December 04, 2007

サンタナ争奪戦

 日本が星野ジャパンの北京五輪出場に沸いている間、一足早く五輪出場を決めたアメリカのメジャーリーグ(MLB)では、広島東洋カープからFA宣言しMLB入りが確実な黒田博樹と並び、もう一人の投手の動向が注目を集めている。

 ミネソタ・ツインズの左腕エース、ヨハン・サンタナだ。
 そのサンタナを、ツインズがトレードで放出するのだ。


 サンタナは、わが国でも知名度が高い投手の一人。今季もチーム最多、リーグ11位の15勝、リーグ7位の防御率3.33を記録した。現状では1,325万ドル(約14億円)に達する年俸と、来季にFA権を獲得することがネックになるものの、どの球団にとっても欲しい投手だ。


 サンタナ獲得に火花を散らしているのが、アメリカンリーグ東部地区の2チーム。ニューヨーク・ヤンキースと、ボストン・レッドソックスだ。2b255331.jpg


 何かと注目を集めるヤンキースとレッドソックスのライバル関係だが、選手の獲得に関しても例外ではない。

 最近では、キューバから亡命したホセ・コントレラス(現在はシカゴ・ホワイトソックス)を巡り両球団が激突。結局、絶大な資金力を持つヤンキースが勝利したのだが、競争に敗れたレッドソックスのラリー・ルキーノCEOによる「悪の帝国」発言はあまりにも有名だ。


 2006年は、ボビー・アブレイユが火種となった。当時フィラデルフィア・フィリーズに在籍していたアブレイユに対し、ヤンキースがレッドソックスを上回る契約金を提示。期限最終日の7月31日にトレードが成立した。
 しかも、このアブレイユがその後の両軍の明暗を分けることになった。それまで単独首位を走っていたレッドソックスだったが、8月1日にヤンキースが首位を奪取。8月18日からの直接対決5連戦では、ヤンキースが5連勝して両軍の差を6.5ゲームに広げた。そして両軍は順位を入れ替えることなく、最終的には11ゲーム差でシーズンを終えた。
 このヤンキースの快進撃を支えたのが他でもない、アブレイユなのだから、レッドソックスネーションの国民が、まさに臍を噛む思いだったことは想像に難くない。


 レッドソックスも黙っているわけではなかった。逆襲の口火を切ったのは、2006年シーズンオフに西武ライオンズからポスティングによるMLB移籍を宣言した松坂大輔だ。
 松坂の入札には、レッドソックス、ヤンキースを含め複数の球団が応札したが、レッドソックスが単独交渉権を獲得。しかも、その応札額は5,111万1,111ドル11セント(約60億円)。当時、「まだMLBで1球も投げていない投手に投資するには、ばかげた金額」と一部でも批判されたが、レッドソックスには松坂への評価もさることながら、ヤンキースへのリベンジもあったのだろう。
 この結果は既知の通り。松坂が15勝をあげチームのワールドシリーズ制覇に少なからず貢献したのに対し、ヤンキースはわずか14試合の登板で2勝3敗、防御率6.25の井川慶という、現時点ではジョーカーを掴まされる結果になった。



 話をサンタナに戻そう。ヤンキース、レッドソックス両球団にとって、サンタナは大きな戦力だ。

 今季ワールドチャンピオンに輝いたレッドソックスだが、サンタナが入団すれば、エースのジョシュ・ベケット、ベテランのカート・シリング、ナックルボーラーのティム・ウェークフィールド、癌から復帰したジョン・レスター、そして松坂など合わせと、先発ローテーションはいっそう磐石となる。

 一方、ヤンキースが今季前半から中盤にかけ大きく低迷したのには、先発投手陣の不調が原因にあげられる。42戦43敗、勝率.494、首位のレッドソックスとは10ゲーム差の3位で追えた前半戦、なんと12名の投手が先発マウンドに上がった。
 また、ワイルドカードで出場したポストシーズンでは、チーム最多の19勝、防御率3.70を記録した王建民が2度に渡り打ち込まれ、ヤンキースはクリープランド・インディアンスに破れた。
 王朝復活には、サンタナは欠かせないと言っていいだろう。



 サンタナを巡り、ヤンキースは交換要員としてメルキー・カブレラフィリップ・ヒューズ、マイナー選手を加えた3人を提示している。
 カブレラは今季150試合出場のレギュラークラスの外野手。ヒューズは今季頭角を現した若手投手で、MLB2度目のマウンドとなった対ロサンゼルス・レンジャーズ戦では、7回途中までノーヒットの快投を披露した。

 一方のレッドソックスでは、ジャコビー・エルスバリーが交換要員に上がっている。9月のロースター枠の拡大でMLBに再昇格したエルスバリーは、怪我のマニー・ラミレスに代わり月間打率.361を記録。ワールドシリーズでは打率.438でチームの勝利に貢献した。



 ヤンキースのハンク・スタインブレナー上級副社長は、サンタナのトレードに関し、ツインズに対し回答期限を設けた。同時に、「サンタナ獲得でレッドソックスとは争わない」ことを明言している。

 だが、これまでヤンキースの資金力を前に苦渋を嘗めさせられてきたレッドソックスネーションの国民は、容易にこのコメントを信じることはできないだろう。


 両軍のライバル史に新たな歴史を刻むであろうサンタナ争奪戦は、静かに熱を帯びている。

yuill at 17:42│Comments(0)TrackBack(0)野球 | メジャー

トラックバックURL

コメントする

名前
URL
 
  絵文字