January 19, 2007

闘将が変えるプロ野球界

 いよいよ2008年に向け、日本野球界が動き出した。阪神タイガースの星野仙一シニアディレクターは18日、日本代表編成委員会の松田昌士委員長、根来泰周コミッショナーと会談し、北京オリンピック野球日本代表監督の就任を受諾した。星野代表監督は、「(正式に監督就任が決定する)25日までは何も離せない」と前置きしつつも、「日本の選手は、もっと日の丸の重みを意識してプレーしないとならない」と、代表入りの可能性のある選手たちにメッセージを送った。

 星野代表監督に期するのはオリンピックでの金メダルだけではない。わが国のプロ野球に長らく蔓延る商業主義に風穴を開け、「スポーツとしての野球」の第一歩を踏むことも期待される。

 「スポーツは、国や地域の威信を背負ってこそ、初めてスポーツと言える」
 誰の言葉かは失念してしまったが、こんな言葉が残っている。つまり、国際大会や地域別大会で戦ってこそ真のスポーツであって、そうでないスポーツはただの運動、遊戯に過ぎないという意味だ。

 プロ野球はどうだろうか。結論から言えば、プロ野球は出資会社の興業事業であって、スポーツとは言えない。ファイターズ、ホークス、スワローズのようにチームに地域名を冠することで地域密着、地域代表を志向しているチームもいるが、地域名とともに出資会社の企業名を冠している以上、完全なスポーツとは言い難い。

 そんなプロ野球にも、スポーツになり得るチャンスがなかったわけではない。2000年のシドニー、2004年のアテネといった2度のオリンピックと、昨年のWBCだ。
 日本代表チームには、プロ野球チームのような出資母体はない。あるのは日の丸に象徴される、日本人としての誇りだけだ。つまり、代表チームにプロ選手を送り込むことは、プロ野球が興業事業から一歩踏み出し、スポーツになる数少ないチャンスだったのだ。

 だが、プロ野球はこの3度のチャンスを、3度とも自ら拒否している。
 プロ選手の参加が解禁になったシドニーオリンピックでは、松坂大輔、黒木知宏、中村紀洋、松中信彦、田中幸雄ら8選手が代表入りしたが、8選手のうち6選手がパリーグ。セリーグの大半のチームは渡邊恒夫当時読売ジャイアンツオーナーの一声で代表チームへの協力を拒んだ。
 初のオールプロで挑んだアテネオリンピックでは、ペナントレースとの兼ね合いもあり、代表選手の選出は各球団2選手ずつという、実にいびつなものになった。長嶋元代表監督は球団関係者にいっそうの協力を呼びかけたが、中日ドラゴンズの落合監督、タイガースの岡田監督らが首を縦に振らなかったと聞いている。
 昨年行われたWBCでは、球団からの制限はなくなった。それでも千葉ロッテマリーンズの選手が大半を占めたのは、マリーンズが前年アジアチャンピオンに輝いたこともさることながら、ペナントレース開幕が間近に控えていたこともあり、やはり特定の球団が非協力的だったからと言われている。

 対照的に最初から国際大会を意識して設立されたのが、サッカーのJリーグだ。日本のプロサッカーの歴史は、宿敵韓国を打ち破ることを目的に、1991年にキックオフした。
 このためJリーグでは代表チームへの協力は惜しまない。自チームの選手が代表に選ばれればリーグ中でも選手を差し出すし、4年に1度のワールドカップ開催期間中にはリーグ戦を中断。まさにサッカー界をあげて代表チームを応援している。

 興業事業のプロ野球と、スポーツのサッカー。それぞれに一長一短があるが、国際大会でどちらが盛り上がり見せるかといえば、俄然、後者だ。
 昨年のWBCとワールドカップを思い出して欲しい。WBCは、1次予選での対アメリカ戦で、ボブ・デービットソン審判による疑惑の判定で日本中の注目が集まり、日本が初代チャンピオンに輝いたことで注目度はピークに達した。だが、東京ドームでのアジア予選には空席が目立ち、野球ファンだけが日本代表の行方を気にかけていた。
 一方のワールドカップへの関心はサッカーファンだけではない。普段サッカーを見ないものもジーコ・ジャパンの動向に注目した。やや行き過ぎの感は否めないが、街中で代表チームのユニフォームを着た若者が歓喜の声をあげることなど、野球の国際大会ではまずありえない光景だろう。

 さて、話を代表監督に事実上決定した星野シニアディレクターに戻そう。実は星野代表監督も、プロ野球界の商業主義に怒りを覚えている野球人の一人だ。自身が現地解説者を務めたアテネオリンピックでは、「経営者側の近視眼的な判断」と、代表戦選手の選考は1球団2戦手と決めたプロ野球を批判している。

 そんな星野代表監督の思いを汲んでか、日本プロ野球機構もようやく重い腰を上げた。現在、北京オリンピック開催期間中のペナントレースの中断を検討している。結論の結果は今月中にも明らかになるが、仮にそうなれば長嶋、王元日本代表監督の悲願だった、真の日本代表チームの実現も夢ではない。
 はたして、「闘将」「燃える男」と言われてきた野球人が、プロ野球の歴史を変えるのか。

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