2006年04月07日

想像と無秩序な美

YCAM

haikyo








農大と早稲田で造園や建築を学んでいる友人が、面白い記事を書いていた。

アーティスト志向がある人は、廃墟とか、人ごみとか、どうもカオスを好む感じがある気がする。昼間私が生きている世界―ランドスケープは異物を排して秩序や統一を好んでいると思う。でも実は僕が○×荘みたいなトコに住みたい願望があるとか、ウチのゼミの子達が結構下町好きだったりするトコとか、結構人はカオスが嫌いじゃないとも思うのだ。

『ビビコラ』 http://blog.livedoor.jp/mrnv3412/archives/50489001.html

完全で秩序がなければ美ではないと考える人もいるだろうが、不定形な美、無秩序の美も好む、ある一部の領域の人々は確実にいる。アーティストではないが例えば私なんかは、ただ純粋に綺麗な風景画よりも、対象を何層ものフィルターを通して描いているムンクやダリやキリコの方が好きだし、廃墟や人ごみや下町は大好きだ。

しかし、何故、そんな “もう何がなんだか分からないようなもの” に美しさを感じるのか。以前、別の友人からそんなことを聞かれて答えにつまったが、最近何となく自分の中では結論が出つつある。

それは、“想像が誘発される” からではないか。

不定形、無秩序の美は、隙だらけで、突っ込みどころも満載だ。しかし、それだけに、そこへ “想像力を介在させることができる” と思う。対象を “想像力で補完する” のである。建築を学ぶ彼の言う “アーティスト” は否応無く “想像力が豊か” であるはずだ。そんな人が無秩序に屋台やら看板やらが乱立し、人間でごった返した繁華街へ行ったらどうなるか、十数ではない、短編映画が撮れるほどの数百枚、数千文字の映像や情報を想像するに違いない。イメージされた光景は論理を超えて本人に衝撃を与え、そして、それは論理の及ばない、 “圧倒的な美” であると思う。もちろん、完全な美でも想像力は働く。しかし、比にならないと思うのだ。

上の二枚の写真。 『山口情報芸術センター(YCAM)』 と 『志免町の鉱業所立杭櫓※』 。YCAMの、波形や円や四角形で構成される外観は美しい。ただし、想像はさほど誘発されない。良くて、夜中に内部で働いている人々のことを思い巡らすくらいだ。しかし、宇宙人が造ったようにすら見えるへんてこな構造の鉱業所立杭櫓から読み取れる情報量、そこから生み出される情報量は莫大だ。

『これは人間が生まれるよりずっと前に古代人によって造られた自走式の砲台であり、自ら岩盤を削り地中の石油を汲み出し走り続ける、ある意味の永久機関であった。神々との戦争で沈んだアトランティスからの古代人の逃走に使われ、今、日本である場所まで辿り着いたが、雷と業火で受けたダメージが大きすぎてついに走ることができなくなり、静かにその役目を終えたのだ。…という妄想を描いていた、どこにでもいそうな平凡妄想少年が、彼女に振られ、ショックで地味に発狂し、もう一度この自走式砲台を動かせるのではないかと内部へ立ち入り、風化で空いた床の穴に落ちて死んだ。…というのは全部嘘だが、そんな噂話が近所の小学校で流行り…』

…と、稚拙な妄想は止まらないが、こんな感じである。当然、初期条件を変えて再度想像力を働かせれば、もっと高尚で美しい物語になる。そしてその美しい物語が、対象を補完し、全体として圧倒的に魅力的な “美” として認識される。
対象が内包する歴史の不透明さと、予測不能な自然現象が作り出した無秩序なサーフェス。下町や繁華街、人ごみの場合はそこへ最も不確実性の高い “人間” が多量に組み込まれる。

後は、それを美しいものとして捉えられるかどうか、だ。
まぁ、 “美” というものへの考え方の違いだ、と言ってしまえばそれで終わりなのだが。

※ 『志免町の鉱業所立杭櫓』
廃墟画像を探していて辿り着いた 『& you film つれづれ日記&製作日誌』 さんの画像を勝手に使わせていただきました。
http://blog.drecom.jp/day_and_you/archive/488



yujiyasuda at 17:04│Comments(11)TrackBack(0)芸術 

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この記事へのコメント

1. Posted by ボカン   2006年04月07日 17:26
遊びに来ました

よろしくです
2. Posted by Nov   2006年04月11日 02:55
 Track backまいど。
そうなんですよ、左の写真より右の写真の方がワクワクするわけですよ。
 なるほど想像力で補完というのは当たってると思います。
僕の言い方にすると、意図され完成されたものは、
その人の美を受け取ることしかできないけれど、
無秩序で不完全なものには、誰でも自分の考えを加えることで
それぞれの美をつくり出すことが出来る。

 でもね、これはこれからクリエイティブな技術を
磨いていくのに悩みどころで、不完全なものに魅力を感じても、
不完全なものをつくることはできないと思うのです。
「これは不完全なものです」ってモノが完成する、なんて矛盾。
 どうにも禅問答のようなことを考えながら、これからも悶々とすることでしょう。
3. Posted by ゆうじ   2006年04月16日 11:39
レスが遅れました。

>「これは不完全なものです」ってモノが完成する、なんて矛盾。

そう! まさにそこが悩みどころなんですよね。
プロフェッショナルが不完全な美をつくろうとすると、ただ手を抜いているだけに見えたり、そもそも一般的に受け入れられにくいので、バッシングを受ける可能性もあるわけです。
キュビズムのピカソなんて、人によっては適当に描いているようにしか見えなかったりするわけで…。

となると、「これは不完全なように見えますが計算しつくされている、ある意味、完全な美です。しかし完全な美だとは考えないでいただきたい」という、なんとも無茶苦茶な注釈を付けることになるのでしょうか。

美のプロフェッショナルは、この矛盾と戦い続けているのでしょうか。それとも、何か既に体系的に解釈されていたりするのでしょうか。
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