April 21, 2017

山路審判員の受難

 球界にはこんな都市伝説がある。
 「球審を1試合やると、寿命が1週間縮む」。
 あくまで都市伝説に過ぎないが、信じたくもなるような事態が今、起きている。




 事の発端は、19日に行われた広島東洋カープ横浜DeNAベイスターズ第2回戦だ。
 緒方孝市カープ監督が、1塁塁審の山路哲生審判員の2度に渡る微妙な判定に激怒。猛抗議の末に退場を命じられると、インターネット上では山路審判員を非難する書き込みが相次いだ。
 翌20日の同一カードでも、球場では、球審を勤めていた山路審判員に強烈なヤジが浴びせられた。

 当ブログでは、件のジャッジについて言及するつもりはない。微妙な判定だったとだけ、言っておく。
 ただ、一連の山路審判員の批判に恐怖を感じるとともに、審判員には同情を禁じ得ない。

 野球の歴史は長いが、今ほど審判員が生きにくい時代はないだろう
 映像技術の進化とインターネットの普及で、ファンは時と場所を選ばずに鮮明な映像でプレーを確認し、自分の意見を発信できるようになった。
 その結果、今回のような騒動につながっている。
 ファンは良かれと思って意見を発信しているのだろうが、正義も束になれば武器に変わる。人を傷つけることも簡単だ。

 さらに審判員を苦しめているのが、ビデオ判定の導入だ。
 ジャッジの正確さを期すためのビデオ判定だったが、案の定、審判員の権威を損なう結果になった。
 ファンは安易にビデオ判定を叫ぶようになった。米メジャーリーグで採用されているチャレンジ制度の採用や、ジャッジの機械化を求めるような声も聞こえてくる。

 はたして、このような環境下でまともな仕事ができるだろうか。
 打者なら3割、先発投手なら6イニングス以上を投げ3自責点以内に抑えるクオリティ・スタートで評価されるのに、審判員は1度のミスも許されない。常に完全試合を達成しないと非難される
 もちろん、ミスはないに越したことはないが、今回の山路審判批判は異常だ。

 「俺がルールブックだ」のエピソードで有名な故二出川延明審判員は、写真判定に対し「写真が間違っている」と自分のジャッジの正当性を訴えたという。
 彼のような力強い審判員がいて、また世間もそれを許していたころが懐かしい。


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この記事へのコメント

1. Posted by toshi26@大分鯉物語   April 21, 2017 12:32
初めまして。
本件、1度目はビデオ判定でなければわからなかった可能性がありますが、2度目は普通に見た目でわかるように感じました。
むしろ一度下した判定を覆すことができない方が、より苦しい立場にしている気がします。
チャレンジ導入は反対ですが、審判団が必要と認めればビデオ判定するなどの臨機応変な対応を望みたいです。
2. Posted by 名無し   April 21, 2017 12:42
「常に完全試合を達成しないと非難される。」大変ですよねー
一塁線が土の球場でヘッドスライディングされるの見辛いんですよねー

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