May 20, 2008

指名打者

2e10181b.jpg プロ野球界では、今日からセ・パ交流戦が始まる。埼玉西武ライオンズは昨年、リーグ3位で交流戦に突入しながら、交流戦で大失速。10連敗を含む大型連敗を繰り返し、そのままリーグ5位でシーズンを終えてしまっただけに、今年は交流戦が大きな山になりそうだ。


 その交流戦だが、1つだけ歓迎できない制度がある。セリーグ球団の主催試合での、指名打者制度の不適用だ。



 指名打者とは、「公認野球規則にもとづき、野球の試合において攻撃時に、投手に代わって打席に立つ打撃専門の選手」(ウィキペディア・フリー百科事典)のこと。わが国では、パリーグが1975年から採用した。

 セ・パ交流戦では、パリーグ球団の主催試合でのみ、指名打者制度が適用される
 このため、セリーグ球団の主催試合では、普段打席に立つことのないパリーグ球団の投手も、バットを握らなくてはならない。


 正直言って、セ・パを問わず、投手の打撃はプロのレベルに値するとは言い難い
 交流戦ではこれまで、松坂大輔(当時西武ライオンズ)、岩本勉(当時北海道日本ハムファイターズ)などが、投手でありながらホームランを放っている。
 だが、投手がバットで活躍するのは稀なケース。もともと指名打者制度のないセリーグでも、投手が打席に立てば、かなりの確率で相手チームにアウトカウントを謙譲している。


 わが国よりも早く、1973年にアメリカンリーグで指名打者制度を採用した米メジャーリーグでは、こんなこともあった。
 1986年のワールドシリーズ、ボストン・レッドソックスニューヨーク・メッツ戦で、レッドソックスの投手、ブルース・ハーストが打席に入った。
 レッドソックスはアリーグのチームなので、同一リーグのチーム間の試合では投手が打席に立つことはない。ハーストも打席に立つことが久しくなく、この試合でも案の定、二打席連続で三振に倒れた。
 迎えた第三打席。ここでも簡単に2ストライクに追い込まれたハーストは、苛立ちをかみ殺しながら言い放った。
 「これでも、オレは真剣なんだぞ
 この言葉に、球審は笑いをこらえきれず吹き出してしまったのだが、このような投手の打席を3イニングスに1度見させられると思うと、ファンも辟易してしまう。
(ハーストは投手としては一流で、1980年代のレッドソックスをロジャー・クレメンスとともに支えた)


 たしかに、指名打者制に反対する声は少なからず上がっている。野球の戦術性を低下させる、と言うのが最たるものだ。

 ウィキペディア・フリー百科事典では、「指名打者制度がなければ、打順に名を連ねる9人のうち最低1人は、打力がまったく期待できない選手を用いなければならない。そのような制約のもとで、いかに頭を働かせて工夫して点を取るかというのが野球の醍醐味であって、指名打者制度はそれをそこなうというものである」と、指名打者制への反対意見を紹介している。

 
 だが、本当にそうだろうか。
 例えば、無死もしくは1死1塁で打席に9番打者、投手を迎えた場合、多くのケースでベンチは打席の投手に犠打を命じることだろう。
 また、僅差で相手チームにリードを許したまま、試合が終盤に差し掛かかれば、ベンチが投手の打席で代打を送ることも少なくない。
 つまり、指名打者制度のないリーグでは、パターンが固定しているのだ。これを、どうして戦術性の高い野球と言えようか。


 現在は指名打者制度のないナショナルリーグ、セントルイス・カージナルスで指揮を振るうトニー・ラルーサ監督だが、彼も指名打者制度の賛成派の一人。
 「アリーグでは、次の打者に誰を投げさせるか、次の回に誰をマウンドに送るかという判断に従って投手起用を決めなくてはならない。しかし、ナリーグでの投手交代のタイミングは、監督が考えるまでもない」と、指名打者制度を適用しているアリーグでの戦術性の高さを強調している。



 指名打者制度のないセリーグにも、それなりの見所はあるだろう。
 だが、セリーグ球団のファンには、パリーグ球団の主催試合で、ずらりと並んだ自軍の9人の打者を見て、指名打者制度の意義を再確認してもらえると嬉しいのだが。



参考)著:ジョージ・F.ウィル 訳:芝山幹郎「野球術(上)」(文芸春秋)

yuill at 10:40│パリ−グ | セリーグ

この記事へのコメント

1. Posted by LIBELA   May 20, 2008 15:30
確かに、打撃の出来ない選手を打席に立たせることによって、野球が面白くなるとは到底思えない。
そこにいろんな作戦の可能性があると言っても、結局窮余の策でしかないですから。

しかし、それとは別に、一方で私はどうでもこうでも松坂大輔の打席を見たいので、すべてのリーグが指名打者制をとることには反対です。

そこで解決法を考えたのですが、指名打者制をとらないリーグは、投手もキャンプから打撃練習をして打てるようにすべきではないでしょうか。
もともと野球はそういうものだったのだし、いい投手は打撃も出来る。
2. Posted by ライナ兄   May 20, 2008 21:44
 鬼門の交流戦がいよいよ明日から始まりますね。良いか悪いかは別にして僕の記憶が確かなら世界の野球の7割以上はDH制を採用しているとかしないとか誰かが書いていたような。併せてDH制を採用していないのは今どき時代遅れとかも誰かが書いていたような。。。
 今日はパリーグチームが全勝しそうな雰囲気ですが、こうみるとやっぱパリーグのレベルって高いんじゃん?と笑みがこぼれます。明日のライオンズはそのパリーグにおける首位チームなんですから強い勝ち方をして続いてほしいです!
3. Posted by 真幸   May 20, 2008 22:04
こんばんは。
リンク集に登録したらいいのですか?
4. Posted by だい   May 20, 2008 23:15
>管理人様

 仙台遠征おつでした。僕は土曜に行ったので、ニアミスだったようですね。負けたのは残念ですが、帆足とドミンゴの投手戦は見応えがありました。

 交流戦ですが、僕はパリーグ主催試合でDH制を採用するのに、予告先発を採用しないのが納得できません。

 セリーグはDH制には付き合うのに、予告先発には付き合わないのは片手落ちというか、ハンパな気がするのですが、どうでしょうか?

5. Posted by 家褒め名人   May 21, 2008 00:03
TBの件、了解しました。というか大歓迎です。
6. Posted by 筆者です   May 21, 2008 12:26
LIBELAさん>たしかに、西武で言えば松坂(もういませんが)・涌井・西口の打撃は見ごたえありますね。

指名打者制度を、各チームの選択性にするなんてどうでしょうか。
7. Posted by 筆者です   May 21, 2008 12:28
ライナ兄さん>指名打者は、WBC、アジアシリーズなどの国際大会でも使用されていますね。

指名打者が入ることで、投手のレベルアップにも繋がると、ボクは思います。
8. Posted by 筆者です   May 21, 2008 12:29
だいさん>同感です。
指名打者・予告先発・2試合制と、パはセの案に妥協してばかり。

いいように牛耳られていますね。
9. Posted by 駿河守   June 01, 2008 06:06
4  私はプロは指名打者制度の方が良いと思っています。 怪我防止の為にも投手は投球に専念した方が良いと思いますし、技術的にも一般の野手に比べれば練習量も落ちますから。
10. Posted by 筆者です   June 01, 2008 18:31
駿河守さん>西武はこれまで、阪神・広島と、指名打者制度のない試合をしました。

やはり投手の打席は面白みに欠けますね。

特に2死走者なしで投手が打席に立つと、ベンチは打席の投手に見逃し三振指令。

盛り上がりに水を差している気がしますね。