先日、物語研究会の大会合宿に日帰りで行ってきました。場所は葉山。路線バスの一区間が長くて途中不安になりましたが、なんとか目的地最寄りのバス停に到着。しかしそこから5分が山道で辛い~と思っていたら、左手に現われたのがこちら。
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(総合研究大学院大学の建物)

「こんなところに、大学がある!」とビックリ。「どうやって通うの?」「宿舎があるのかしら?」など湧き上がる疑問多々。あとから知りましたが、こちらは本部があるだけだそうです。実際の授業は、日本文学なら国文学研究資料館(立川)、日本史なら歴史民俗博物館(佐倉)、と別の場所で行なわれています。博士課程のみの大学で、国立大学の中でも博士後期課程のない大学の院生が修士から進学することが多いようです。

この建物を過ぎてもう少しのぼると会場に到着。テーマシンポジウム「翻案(アダプテーション)」のラインナップは、次の通りでした。

翻案作家シェイクスピアを翻案することについて
伊澤高志
三島由紀夫「橋づくし」の現在性―「猿真似」の果て
山田夏樹
「異本」伊勢物語絵巻の「異化」を問う
三田村雅子

「翻訳」という言葉はよく聞くと思いますが、「翻案」って何???、と思う方が多いことでしょう。「翻訳」は、テキストを他言語に訳すことですが、「翻案」はもっと広いものになるようです。伊澤さんのお話だと「小説から映画へ」というのが最もメジャーな「翻案」研究のようですが、伝承から小説へ、物語から絵画へ、など、その範囲はメディアが増えていくかぎり、広がっていきそうです。

原作を忠実に、というだけでなく、その時代にあった新たな作品として生まれ変わらせるのも「翻案」であるとすると、それが原作を未来に受け渡していく鍵にもなりそうで、このブログのテーマとも響きあってきます。

「ロミオとジュリエット」の翻案が「ウエストサイドストーリー」で、さらに「パッチギ!」になるのだそうです。「対立する二つの組織の者が恋におちる」という内容があれば、それは虫でも人間とゾンビでも成り立つ(実際にあるそうです)、という伊澤氏のご報告には驚きました。

そういえば、『源氏物語』では、光源氏と朧月夜の恋がそのパターンに当てはまりますね。こちらは「翻案」(アダプテーション)ということを越えて、常に闘争してきた人類にとって普遍的なテーマということになるのかもしれません。

続く、三島由紀夫の小説のお話も、異本伊勢物語絵巻のお話も、大変面白くうかがいました。国、時代、文学の枠を越えた報告は、最近、蛸壺のような研究が多くなっているだけに、自由さがあって楽しかったです!