2006年の日本シリーズ、北海道日本ハムファイターズ対中日ドラゴンズの第3戦は、6対1でファイターズが勝利。これでファイターズは対戦成績を2勝1敗とした。

 初回に先制を許したファイターズだったが、直後の1回裏、安打と野選で無死1、2塁のチャンスを作ると、不振が続く小笠原のバットから2点タイムリー2ベースヒットが生まれ、逆転に成功。続くセギノールのライト前タイムリーヒットで、3対1とした。
 2点を追いかけるドランゴンズは、6安打を放つも武田勝らファイターズ投手陣に阻まれ、3つの併殺を謙譲。2回以降、スコアボードに「0」を並べた。
 そして、3対1、ファイターズのリードで迎えた8回裏、2死1、2塁から稲葉が3ランホームランを放ち、ドラゴンズはジ・エンド。最終回もファイターズ守護神、MICHEALの前に三者凡退に倒れた。
 文化放送でも言っていたが、今年の日本シリーズでファイターズのキーマンになっているのは、1番打者の森本だろう。森本が出塁し、続く2番打者の田中賢介が犠打を決めればファイターズは必ず得点に成功している。
 今日も1点ビハインドで迎えた初回、先頭打者の森本がセンター前ヒットで出塁すると、田中が犠打でチャンスを広げ(結果的にはドラゴンズの捕手、谷繁の野選となったが)、小笠原の2ベースヒットで逆転。9回にも、やはり先頭打者の森本がセンター前ヒットで出塁、田中が犠打でチャンスを作る。とどめとなる稲葉の3ランホームランが生まれたのはこの回だ。

 ドラゴンズにとって森本の脅威はこれだけではない。田中の犠打が絡まなくても、森本の出塁はファイターズの得点に繋がる可能性が高い。このシリーズ、3試合で森本は6回出塁しているが、その生還率(得点数を出塁回数で割った値)は83%。つまり、森本は5回出塁したら、確実に4回はホームに帰ってくる計算だ。

 今思えば森本が1番バッターを務めるファイターズに、わが西武ライオンズがよくも勝ち越せたものだと関心してしまう。だが、そんなファイターズの打撃陣に穴がないわけではない。結論から言えば、森本の出塁さえ防げばいいのだ。
 実際、ファイターズはこの3試合、6イニングスで得点をあげいるが、このうち森本がホームベースを踏んだのは5イニングス。森本が絡まない得点イニングは1イニングしかないのだ。
 このことは、ファイターズでは攻撃パターンが確立されているとともに、ファイターズの攻撃方法には多様性が乏しいことを意味している。このことから、森本の出塁さえ防げばドラゴンズにも勝機があると言える。

 たしかに森本の出塁を防ぐのは容易ではない。ここ3試合での森本の打率は0.417で、両チームトップ。四死球を合わせた出塁率も0.462で、もっとも高い。0.462という出塁率は、パリーグトップの福岡ソフトバンクホークスの松中をも上回っている。
 
 だが、さすがの森本も100%出塁に成功しているわけではない。シチュエーション別に森本の出塁率を見ると、イニングでの先頭打者での出塁率は0.625と驚くべき成績を残しているが、2番目以降の打者としては0.2と凡庸な成績しか残せていない。つまり、森本は切り込み隊長としての素質は優れているが、状況に応じたバッティングは不得手なのだ。
 もちろん、だからと言ってドラゴンズの投手に、森本の前にあえて下位打線の出塁
を許せとは言わない。
 だが、森本がイニングの先頭打者以外のシチュエーションを苦手としているという事実は、ドラゴンズに森本攻略の何らかのヒントを与えてくれることだろう。