2006年の日本シリーズは、北海道日本ハムファイターズの44年ぶり2度目の日本一で幕を閉じた。

 ファイターズが王手をかけて迎えた第5戦。中日ドラゴンズに先制を許したファイターズだったが、5回の1死3塁から金子のスクイズで同点。6回の1死2塁に主砲セギノールのバットから2ランホームランが飛び出し勝ち越しに成功すると、8回には稲葉のソロホームランでファイターズが栄光を掴んだ。
 ファイターズの4勝1敗で終わった今シリーズだが、勝因はファイターズが得点パターンを確立したからと言えよう。それは、1番森本が先頭打者として出塁し、2番田中賢介が犠打でチャンスを拡大、そして3番小笠原、4番セギノールで得点するという攻撃方法だ。今シリーズでファイターズは10イニングスで得点をあげているが、前出の攻撃パターンで得点に結びついたイニングスは6イニングスもある。

 実際、選手たちは指揮官ヒルマン監督のタクトに合わせ、勝利への交響曲を奏でた。
 まずは北のリードオフマン、森本。5試合のうち、イニングの先頭で迎えた打席は10打席あるが、安打や四死球による出塁回数は7回。出塁率は、実に7割に達している。
 続いて2番田中。森本が先頭打者として7度も出塁したことは先に紹介したが、このうち6打席で田中は犠打を決めている(犠打をしていない1打席は、第4戦での第2打席。3ベースヒットの森本を3塁に置いて、センターへのタイムリー2ベースヒットを放った)。
 そして小笠原、セギノールの3・4番コンビだが、1・2番で作ったチャンスでの得点圏出塁率は0.714だった。
 これにより、ファイターズは森本が先頭打者で出塁し、田中が犠打でチャンスを広げれば、5割という高確率で得点できるという得点パターンを実践して見せた。
 
 一方のドラゴンズは最後の最後まで己の得点方法を確立できなかった。安打や四球により5試合で53回も出塁しながら、6個のダブルプレーをファイターズに献上。6度の犠打を決めながら、2回、それぞれ1点づつしか得点に繋がらず、5試合での合計得点はわずか8点に終わった。54安打・四死球で合計20得点をあげたファイターズに比べ、ドラゴンズがいかに効率の悪い攻撃を強いられたか、これで一目両全だ。

 得点パターンを確立し、それを実践したファイターズ。最後までそれを見つけられなかったドラゴンズ。リーグを制した両群だが、この差はあまりにも大きかった。