とらが虹の橋を渡って行った。私の誕生日の翌日のこと。(厳密に言えば翌々日なのだが、ちょうど真夜中ごろだったので)
思うところあり、あえて日記には記さなかったのだが、とらは11月中旬からいきなり食が細くなった。
食べたいのに食べられない、というより、食に全く興味を失ったという感じだった。
それと同時に水をガバガバ飲むようになった。これはあまり良い兆候ではない。腎不全、再発か。。。
一枚でも今のとらを撮っておこう、とカメラを向ける。
こんなのとか
こんなのとか
12月の初め、病院で検査したところ、確かに腎臓病の数値は上がっているが、それほど無茶苦茶に上がっているわけではない。触診によると腎臓が変形しているのが気になるとのこと。もしかしたら小さく硬くなってしまって用を足していないか、ガンかしているのかもしれないということだ。
また、前から少し気になっていた、甲状腺機能亢進症の数値が上がっている。
この病気は食べても食べても身にならない、という病気だ。めちゃ食いしていてもどんどん痩せていくという、一部のダイエット希望者には夢のような病気で。。。いやいやそうじゃなくて。
猫にとって、腎臓病と、この甲状腺の病気は、バランスが取れていれば腎臓病の進み方が遅くなるという、夢のような組み合わせである。そのためかとらは無茶食いはせずとも理想の体型、体重を保ち、また点滴や薬の世話になることもなく6年の間、とても健康に過ごしてきたのだ。
とりあえず先生は、甲状腺の病気用の食事に切り替え、見てみたいとのこと。また、腎臓がガン化していないかどうかをエコーで確認したいということで、OKを出す。
エコーの結果では、腎臓は特にガン化はしていないが収縮しているのは確かだということ。
その他腹部の問題点は見当たらない。
その間にもとらは食べなくなっていく。この時点で私は、「あ。もうこれは最終章に入っている」と感じていた。
あとは、どこまで、生きている間楽にしてやれるか、である。
とりあえず脱水症状を少しでも軽減するため、100ccの点滴と、
猫の万能薬、ステロイド剤の投与。銀や天と比べて、とらはすごく上手に薬を飲んだふりして吐き出すことができるので一苦労。
あと、猫は口から何かを食べなければいけないのだが、注射器での給餌はものすごい嫌がり方でできないことが判明。次々に餌を試してみて、本猫の気分により1日に5-10口、幾つかの缶詰を食べることがわかったのでそれを中心にやることに。
毎日毎日、すごい勢いで体重が減ってゆくとら。新年は迎えられないのかもと思っていたが越えてしまった。
1月3日以降、おしっこのコントロールができなくなった。大きい方も踏ん張ってみるけど、出ない。そのはず、食べてないんだから。
1月5日、完全に食べなくなった。水も飲まなくなった。天の場合ここから2日だった。ただ、まだしっかりとした足取りで、夜中に外に出たがり私と純と3人で、前庭をウロウロ散歩した。
1月6日。霜が降りて寒い朝なのに出たいという。しばし裏庭の隅で佇み、純とじゃれあって(というか、純がじゃれついて、というのが正しい)、戻ってくる。これが外に出る最後となった。
1月7日。なんとなく、今夜が山だという直感があり、仕事を家からさせてもらう。何かあった時に子どもたちだけだとどうすればいいかわからないからだ。幸い翌日は休みだし。夕方以降、お気に入りのクッションに倒れ込み、時々寝返りなど打ちながら、昏睡状態に入る。時々手足を赤ちゃん猫のようにかいくりして、まるで何か夢を見ているように小さく鳴いたりしている。クッションからずり落ちるのをまーにあげてもらいながら、寝ている。
そして真夜中過ぎてから、痙攣が始まる。膝に抱いてやると意識はないまま体や手足を伸ばしたり曲げたり。体の筋肉のあちらこちらが、ピピッ、と痙攣する。全く苦しそうではない。見ていて、「忘れられないおくりもの」のアナグマさんを思い出す。アナグマさんは体が軽くなってどんどんどんどん走って行ったんだよなあ、なんて思いながら、とらも今頃は不自由な体を抜け出して振り返りもせず走っているんだろうかと考える。やがて、呼吸が小さくなり、完全に止まる。そして太鼓判を押されていた力強い心臓の鼓動も徐々に小さくなり、止まってしまった。午前0時40分。とても静かな最期だった。
そっとクッションの上に横たえ、硬くならないうちに体を丸めてやる。
安らかな死に顔にちょっと癒される。とらくん、お疲れ様。よく頑張ったね。
金曜日夕方、りおと一緒にお花を買いに行く。この季節はさすがに庭に何一つ咲いていないので、マーガレットとバラを中心にして埋めてやる。
お気に入りのキャットニップが入ったおもちゃと、キャットニップと、ご飯と、手紙。
タイガー電子ジャー炊きたての箱にちょうど収まった。やっぱりとらちゃん小さいわ、天や銀に比べたら。
土曜日の1月9日。
とらを火葬場へと連れて行く。
軽いかる〜いとら。来週末にはお骨になって戻ってくる。
もう少し、別れは先かなあと思っていたのだが、あっという間だった。
これで猫が純一匹になってしまった。どうしよう。