米メジャーリーグ機構がこのほど、敬遠に関するルール変更をメジャーリーグベースボール選手会に正式に提案したと、ESPN電子版が伝えた。
 投手が意思表示をすれば、ボールを4球投げなくても打者を1塁に歩かせることができるという。


 なぜ、このようなルール変更が行われるのか。
 その背景には、プロ・アメリカンフットボール・リーグNFLがある。

 NFLの優勝決定戦であるスーパーボウルは今年も、ニューイングランド・ペイトリオッツの逆転劇、レディー・ガガのハーフタイムショー出演などで話題を集めたが、この試合を推定1億1,130万人ものファンが見守ったという。
 また「スーパーボウルCMは世界一高い」と言われているが、ニューヨークタイムズによると、今年は30秒間のCMに平均500万ドルが費やされたそうだ。

 NFLにあってMLBにないもの、それは時間制だ。
 アメフトは60分間に4つのクォーターを戦う。試合時間が決まっているため、ファンは試合に集中できるし、メディアも放送しやすい。注目度が高いので、自然とスポンサーが集まる。
 一方野球は、時間制限がない。特にMLBは決着が着くまで試合を続行する。だからこそ、試合時間の短縮に取り組んでいる。
 2015年には、攻守交代の時間2分25秒、全米中継試合では2分45秒に設定した。
 また打者は基本的に、バッターボックスに片足を残しておかなくてはならなくなった
 この結果、選手は時間とも戦うことになった。攻守交代では、投手は残り30秒までに投球練習を終え、打者は20〜5秒で打席に入り、投手は20〜0秒で投球動作を開始しなくてはならない。
 打者がバッターボックスに片足を残すルールに対しても、一部の選手から不満の声が挙がった。
 それでもコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は、「ルール変更は試合時間を適正化するうえで、大きな一歩だ」と手応えを感じている。

 はたして、敬遠のルール変更がどれほどの威力を発揮するかは不透明だが、メジャーはやるとなったらとことんやる。
 選手会の協力を得られれば、ルールは見直されるだろう。