2005年09月10日

それでも郵政民営化は必要か

いよいよ明日は衆院選の投票日です。
先日週刊誌の『SPA!』を読んでいたら、今回の選挙にかかる経費が出ていました。その額なんと769億円也、それに加えて各候補者は選挙にお金がかかるわけです。これだけの巨費を投じて郵政民営化の是非が国民に問われるわけですから、我々としても郵政民営化についてよく理解したうえで投票に臨みたいものです。

これまでこのブログでは、「郵政民営化は最優先課題なのか」「郵政4事業の分割民営化は公共サービスの切り売りではないのか」「郵政民営化が実行された場合サービスは維持されるのか」という点を議論してきました。

郵政民営化は最優先課題なのか
改革の優先順位を決定する要素として、「現制度を維持することによる損失の大きさ=改革効果の大きさ」「改革の緊急度」の2要素から郵政民営化の優先度を考えてみました。その結果黒字を維持し、サービスの質も良い現在の郵政公社を急いで民営化する必要性は低いと考えます。
 →議論の詳細は過去の投稿をお読みください。


郵政4事業の分割民営化は公共サービスの切り売りではないのか
現在の郵政4事業はそれぞれが支えあうことによってバランスよく運営され、結果として郵政公社全体で利益を挙げているということを土台に議論しました。政府が主張する郵政4事業の分割民営化は、バランスを欠いたサービスへと変質する可能性があるばかりか、郵便貯金や簡易保険事業を対象としたマネーゲームに発展する危険性をはらんでいると考えます。
 →議論の詳細は過去の投稿をお読みください。


郵政民営化が実行された場合サービスは維持されるのか
欧米やアジアで進む水道事業の民営化を例に、消費者に約束された料金やサービス維持が次々に破棄されてきた現状を紹介、現在政府が公約するサービス水準の維持も破られる可能性が高いことを述べました。そもそもコントロールが容易なはずの国債発行高に関する公約さえも簡単に破棄する政府が、より複雑な判断や利害関係の発生する郵政民営化後の公約なんて守れるはずがありません。「民間が決めたことに政府は口出しできない」なんてあっさり言われて終わりってことになりそうですよね。また民営化が失敗し、再度国有化ということになれば巨額の国民負担が発生するリスクも忘れてはいけません。
 →議論の詳細は過去の投稿をお読みください。


以上のように現段階では無理やり民営化するリスクよりも、公社のまま緩やかに改革を進める方が国民にとって圧倒的にメリットが多いと考えています。
明日は衆院選の投票日。国民は重大な決断を迫られています。

みなさんは郵政民営化に賛成?反対?

yubinpost at 05:44|PermalinkComments(287)TrackBack(16)

2005年09月09日

郵便サービスは民営化後も維持されるのか

郵政民営化の争点のひとつに、民営化後のサービスが維持されるのかという問題があります。政府は郵政民営化により市場における経営の自由度が拡大され、良質で多様なサービスが安い料金で提供可能となり、国民の利便性が最大限に向上されると説明しています。果たして無条件にそうであると言えるでしょうか。
市場競争により良質で多様なサービスが安価に提供される前提として、現在の郵便サービスを上回る質のサービスを、同等レベルまたはそれ以下の料金で提供できる競合が存在することが条件となります。逆にこの条件を満たす競合が現れない場合、料金の値上げやサービスの質の低下が許される環境であるといえます。
現在の郵政公社は公社ゆえに期待される民間レベルの高品質という良いプレッシャーのもと、高品質低価格のサービスが維持されているとも言えます。

先日のNHK特集で海外の水道事業が民営化された例についての番組がありました。欧米や東南アジアの国々では、民間の合理的なサービスや巨額な設備投資の回避を主な目的とした、公共サービスの民営化が進んでいます。国民生活の根幹に関わる水道事業もその例外ではありません。番組の事例を通して感じた点は大きく以下の3つです。

1.公約は守られない番組中のどの事例においても、水道料金の据え置きなどの公約が掲げられていました。しかしその結果といえば、どの事例においても公約は覆されてしまっています。政府は郵便局を削減しないなど、現在の郵便事業の維持を約束すると言っていますが、外国の事例を見る限り公約の実現には疑問が残ります。そもそも数年前に国債の発行高を30兆以内に押さえると公約していた小泉首相が、あっと言う間に公約を翻したことからも、政府の公約なんて当てにならないというのが良く分かります。

2.儲けようとすると必ず失敗する番組の中では外資系企業が独占事業による大きな利益を期待して参入していましたが、その目論見は大きく外れ、サービス料金の値上げを消費者に強いる結果となっていました。ひどい例では外資系企業が撤退してしまって、サービス運営そのものが危機に陥っている自治体の例もありました。唯一成功していた例は民間企業からサービスを買い戻し、住民を経営に参加させながら利益を目的とせずにサービスを続けている例でした。

3.もとに戻すには莫大な費用がかかる番組では、度重なる水道料金の値上げや企業買収による経営者の変更などを不満に持つ住民が企業から水道事業を買い戻す事例が紹介されました。しかしそれには住民への重い金銭負担が必要となります。日本の郵政民営化が失敗し再度国有化されるとなれば、買収にかかる莫大な費用を国民が負担しなければなりません。

以上の理由から考えても、現在十分良質なサービスを提供し、黒字経営を続けている郵政公社を、大きなリスクを伴う分割民営化するということは、ビジネスの視点から見てもおかしいと言わざるを得ません。


yubinpost at 11:34|PermalinkComments(4)TrackBack(7)

2005年09月08日

郵政事業4分割は郵便局の切り売り

政府の進める郵政民営化の大きなポイントのひとつに、郵政公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険)を、民営化に伴い分割しそれぞれ独立した経営体にするということがあります。政府は分社化により金融と他の事業とのリスク遮断を行い、市場競争の中でより良質で多様なサービスが提供されると主張していますが、はたしてそうでしょうか。
問題点は大きく2つあると考えます。

問題点1:郵政事業は事業間の支えあいで成り立つ
現在の郵政事業は全国均一のユニバーサルサービスを国民に提供するため、各事業が支えあって成り立っています。窓口サービスや郵便事業といった利益の出にくい事業を安定した収益を生み出す郵便貯金や簡易保険事業が支えることにより、全国どこでも郵便と金融のサービスを提供できるのです。

民営化により事業分割が実施された場合、各事業は独立した事業体となります。ユニバーサルサービスを義務付けられている郵便事業は、金融事業の支えを失い経営が不安定になります。政府は2兆円の基金でか過疎地の郵便局の維持を約束すると言っていますが、法律には明記されていません。政治家の公約がどれほど当てにならないものかはよく分かってますよね。そもそも現行制度のままであれば、郵政公社全体は黒字ですので2兆円なんて大金を用意する必要ないんです。

一方郵便貯金や簡易保険といった金融事業はユニバーサルサービスが義務付けられていませんので、利益率の低い地域や低所得者向けのサービスから撤退するおそれがあります。個人向け金融は法人向けに比べ利益率が低く、地方で個人向け金融サービスを提供しているのは地方銀行や信用金庫などです。これら金融機関は経営規模も小さく、過疎地域にまで支店を設けることは困難です。郵便局が唯一の金融機関である地域にとっては、事業分割により街から金融機関がなくなるおそれもあるのです。


問題点2:マネーゲームの対象となる恐れ
もうひとつの問題点は郵便貯金や簡易保険といった金融会社の株式が売却される民有となるということです。金融2事業の株式が市場へ放出される際その価格が割安だと判断されると、巨額の資金を持つ外資ファンドが投機的に株式の売買を行う可能性が高いと考えられます。記憶に新しいライブドア騒動の全国版とも言える巨大なマネーゲームは、国民生活にとって良いものであるはずがありません。政府は民営化後も関与を続けると言っていますが、その内容ははっきりしていません。

以上のように郵政事業の分割はユニバーサルサービスを崩壊させるだけではなく、我々国民の大切な資産をも脅かす愚策であるといえます。

yubinpost at 13:22|PermalinkComments(3)TrackBack(3)

2005年09月07日

郵政民営化は最優先課題か−その2

現在の日本のように、改革すべき問題がたくさんある場合、どの改革から実行すべきであるかの優先順位をつける必要があります。果たして郵政民営化は最優先で取り組むべき課題なのでしょうか。

今回は自民党が主張する「郵政民営化は最優先で取り組むべき改革である」という主張を、「改革の緊急性」という観点から考察してみたいと思います。
一般的に改革の緊急性にはどのような要素が考えられるでしょうか。
大きく財政面とサービス面が考えられます。

・財政面での緊急性
一般的に改革の必要性が叫ばれるようになる大きな要因のひとつとして、財政面において国民の大きな負担となっている場合が挙げられます。公共事業における談合により建設費が市中価格より高くなれば、そのツケは国民が払わせられるわけですから、これは大問題ですね。記憶に新しいところでは道路公団や社会保険庁などの歪んだ金銭感覚や予算管理能力のなさが話題となりました。
では郵便サービスはどうなのでしょうか。実は公社化以降、公社全体で大きな利益を生んでいます。
郵政公社は平成15年に2兆3千億円、平成16年には1兆2千億円の純利益をあげると同時に、2年間で約2万人の職員削減を行うなど、将来に向けてコスト意識を高めています。これらをみても、民営化なくしては改革できないという自民党の主張には大きな誤りがあると言わざるを得ません。
郵政公社は着実に改革を進めているのです。

・サービス面での緊急性
公共サービスの質が悪くユーザーが多大な不利益を被っている場合、国民の利便性向上のためにも大胆な改革が必要となるでしょう。いわゆる「お役所仕事」が悪いサービスの代名詞ともなっていることからも、一般的な公共サービスのイメージの悪さが伺えます。
しかし最近は土日でも行政サービスが利用できたり、係員の対応も良くなるなど、行政サービスの質は急速に向上しています。郵便サービスはというと、東京都内の主な郵便局は24時間サービスを受けられますし、郵便物を扱う丁寧さと正確さでは世界でも類を見ない高品質ぶりです。サービス面においては全く改革の緊急性を感じられません。
もちろん現在の郵政公社は日々のサービス向上に努めており、現在の公社制を維持し続けたとしても更なる品質向上が期待できます。

以上のように、財政面においてもサービス面においても郵政民営化の緊急性を認識することは困難です。
それよりももっと他に緊急度の高いものから改革すべきであると考えます。

yubinpost at 10:23|PermalinkComments(11)TrackBack(5)

2005年09月02日

郵政民営化は最優先課題か

自民党は「郵政民営化こそが改革の本丸」であり、
行政、財政、金融、経済の構造改革につながるとして、
最優先で取り組まなければならないと主張しています。
しかし郵政民営化は本当に最優先課題なのでしょうか。

優先順位を決定する要因は見方によりさまざまですが、重要なものとして、
(1)制度を維持することによる悪影響の大きさ、または改善時の効果の大きさ
(2)緊急度が挙げられると思います。
では上記2要因に関して、郵政民営化の優先度を考えてみましょう。


ユーザーの立場からみて、現在の郵政公社のサービスは悪くありません。
公社化されたことによりサービスも向上し、ユーザーの利便性も大きく向上しました。

現在の公社制が維持されることによるユーザーの不利益はないように思えます。
サービス改善の姿勢は現在も継続されており、公社のままでもサービスの向上が期待できますし、逆に民営化されたからといって大幅なサービス改善が可能であるとも思えません。

現在340兆円と言われる郵貯・簡保資金を民間に開放することによる、民間経済の活性化も指摘されていますが、これまで民間投資の判断をしたことのないファンドマネージャーに自分たちの貴重な資金を託して良いのでしょうか。
民営化されるということは投資の損失は顧客がかぶるということでもあります。
郵便局のユーザーはハイリスク・ハイリターンの運用よりも、確実な資産保全を望んでいるはず。その点では現在のように国が元本を補償する国債などのみでの運用は消費者ニーズにもマッチしているのではないでしょうか。

このように見ると、現在の公社制を維持することによる害悪は少なく、また民営化することによるメリットもそれほど大きくないと考えられます。

次回は2番目の要因である「緊急度」を考えてみたいと思います。

yubinpost at 16:24|PermalinkComments(85)TrackBack(34)

2005年09月01日

郵政民営化ってやっぱりヘンだ!

いよいよ衆院選がスタートしました。最大の争点といえば郵政民営化問題
小泉自民党は「郵政民営化がすべての改革の本丸」などと言っていますが果たしてそうでしょうか。
郵政民営化さえ実現すれば年金や財政問題も一気に解決するなんて、本となんでしょうか?
ちょっと信じられません。

小泉自民党の主張する郵政民営化の利点には疑問点もたくさんあります。
そもそも郵政民営化問題って政権を懸けるほどの大問題なのでしょうか。
公社化以降郵便局のサービスも良くなっていますし、今のままで何が問題なのでしょうか。
そんなことよりも年金問題やニート対策など重要な課題はたくさんあるのではないでしょうか。

既に政府予測よりも早く今年から人口減少が始まっており、年金制度の前提が崩れ始めています。
国家が危機的状況にあるにも関わらず、優先度の低い郵政民営化問題が最大の争点となる。
そんな選挙でいいのでしょうか。
投票日まであと10日あまり。
さまざまな視点から今回の衆院選と郵政民営化問題を議論したいと思います。

yubinpost at 10:02|PermalinkComments(11)TrackBack(18)