March 15, 2007

2年目のジンクス

 マウンド上でうずくまるその姿に、昨年のパリーグ新人王のオーラはなかった。

 昨日行われた西武ライオンズ北海道日本ハムファイターズのオープン戦。ファイターズの先発マウンドには、昨年12勝、防御率2.48を記録し新人王を受賞した八木智哉が上がったが、その八木がまさかの大炎上。味方の2失策で自責点は1点ながら、8点を失い、3回途中でマウンドから引き摺り下ろされた

 たしかに八木はライオンズとの相性が良くない。昨年は5試合に登板し、0勝3敗、防御率5.57と、文字通りライオンズにカモにされた。昨日の登板は開幕前の調整と同時に、苦手意識の払拭の意味もあった。

 だが、はたして単純に八木が今季もライオンズを苦手にしているだけなのか。ルーキーイヤーに好成績を残した選手が翌年、前年の活躍がうそのように失速してしまう、いわゆる「2年目のジンクス」である可能性はないのか。43d4428f.jpg


 「2年目のジンクス」は、野球の分析手法の一つで、データを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える「セイバーメトリックス(SABRmetrics)」で検証されている。

 わが国では数少ない、セイバーメトリックスについて書かれた著書「メジャーリーグの理数科学」(J.アルバート/J.ベネット著 シュプリンガー・フェアラーク東京社発刊)でも、この「2年目のジンクス」について触れている。

 その内容を要約しよう。
 ある選手の2年間の成績をピックアップし、リーグ平均値とその選手の成績の差を算出し2年間で比較した場合、2年目の方が、選手の成績とリーグ平均値との差が小さい。つまり、2年目の方が平均値に近づいている。いわゆる、「平均値への回帰」が起きているのだ。
(われわれの生活を振り返っても、回数を重ねるごとに数値が平均値に近づくことは日常的にある)

 著書では、メジャーリーガーのケニー・ロフトンを例に出して「2年目のジンクス」を紹介している。
 ロフトンは1998年のシーズン、出塁率0.371を記録した。この年、アメリカン・リーグの平均出塁率は0.35だったので、ロフトンは平均値よりも0.21高い出塁率を残したことになる。
 ところが著書で紹介している公式(かなり専門的になるので、ここでは割愛させていただく)で計算すると、翌1999年のロフトンの出塁率は0.377だった。一見、1998年よりもやや向上したように見えるが、この年のアメリカン・リーグの平均出塁率0.362と比較すると、ロフトンの成績と平均値の差は、1998年の0.21から1999年には0.15に縮小したことになる。つまり、1999年のロフトンは、1998年にロフトンに比べ、アメリカン・リーグの平均値に近づいたことになる

 これを八木に当てはめてみよう。八木はルーキーイヤーの昨年、防御率2.48を記録した。この年の、パリーグにおける規定投球回数をクリアした投手18名の平均防御率は3.282006年の八木はパリーグの平均的な投手に比べ防御率で0.8も優れた成績を残したことになる。
 だが、「2年目のジンクス」に陥れば、2007年シーズンの八木は、防御率で2006年シーズンに比べパリーグの平均値に近づくことになる。はたして2007年シーズンにおけるパリーグの平均防御率は不明だが、2007年の八木が2006年ほど目立った成績を残せないのはたしかだ。

 とは言うものの、誰もがこの「2年目のジンクス」に陥るわけではない。八木のチームメイトであるダルビッシュ有の成績を見ると、ルーキーイヤーの防御率は3.53だったが、翌2006年には2.89に改善されている。2005年におけるパリーグの平均防御率が手元にないため、厳密には比較はできない。だが、2006年から2005年にかけ防御率が0.64も良くなっているのだから、2006年のダルビッシュが2005年に比べ、それぞれのシーズンの平均防御率との差が拡大していることは想像に難くない。

 では、なぜダルビッシュが「2年目のジンクス」を回避できたのか。答えは簡単だ。2006年はルーキーイヤーから成長できたからだ。
 「2年目のジンクス」に限らず、このような比較は比較対象の条件が同じことが前提になっている。前年に比べ対象が変化、つまり投手が成長していれば「平均値への回帰」に陥らずに済む

 はたして2007年の八木には、「平均値への回帰」、「2年目のジンクス」を回避できるほどの成長が見られるのか。

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この記事へのコメント

1. Posted by るい   March 16, 2007 08:50
初めまして!
よく拝見させてもらっているのですが、コメントは初めてです。いつも「なるほど!」と言ってしまうような記事で、本当に目からうろこです。
『2年目のジンクス』とても個人的に気になる話題だったので思わずコメントしてしまいました。八木は見ていて痛々しかったですが、野球ファンとして今後の成長が気になりますね。

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