バグダッドのイラク高等法廷は、フセイン元大統領に対し死刑判決を下しました。
フセイン元大統領は、今を遡ること24年前の1982年、バグダッド北方のドゥジャイル村で暗殺未遂事件の報復として旧政権がイスラム教シーア派住民148人を殺害したとして人道に対する罪などに問われていましたが、イラク戦争によるフセイン政権が崩壊してから3年半が経過しましたが、元国家元首に対する断罪は絞首刑という結果へと導かれようとしています。
フセイン元大統領は、この事件のほか、1988年にはイラク北部でアンファル作戦を企て、3月にはハラブジャという町に対して化学兵器攻撃を行い約5000人の死者を出す大惨事をもたらし、それ以後もイラク軍による攻撃やクルド人村落の破壊、強制移住が繰り返し行われ、18万人もの犠牲者を出したことなど、イラクの人々の平和を脅かす罪を犯したとして、今後、刑の確定まで時間がかかるとみられています。
独裁を阻む暗殺未遂事件の報復としてのシーア派住民の惨殺、そして、クルド人が独立志向が強いとみたフセイン政権は、敵国であるイランに協力したとして、化学兵器を使用した攻撃や民族弾圧は、非人道的であり非難されるべきものです。死刑の判決はそれに値するものだと思います。

さて、元大統領を裁くイラク特別法廷は国際法廷ではなく、当事国が裁く国内裁判所であり、しかも米国によってお膳立てされたようなものです。クルド人の大量惨殺などは、本来ならば国際法上のジェノサイド罪に問われるべきものだと思うのですが、このフセイン裁判に関しては、結果として東京裁判さながらのフセイン政権への報復裁判という形となっています。強国は敗戦国の元首を断罪し、そして権力を誇張するという構図は、東京裁判と同じですね。

米国は、イラクに対して大量破壊兵器疑惑をかけ、そしてイラク戦争へと巻き込みました。その報復がこのフセイン裁判での死刑判決ということで終結しようとしています。ブッシュ政権にとって、イラクの平和を巡る問題は、間近に控えた中間選挙で最重要の争点の一つです。独裁者フセインをねじ伏せ、イラクを平和に導いたのは米国がイラクに駐留しフセイン政権を制圧したということ、そして民衆の敵を断罪したのはブッシュの功績ということを次の選挙での材料にしたいということでしょう。しかしながら、アメリカの国民の7割はイラク戦争での米兵の死を否定的に捉えています。それでも結果ありきなのでしょうか。

民衆を惨殺し平和を脅かす独裁者への死刑判決にうなずきながらも、ブッシュ政権の思惑の絡むフセイン裁判の流れには疑問を持った次第です。

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