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「女方として、できる範囲のことはすべてチャレンジしたい」と語るのは、中村七之助。彼の今年最初の舞台は、歌舞伎ではなく現代劇だ。十八代目中村勘三郎とデヴィッド・ルヴォーの企画で誕生したという『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』。『心中天網島』は、遊女小春・紙屋治兵衛・その妻おさんの三角関係を描いた近松の代表作。この作品を、注目の若手作家・谷賢一が、ルヴォーのオリジナルアイデアに基づき新作戯曲として描き下ろす。七之助は、初めてルヴォーの演出を受け、これまであまりやったことのない現代劇で女方を演じ、そして初共演の深津絵里とW主演する。まさにチャレンジだ。稽古前に来阪し、「父の、死してなお夢を実現する力」を感じながら、遺志を受け継いで出演する意気込みを話した。

『ETERNAL CHIKAMATSU -近松門左衛門「心中天網島」より-』チケット情報

「父は、歌舞伎の演目を海外の方に演出してほしいという夢があり、私たち息子にも話していました。具体的にルヴォーさんで近松を、と。それをルヴォーさんが覚えていてくださり、今回の上演になりました。ルヴォーさんという暮らしも文化も違う方が、近松作品をどういう解釈で演出され、そこからどんな変化が生まれるのか。今回、それが一番楽しみです」。

物語は、現代に生きるハル(深津)が、江戸時代に生きる遊女・小春(七之助)と出会い、近松門左衛門の古い古い恋の物語に引き込まれていく。ハルと小春を通して描く、究極の愛。1月下旬から稽古に入るが、初めてやる時に一番大事にしていることは「お稽古までに台本を全部覚えて行くこと」と言う。「これは父が口を酸っぱくして言ってましたから。それと、柔らかい気持ちで行くことかな。杉村春子先生は台本を100回読まれたと。だから、台本は最初から最後までよく読んで、自分のキャラクターを考えます。でも、固めて行かない。固めると、そこから抜け出ることが大変になるから」。

今回、深津とはガップリ四つの初共演だ。「僕はテレビでも映画でも歌舞伎でも、相手役はほとんど男としかやったことがなかったんです。だから、深津さんとほぼ初対面でポスター撮りした時、『もっと顔を近づけて、近づけて』と言われて、恥ずかしくてね(笑)。すごい脇汗でした(笑)。深津さんはキレイな人で、すごくいい方でした」。ほかに伊藤歩、中嶋しゅう、中島歩、音尾琢磨らが出演。「今回は、歌舞伎で培ってきたものをいろいろ試せる、チャレンジできる舞台でうれしいです。現代劇の中で女方として出るなんて、これは僕個人としてもおもしろいし、ボクがお客様だったら、ちょっと観てみたいな(笑)」。

公演は、2月29日(月)から3月6日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、3月10日(木)から27日(日)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。

取材・文:高橋晴代

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国外クラブの提携を進めるベトナムのクラブ。日本でも2016年から水戸と横浜FCでベトナム人選手がプレーすることになっているが、今後もJクラブをはじめ国外のリーグでベトナム人選手の姿が見られるのだろうか。


マンC、ドルトムントなどがベトナムクラブに提携のオファー

 急速な経済発展を遂げるベトナムは、2015年の国内総生産(GDP)成長率が政府目標を上回る6.68%となり、直近5年で最高水準となった。若年層が多いベトナムは有望市場として世界中から注目されており、海外直接投資(FDI)も増加の一途を辿っている。

 サッカー界を見ても将来的な市場開拓を見据えて、ベトナム進出を狙う国外クラブが相次いでおり、特に若手育成分野でのクラブ間提携が活発化。ベトナムの各クラブはこうした提携を通して、国際舞台での飛躍を果たさんとしている。

 直近では、今年に入ってから、フランス1部オリンピック・リヨンがホーチミン市サッカー連盟(HFF)との間で戦略的パートナーシップを締結。クラブ運営のノウハウ共有や指導者派遣、若手育成で相互協力することで一致した。

 若手育成に力を入れるベトナムでは、三大育成機関とされるベトテルFC(ハノイ市)、HAGLアーセナルJMGアカデミー(ザライ省プレイク市)、ベトナムサッカー選手才能開発投資ファンド(PVF:ホーチミン市)も国外クラブとの業務提携を積極的に進めている。

 このうち、通信最大手で、国防省傘下のベトナム軍隊通信グループ(VIETTEL)が所有するベトテルFCのもとには、オランダ1部フェイエノールト、イングランド1部マンチェスター・シティ、ドイツ1部ドルトムントなど世界の名だたるビッグクラブから提携のオファーが届いており、現地でのアカデミー設立が計画されている。

目指すは世界に通用する選手の輩出


J2水戸への移籍が決まったグエン・コン・フォン【写真:宇佐美淳】
 国外クラブとの提携アカデミーで国内最初の成功例となっているのが「黄金世代」と呼ばれる一昨年までのU-19ベトナム代表で一躍有名になったHAGLアーセナルJMGアカデミーだ。

 イングランド1部アーセナルおよびフランスJMGアカデミー(元フランス代表ジャン=マルク・ギルーが設立)と提携し、フランスから指導者を招いて、全国セレクションで集められた子供たちに英才教育を施している。

 昨年は第1期生が揃ってホアン・アイン・ザライ(HAGL)のトップチームに昇格。平均年齢21歳というリーグ最年少チームで14チーム中13位という成績を残し、辛くも1部残留を果たした。

 選手の国外移籍を推進する同クラブからは今季、いずれもU-23ベトナム代表のFWグエン・コン・フオンが水戸ホーリーホック、MFグエン・トゥアン・アインが横浜FC、MFルオン・スアン・チュオンが韓国の仁川ユナイテッドにそれぞれ期限付き移籍する。

 なお、同クラブは、不動産開発大手のHAGLグループが所有するクラブで、会長のドアン・グエン・ドゥック氏は、ベトナムサッカー連盟(VFF)副会長も務めている。

 三大育成機関の残るもう一つであるPVFは、近年の国内選手権で目覚ましい成績をあげているホーチミン市の育成機関。国内最大企業ビングループが出資しており、潤沢な資金力を誇る。

 頻繁にアジアやヨーロッパへの国外遠征を行っており、将来的には世界に通用する選手を育て、選手を他国へ輸出することを目標としている。PVFでは現在、ガンバ大阪との提携話が進んでおり、今後は日本から指導者を招いて日本流の指導法を取り入れていく方針だ。

横浜FCなど、Jクラブとの間でも進む業務提携


J2横浜FC加入が決まったグエン・トゥアン・アイン【写真:宇佐美淳】
 日本クラブとの提携でいえば、HAGLが昨年末に横浜FCと業務提携を結んでいる。その一環として、HAGLから前述のグエン・トゥアン・アインが横浜FCに期限付き移籍。また、横浜FCからはMF井手口正昭が完全移籍でHAGLに加入した。

 フィジカル重視で、大柄なアフリカ系選手が好まれるVリーグで日本人選手がプレーするのは、2003年にサイゴン・ポートに所属した「アジアの渡り鳥」伊藤壇以来のこと。

 Jリーグでベトナムのクラブと初めて業務提携したのは、2013年にベトナム1部ドンタム・ロンアンFC(現ロンアンFC)と提携したコンサドーレ札幌。札幌は同年、同1部ソンラム・ゲアン(SLNA)から「ベトナムの英雄」レ・コン・ビンを期限付き移籍で獲得している。この他、親会社同士が共同で不動産案件を展開している関係で、川崎フロンターレもベトナム王者ベカメックス・ビンズオンと協力関係にある。

 さらに下部リーグを見てみると、昨年は日系のアミティエSC-HCMCがホーチミン市リーグ(5部相当)に参戦した。関西1部アミティエSCは、ホーチミン市やハノイ市でサッカースクールを展開しており、昨年、ホーチミン・シティFC(旧サイゴン・ポート)を母体としてアミティエSC-HCMCを設立。監督には、かつてアミティエSCトップチームで指導した日本人指導者を招聘した。

 このように国外クラブとの提携を急ぎ、貪欲に外国からノウハウを吸収しようとしているベトナムの各クラブだが、その成果もあってか育成年代では、近年、目覚ましい成長を遂げており、今後はベトナム人選手の国外移籍も増えてくることが予想される。ベトナムサッカーのアジア、そして世界への挑戦は、まだ始まったばかりだ。