Count.120 「ロイヤルランブルで学ぶサラリーマンの処世術」


こんにちは、Osamynです。
罰金って高くね? あんなに取らなくてもいいのに。
支払って以来トレカを買えてません。今度は漏らします。

さて!
ロイヤルランブルの季節がやってきましたね。
ここからレッスルマニアまでの数ヶ月は、WWEのクライマックスと言っていい時期だと思います。
字幕ナシの海外版をとっくに観たという人も、先週放送されたスカパーの字幕版を速攻で観たという人も、まだ観ていない人もいることでしょう。
まだ観ていない人は本日開催される、ロイヤルランブル2014のパブリックビューイングに行ってみては?
詳細は公式サイトのこちらで。
ほんのちょっとの勇気を出して、残業している上司や同僚を尻目に電光石火で退勤打刻を叩きつけよう!

1988年に始まったロイヤルランブルは、今月の大会で27回目になる。
毎年、驚きや感動、そしてレッスルマニアへと続くドラマが展開されるけど、
もっとも泣けるのはロイヤルランブル2002であろう。
とくに僕のようなリーマン……もっというと組織(の下のほう)で働く社会人諸君は必見だ。

内容をざっくり説明しよう。
リング上のスーパースターを端からどんどん片付けて無双状態だったテイカー先生を、デビューして間もないメイヴェンがオーバ・ザ・トップロープさせてしまう。
まさか!の表情のテイカー先生。
そのあとメイヴェンはテイカー先生にかなりの間いたぶられ続けることになる。

これはパッと見、身の程知らずの若造がベテランにフルボッコにされるという、お馴染みのシチュエーションのように思えるかもしれない。
レッスルマニア21でも、オースチンとパイパーがパイパーズピットで会話しているところをカリートが邪魔しに来て、スタナーの餌食になるシーンがあった。
しかしロイヤルランブル2002はそれとは異なり、たいへん深いテーマ性が隠されている。

まず、メイヴェンはかなり頑張った。
そしてメイヴェンは悪いことはひとつもしていない
正当なルールにのっとって戦い、あくまでもクリーンにベストを尽くし、結果を出したのだ。
ルール的な反則もしていないし、卑劣な行為もしていない。

これに対し、テイカーが落とされたのはテイカー自身の過失が原因だ。
(既に失格になっているハーディーズがテイカーに絡み、テイカーはそれに気をとられた)
ランブル戦は多人数で乱戦になるルールなのだから、周囲に気をつけるのは当然だ。ベテランのテイカーがそれを知らないはずはない。
テイカーを落とした技は反則技ではなくクリーンなドロップキックであった。

疑いようのない大金星だ。評価されるべきモーメントだと言っていい。
若き新人のサクセスストーリーがここから始まるのかッ!? 
と、観ていて思った。 落とした瞬間から10秒くらいの間だけ。

問題なのはここからだ。

その後、テイカーは失格したにもかかわらずリングに戻る。これはルール違反である。
試合権利をまだ有しているメイヴェンに対し、不当な暴力を振るう。これは反則であるばかりか人道的にも卑劣な行為だ。

レフェリーは止めないばかりかリングに入ろうともしない。
これは職務怠慢だと言わざるを得ない。
スポーツにおいて審判は絶対的正義であるはずなのに、反則によって不平等な結果が引き起こされるのを見て見ぬフリである。

それでもまだ収まらないテイカー。メイヴェンを場外に連れて行き、暴行のフルコースをお見舞いし続ける。
番組的に、ランブル戦は継続しているのだけど、一時的にリング上は試合を行える者がいない状態になる。
これは視聴者や観客を完全に無視した行為だ。
お客からお金を取って娯楽を提供する組織としてあるまじき行為だといえよう。

少しして、ようやく次のスーパースター、スコッティ・2・ホッティが登場!
良かった。リング上が無人じゃなくなる!
しかし激おこテイカー先生、その踊りを見てイラっとしたんだろうか。
エントランスでダンスしているスコッティを鉄拳制裁!
とんだとばっちりだ。
ランプでぐったりするスコッティ。
音響スタッフがヘンに空気読んでスコッティの入場テーマ曲をそこで止めちゃうし。
通常であれば、どんなに憎しみあっている同士の試合であっても、入場シーンの踊りやアピールが終わるまでは対戦相手は待っていてあげるものだ。
ついでに言うとテイカーとスコッティは別に抗争中ではなかったし、そもそも既にテイカーの試合ではない。

その次のスーパースターとして、クリスチャンが入場。
おお、クリスチャン登場か! これでランブル戦に戻れるぜ!
と思ったのもつかの間、クリスチャンがリングインする前にカメラがバックステージに切り替わる。

廊下でメイヴェンを連れ歩くテイカー。
その様子は、カツオの耳を引っ張ってお仕置きしに行くサザエ(北米版)って感じだ。
お客さんが利用する、ポップコーンの売店に移動。
売り物のポップコーンが入っているガラスケース(製造マシン)にメイヴェンを突っ込ませてガラスをぶち割る
大量のポップコーンが機械から流れ出て、メイヴェンはポップコーンまみれに。

売店はアリーナのテナントでありWWEの所有物ではない。ポップコーンマシンは言わば他社の備品だ。
他社の商材であるポップコーンを不当に損なわせた上に、機材まで破損させている。
社会人として、いや、人として問題のある行為だ。

話しをクリスチャンとスコッティに戻そう。
華々しい入場シーンの途中だった彼らは、PPVでの見せ場を奪われてしまった。
2人には何も落ち度が無かったはずだ。
スコッティとクリスチャンは、どう思っただろう?
番組が終わった後のロッカー室とかで、愚痴ったに違いない。
メイヴェンのせいで俺たちの出番がなくなっちまったよー」
「ホントだよな、せっかく5大PPVのひとつに参戦できたのに、メイヴェンのせいで

そして、極めつけは観客だ。
ほとんどの客が、テイカーと、彼がお見舞いする暴力に対して歓声を送り、興奮しているではないか。

人生ってなんなんだろう?
メイヴェンは、コネを持たず、タフ・イナフに自力でエントリーした。
そして、ものすごい倍率の中で、過酷な訓練に耐え抜いた。
努力で優勝を勝ち取ったのである。
デビュー後も、少しでも良い結果を出そうと必死にがんばった。
その姿は社会人として尊敬すべきものだ。
しかし、彼を待っていた仕打ちはどうだ。
心無い上司による規約に無い暴力
ジャスティスだと思っていたレフェリーは何故か止めに来ない。
気の優しい先輩社員に、これが原因で多大な迷惑をかけてしまう。
どう見てもテイカーが原因なのに、先輩達の怒りの矛先はメイヴェンに向くのである。

……PPV終了後、メイヴェンは酒飲みまくっただろうなぁ。言うまでもないけど祝杯ではない。
おでん屋のオヤジに愚痴こぼしているメイヴェン。
そしてメイヴェンに説教するオヤジ。
「にいちゃん、“仕事”ってのはナァ。そういうモンなんだよ。
お給料ってモノはサ、理不尽を飲み込んだ分だけ、もらえるってモンさ。
若けぇからまだ解らねぇかな。 まあ、歳とればわかる」
これを想像すると、もう涙が止まらない。

こういうことって、サラリーマンには良くあることだ。
ここだけの話し、僕にもテイカーみたいな上司がいる。(あと、ヘイマンみたいな人と、ビンスみたいな人)
メイヴェンは社会人になりたてで、アクの強い上司の間で上手に生きられなかったのだ。
ロイヤルランブルの前に「島耕作」とか「半沢直樹」とかを見ていたら、結果は違ったかもしれない。

ハッ! もしかして!?
こういう悲劇によって、未来のある若者がくじけてしまわないように、フレッシュマンが上手にやる方法として用意されたのがマネー・イン・ザ・バンクなのではないだろうか?
報復されないように、かなり自由にタイミングをはかることができるし。
発言力のある大御所だって、暴力大好きな怖い上司だって、試合のあとの疲れている時ならば、黙らせてしまうことができるというもの。
マネー・イン・ザ・バンク・ラダーマッチが始まったのは2005年。メイヴェンの件の、少しあとだ。
もしそうだとしたら、従業員のメンタルケアや、若手社員のスキルアップにも柔軟に対応しているWWEは
さすがだと言わざるを得ない。