してきた多文化主義の概念を多くの人に知ってもらいたいと思って載せることにしました。基本的にレジュメそのままなので、分かりにくいところもあるかと思いますが、ぜひ読んでみてください。

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1.多文化主義とは?

言葉の定義「文化多元主義(マルチカルチュラリズム、多文化主義、英:multiculturalism)は、社会は異なる文化を持つグループが「対等な立場で」構成する(または許容・包容される)べきだという考え方または政策。」(ウィキペディアより)
多文化主義は、文化的に異なる人々同士の衝突を回避する方法である。

2.多文化主義の背景
             
                     
�睚人種・民族・エスニシティへの帰属意識
       ↓
�睨   グローバリゼーション衝突←�睫回避する方法は……?
                          
�睚人種・民族・エスニシティへの帰属意識とそれによる衝突

?人種・民族・エスニシティへの帰属意識……前提として、文化は本来雑種であり、文化の中身はあいまいなものである。
 文化や言語は生きるための道具・手段であり、人は古来より、必要ならば他の文化・言語・宗教でも利用できるものはどんどん取り入れるし、強制がなくとも、より便利な文化は積極的に取り入れていくものである。(ex.日本での漢字・儒教文化) だが、一つの民族による純粋な文化などないはずなのに、純粋な文化を想像して、そこへ帰属意識を持つ。以下、?からの項で、帰属意識とそれによる衝突の理由を探る。

?心理的理由……文化・言語的に同一の民族・エスニック集団に帰属することが、自らの安定的なアイデンティティの源であるとともに、それらに対して愛着を持つ。(cf.日本人は、海外の英語しか話せない日系人に対して、親近感はそれほどわかない) 社会心理学的には、人々は生来同質的なものに親近感を感じやすいとされている。文化は雑種的なものだとしても、自分を育んできた文化に、自らのアイデンティティの源を見つけ、強い愛着を感じるのだ。こうした愛着とアイデンティティの基礎となる文化・言語が否定されると、人々は感情的に反発して、民族・エスニック運動に走り、衝突が起こる。

?経済的理由……文化・言語は生活手段でもある。その場面で既に利益を獲得しているものは、新規参入者(ex.海外からの移民)から既得権を守ろうと、新規参入者の文化・言語を自由に使用する権利を否定する。(ex.フランスではフランス語を扱えない者を格下に見る) 新規参入者は、自分たちの言語や文化(仕事場での振る舞い方など)を否定される結果、劣悪な労働条件を強いられてしまう。社会的な不平等をなくすために、対抗運動が起こり、衝突が起こる。

?政治的理由……現代の世界は、国民国家システムによって成り立っている。国民国家システムとは、一つや複数の民族が一つの国家を持ち、それらの民族が主権を持つ国家がメンバーとなる国際秩序のことである。国民国家システムによって、国民国家を支えるマジョリティ(多数派)国民の一人であれば、人は自由・平等をその国家内においてのみ享受できるようになった。また、憲法は信仰の自由は保障しているが、多くはマイノリティ(少数派)の言語や文化の自由を保障していない。マイノリティは、言語や文化を含めた自由・平等を求めて抵抗運動を起こし、衝突が起こる。

�睨グローバリゼーション

民族の自由な移動により(ex.EU域内)、異なる文化・言語をもつ人々の接触の機会が飛躍的に多くなった上、自らの文化・言語などへの権利を強く主張する人々も増えてきている。
⇒紛争・衝突の土台になっている。

Cf.日本……2004年1月の世界経済フォーラム年次総会では、日本が出生率の低下を補うために現在の11倍にも相当する年間61.6万人の外国人(移民)を受け入れなければならないと言う報告がされた。(参考文献?より)女性や高齢者の活用をしても、日本で暮らす外国人が増えるのは避けられないだろう。衝突も今より増えるに違いない。 

�睫衝突を回避する方法としての多文化主義

こうした衝突を回避し、社会の安定的な統合のために考案されたのが多文化主義である。

Cf.同化主義……マイノリティをマジョリティへ同化させる。社会の安定的な統合という目的は同じだが、多文化主義は同化主義を民族・エスニック紛争の原因になるとする。

3.多文化主義政策の内容

各人種、民族、エスニック集団(移民・難民・外国人労働者・周辺地域少数民族集団等)の伝統的文化、言語、生活習慣を中央政府が積極的に保護していく。具体的には、それらの維持のために公的援助を行うほか、大学の入学定員にマイノリティ枠を作ったり、職場の定員にマイノリティ枠を作ったりするアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を導入して、エスニック・マイノリティの教育や職業を軸とした社会参加を促し、各集団内の不満を防ごうとするものである。

4.オーストラリアにおける多文化主義

(1)多文化主義政策をとるまでの過程
オーストラリアでは、かつて白豪主義と呼ばれる政策をとっていた。
白豪主義……オーストラリアにおける白人最優先主義とそれにもとづく政策。特に移民制限法によって白人以外の移入を厳しく制限した政策を指す。(ウィキペディアより)
?第二次世界大戦後の大量の移民 ?イギリスとの距離が、イギリスのEC加盟によって離れたことへの対応としてのアジアとの関係の重視 などの要因により、ウィットラム労働党政権時(1972年誕生)に、白豪主義の政策は放棄された。その後、アジアからの移民を積極的に受け入れるようになり、多文化主義が国策として掲げられるようになった。

(2)オーストラリアにおける多文化主義の内容
差別を禁止した上に被差別者が競走上不利なことを認め、財政的、法的援助を認めている。また、公的領域でも多言語放送や多言語文書が使用され、多言語・多文化教育が発展し、私的領域のエスニック・スクールへの援助もされている。
多言語教育政策(参考文献?松田の著書より)
移民の母語や原住民の言語への考え方……解消すべき「問題」(同化政策時代)→守られるべき「権利」(70年代)→積極的に活用されるべき「資源」(80年代)
英語以外の言語(LOTE(s)Language(s) Other Than English)を少なくとも一つはすべての人が学習することの重要性が強調されている。

Cf.アメリカ・フランス型多文化主義……私的な生活空間では、どのようなマイノリティ的要素があってもそれを認めるが、公的な所(ex.学校・職場・政治)では、公用語と一定の生活規則しか認めない。(ex.イスラム教徒の女子学生が学校でベール着用することを拒否)

しかし、オーストラリアやカナダの多文化主義的な社会でも普遍主義的でリベラルな市民社会の価値観や基本的人権は尊重されるのが普通である。つまり、No.1普遍的文化、No.2国民国家の主流文化、No.3マイノリティ文化 の序列が存在することになる。そのため、私的・公的領域を問わず、言語・文化・生活様式が平等に扱われる社会は実現していなく、異文化・異言語集団は不満を持ちやすい。その結果、主流国民社会の文化・言語・生活様式を否定し、独自な生き方や生活を追求しようとする文化的マイノリティも生まれている。

(3)多文化主義への反発
進んでいく多文化主義に対して、一部の主流国民によるアジア移民反対論争や反多文化主義への動き、先住民政策への批判のように、反発が起こるようになった。その代表的なものは、連邦下院議員であったポーリン・ハンソンが引き起こしたハンソン論争とワン・ネイション党(One Nation Party)勃興現象である。
ハンソン論争とは、1996年9月にハンソン連邦下院議員が連邦議会で、オーストラリアの先住民族やアジア移民に対する人種差別的演説を行った結果、引き起こされた論争のことであり、国際的にも注目を集めた。
ワン・ネイション党とは、このハンソン議員の主張を政策化し、全国的な政治運動にした政党である。(cf.ニュージーランド第一主義党@ニュージーランド) 一時期は15%近い支持率があったが、没落し、99年のデータでは4.5%台の支持率となっている。

ハンソン議員の演説自体は騒動を引き起こすことはなかったが、就任間もないハワード首相が言論の自由を盾にして、容認するような態度を取り続けたため騒動になり、論争が巻き起こった。しかし、96年末のフィリピンのマニラでのAPEC開催が近づくと、ついに連邦議会が10月30日に連邦上下両院において超党派による反人種差別決議を行い、この論争にけりをつけることになった。

オーストラリアのように、多文化主義を採用した国においては、多文化主義に対してマジョリティ国民から反発が起こっている。その反発の原因は以下のようにまとめられる。
? 経済的不公平感 マイノリティ国民に対する援助などに社会的コストをかけることに対して、マジョリティ国民の一部や経済の利益を追求する者から反発が起こる。
? 民族紛争の輸入 移住者の故国で発生している民族紛争が輸入されることがある。
? 国民文化の優越性喪失による文化的逆差別感 (ex.公共の場でクリスマスツリーを禁止するのに、マイノリティ文化を奨励することへの反発@アメリカ)
? 言論の自由の喪失不安 多文化主義政策への批判は、すぐ人種主義的言動とのレッテルを貼られやすく、言いたいことが言えないことから不満が起こる。

5.私見

 それぞれの集団が相互不干渉でいることにより成立する、多・文化主義には欠点がある。相互理解がないため、4.(2)(3)で述べたような理由から、結局は争いが起きてしまう。(ex.2005年のフランスでの暴動)今、求められているのは相互理解と個性の尊重による多文化・主義(多文化共生)である。『それは、「シチュー」のように、肉や野菜など、それぞれの素材(各文化)の持ち味が保たれたまま、ともにゆっくりと同じスープ(社会状況)の中で煮込まれることによって、さまざまな素材が相互作用によって変化しながら共存しつつ混成し、新たな味覚が創り出される社会である』(参考文献?より)。すべての文化を一つに溶かしこむ「るつぼ」でもなく、そのままの形で混じり合わずに混成する「サラダボウル」でもない、個性を尊重しつつ、文化が交配することによって無限に進化していく社会が私の理想の社会である

参考文献 ?多文化主義社会の到来 関根政美 朝日選書 2000年 本レジュメの記述の大半は、この著作をまとめ、自分のオリジナルを付け加えたものである。
?多文化社会における社会システム再構築のための基礎研究 −日本における多文化主義実現にむけてpart3― 鈴木江里子 フジタ未来経営研究所 2004年
?オーストラリアの言語政策と多文化主義-多文化共生社会にむけて- 松田陽子 兵庫県立経済経営研究所 2005年

yoyo0616 at 22:02│Comments(4)TrackBack(0)社会 

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この記事へのコメント

1. Posted by イナ   2007年01月07日 03:08
前にアナタがくれたコメを今もう一回読み直したんですが、ホントいい事書いてくれてますね♪感動した、久しぶりにまた読んだから。友達になりたいわ!!笑
2. Posted by yo☆suke   2007年01月11日 19:11
5 ありがとう 自分もガッキーのブログから、楽しみをもらっているよ。お互い、ブログを楽しみながら頑張っていこうね
3. Posted by 浅間の煙   2007年02月04日 23:19
貴重な論文を読ませていただきました。若い皆さんのこういうご研究は大変大切な事です。益々のご精進を祈念致します。
4. Posted by yo☆suke   2007年02月11日 14:34
5 ありがとうございます。今後も向上心を持って勉学等に励んでいこうと思っております

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