河口容子の「世界」日記

You Tubeで話題になっていたのが、JR東日本の英語でアナウンスする車掌の動画でした。最近は新幹線をはじめ、日本語のアナウンスに加え、録音された英語のアナウンスも流れることが多くなりましたが、この車掌はナマ声、しかも臨機応変に「人身事故のため5分遅れ」などとアナウンスし、外国人たちにありがたいと評価されているとか。

この国際化時代にこの程度で絶賛されるほうが恥ずかしいような気もしますが、何せ日本人は英語が話せないので世界的に有名だけに偉大な進歩、名誉挽回とも言えます。「日本人は長い間英語を勉強するくせに何でしゃべれない?結構難しい単語は読み書きできるのに。」とよく外国人には言われます。

逆に私は「日本人のくせにどうして英語がしゃべれるのか?留学したのか?海外に住んでいたことがあるのか?」と聞かれるほどです。「留学したことも、海外に住んでいたこともありません。英文科でもないし、英会話学校に行ったこともありません。」と調子に乗って答えると、そこから英語教育論について一気に盛り上がります。

しかしながら、昨今の外国人観光客の増加に伴い、日本人はかなり英語をしゃべりだしています。デパートでもネイティブの如く応対をする女性店員を見かけますし、香港のビジネスパートナーをタクシーに乗せて中年の運転手さんに行先を伝えると「英語なら多少できますので大丈夫です。」と言われました。「それはありがたいです。どうやって勉強されたのですか?」とたずねると、外国人のお客さんがふえ、必要にせまられ自然に覚えたのだそうです。

いつも感心するのは駅員さんたち、切符の買い方から駅周辺の道案内にいたるまで実に手慣れたものです。英語の巧い下手は関係なく、尻込みすることなくニコニコと応対するその態度にプロ意識を感じます。

最近、税務署で見かけたのはフィリピン人(たぶん)とおぼしき女性に税務署員が3人がかりで英語で説明をしていました。私は英語で税務の話をするのは慣れているので、いざとなればお手伝いしようと自分の用をすませた後、少し離れて様子を見守りました。5分ほどかかり、税務署員が汗だくになって無事終了。フィリピン女性はうれしそうに何度もお辞儀をして帰って行きました。こういう経験を繰り返して税務署員たちも英語が上手になったり、マニュアルができたりするのでしょう。

今までの経験で感動したのは日本橋にあるイタリアンにフランス人のA女史とV女史と一緒に行った時のことです。ウエイターの若い日本人男性が彼女たちを見て流暢なイタリア語で話しかけました。A女史のお母さんはイタリア人なので彼女はイタリア語ができますが、「パリから来たの」の一言に、彼はフランス語に切り替えました。「英語もおできになるのでしょう?」と聞くと「はい。中国語、韓国語もできます。いろいろな国からお客さんが来られるのでその都度勉強しています。海外でお店を開くのが夢です。」もともと語学の才能豊かな人なのでしょうが、やはり夢と二人連れ、お客様を楽しませようとするプロ精神のなせる技だと思います。

人民日報ネット版が主催し、訪中日本人観光客による写真コンテスト「心に映る中国」が行われました。

http://j.people.com.cn/312210/index.html

日本人の感性によって写し取られた中国をお楽しみください。

さて、私にとって忘れられない中国の光景というのは、観光写真ではありませんが、2008年、もう9年も前になりますが、福建省の晋江(ジンジャン)という都市で日本人デザイナーによるスポーツウェアのデザインコンペのコーディネhttp://j.people.com.cn/312210/index.htmlートの仕事をした時のものです。デザインそのものは門外漢ですが、スポーツブランドのビジネスを5年近く担当したことがあり商品や業界には詳しいという自信がありましたのでお引き受けしました。

ちょうどリーマンが破たんした直後でしたが、世の経済不安などどこ吹く風の現地でした。晋江は海のシルクロードの出発点でもあり、華僑のふるさとでもあり、ホテルのパーキングにはベンツやBMWがずらりと並ぶ豊かな街です。人民解放軍の基地もあります。
このコンテストを主催したのは中小のスポーツメーカーですが、現地の5つ星ホテルを借り切っての大イベントでした。グリーンのポロシャツを着てランウェーを見つめるのは販売代理店さんたちで数百人。日本人は私一人ですので、反日運動でもいきなり起こったら命はない、と思いました。
何せ、皆さんスポーツ関係なので眼光鋭く、丸刈りで日焼けしています。任侠映画にでも出演しているような気分にもなりました。

もうひと昔前の話ですから、ひょっとして中国人にとってもすでに「古き良き時代」かも知れません。


fashion show 6
fashion show 5
荘総経理と

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皆さんはフィリピンのミンダナオ島がイスラムゲリラの拠点となり、政府軍との交戦により戒厳令が発動されてもう1ケ月になるのをご存知だったでしょうか。戒厳令が発動後、すでに双方で死者は300人を超えました。立派な「戦争」だと思うのですが、日本のメディアは森友ー加計問題、共謀罪、将棋の藤井4段と明け暮れ、身近にISがせまって来ており、戦争が起きているのも見て見ぬふりをしているのか、関心もないのか、報道もろくにしておりません。

そもそもフィリピンという国への距離感は個人差があると思いますが、首都マニラまで成田から約4時間半のフライトで、香港へ行くのとほぼ同じ飛行時間です。アセアン諸国の中では最も日本に近い国です。

現地の日本語紙「まにら新聞」本日付けによると、
「国軍はマラウィ市(ミンダナオ島)交戦をラマダン明けをめどに終結と発表。死者は計376人に。」
「大統領報道官、マラウィ市がISの新拠点となるとの見方を全面否定」
という2本の記事見出しが躍っています。

もともとミンダナオ島にはイスラムゲリラの活躍する場所として知られており、ゲリラがフィリピン政府と和解していったん平和になったはずだったのに実に悲しいことです。剛腕で知られるドゥテルテ大統領が長年同島のダバオ市長を務めたこともあり、ミンダナオは大統領の故郷みたいなものです。毒舌と行動力をこういう時にいかんなく発揮してほしいと願うばかりです。

先日、本件が日本で報道されない理由について書かれたブログを読みました。筆者の方の推測によると
1.ISが東南アジア出拠点づくりを進めていると明らかになれば共謀罪設立に向け安倍政権の後押しをすることになるから。
2.ドゥテルテ大統領はトランプみたいで嫌い。
3.フィリピンなんかより今は加計で安倍首相をたたくタイミング。
なのだそうです。

私も全面否定はしませんが、本当にこの通りなら日本のメディアなどはもう信じられません。自分の身を守ることすらできません。

一方、外務省の海外安全ホームページによると、ミンダナオ島中部以西は「渡航中止勧告」が出されています。ミンダナオ島の中部以東は「不要不急の渡航はやめてください」となっています。
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_013.html#ad-image-0

安全情報としてはかなり重要なレベルと考えますが、メディアは放置しておいて良いのでしょうか。それともミンダナオ島などへ行く人はめったにいないと思っているのでしょうか。ドゥテルテ政権誕生以来、ミンダナオとの貿易やミンダナオへの投資にハイライトをあてようとしているのを知らないのでしょうね。

総合商社にいた私からすると日本のメディアはいかに国際化していないかびっくりするばかりです。さきほど朝日新聞の組織を調べたのですが、世界中に5つ総局があり、32支局があるだけです。一方、三菱商事は海外に193拠点あります。おまけに総合商社の場合は毎日ビジネスをやっているわけで情報量やものの見方はまるで違います。

アセアン諸国は10ケ国ありますが、首都マニラですら拠点がある所は少ないのではないでしょうか。産経の記事はシンガポールからカバーしていました。インドネシアのアチェの独立運動の時です。某全国紙にあり得ないような内容の記事がありました。しかもジャカルタ特派員によるものです。おかしいと思った私はジャカルタの華人の友人に問い合わせたところ「君の言う通り、そんな事はあり得ない。きっと記者がデマを聞いた通りに書いただけだろう。」と言いました。以来、日本のメディアの報道はそんなレベルと思って見たり聞いたりしています。

さて、ミンダナオのダバオ市にはバッグ工房を営む母娘の友人たちがいます。世界中の展示会に出展するのに忙しい彼女たちですが、頻繁にFacebookも更新してくれます。ところが、ここ1月ほどとても静かです。でも数日前にダバオ市内のレストランでお友だちと笑顔で食事をしている写真がUPされました。安堵で私ももらい笑いしました。

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