WWEモバイル・アーカイブ

2017年9月1日、WWEモバイルに掲載されたインタビュー記事の再掲です。
(取材:2017年8月18日 ニューヨーク)


-本日はお忙しいところ、お時間をいただいてありがとうございます。お会いしたらぜひ伺いたかったのですが、『ニュー・デイ』というユニットはどのようにして生まれたのでしょう? WWEクリエイティブチームのアイデアですか? それとも自分たちで提案したのですか?

ウッズ俺たち3人から提案したアイデアだ。ビンスに提案した。

-おお、反応はどうでした?

ウッズビンスは「ちょっと考えさせてくれ」と。そして数日後に「つまりゴスペルの説法師みたいなもんだな? 悪くない」って言われた。俺たちの考えとはちょっと違う解釈に感じたけど、機会がもらえるならと思って話を合わせたんだ。ハハハ。

-とにかくGOサインが欲しかったんですね。

ウッズまさにそれ。でもビンス自身も、俺たち3人が大きく変わるチャンスを欲しがっていたことは理解してくれていたと思うよ。

コフィ俺としては、「ちょっと違う解釈」どころか「俺たちがやろうとしてたことの正反対」ぐらいに感じた部分もあったけどね。ハハハハ! でも、ビンスにどんな『ニュー・デイ』をやれと言われようが、成功させる気満々だったよ。これはプロレスラーが新しいギミックと向き合うときに大事な精神なんだ。

-なるほど。実際にユニットをスタートしてみてどうでしたか?

ウッズ知ってのとおり、観客のニュー・デイに対する最初の反応は最悪だった。ネガティブな反応ばかりだ。でもね、今にして思うと、最初の反応が悪かったことは、けっこうプラスになっていたなって思うんだ。必要な段階だったとも言える。
小説に例えるとさ、登場人物の中に気にいらないキャラクターがいるとするだろ? でも、読み進めるうちにどんどん好きになったとする。そうすると、感情が変化する過程があった分、読者はそのキャラクターのことをより特別に感じるんだ。

-ああ、よくわかります。

ビッグEファンの反応が「無関心」じゃなく「嫌悪」だったことも良かった。嫌悪の感情は、ユニットの進化に利用することができるからね。無関心が一番危険なんだ。続けることも変えることもできない。嫌悪は、いわばフィードバックだから改善もできるし、逆にさらに感情を逆撫ですることもできる。毎回ニュー・デイの入場曲が流れたときに、観客が無関心なのか、嫌悪の気持ちが生まれるのかは大きな違いなんだ。

-今では、WWE史上に残る大成功ユニットとなりました。そして非常に長く続いているユニットでもあります。

ビッグEとくに今年は仲間割れがブームだしな。「エンツォ&キャスまで別れたのに、なんでニューデイはまだ別れないの?」って思ってるファンもいるかもしれん。ハハハハ!

ウッズ長続きしてる理由は、やっぱり2人じゃなく3人ってことだろうな。

ビッグEそうそう。2人と3人じゃ大差無いと思うかもしれんが、「2人の組み合わせが3つある」って考えると大きな差なんだ。関係が複雑で見飽きない。

-あっ、たしかに。

ウッズ「仲良し3人組」の強みを最大限に活かせているのがニュー・デイだと思う。本来、飽きられずにキャラクターを長くやっていくってのは難しいもんだ。ずっと同じことをやっていれば、たとえジェームズ・ボンドみたいなすごいキャラクターだろうといつかは飽きられてしまう。その点、「仲良し3人組」のおしゃべりには相乗効果が生まれやすい。
それにアイデアって、自分のことだとなかなか面白いことを思いつきにくいものなんだ。でも、他の2人のアイデアを考えるのは楽しい。これも3人組の利点だな。

-すごく腑に落ちます。たしかに自分のことって一番わからないものですよね。

ビッグE俺たちとしては、他にも面白いユニットがたくさんほしいね。だから冗談じゃなく、今年のチーム解散ブームは寂しいよ。相手がいてこそ盛り上がるってもんだ。ウソーズが別れないように見張っておかないと。

-ちょっと気になったんですが、3人ともWWEに入った時期はバラバラですよね? どうして仲良くなったんでしょう。

コフィよくぞ聞いてくれた! 話は俺がデビューする前にさかのぼるんだ。10年くらい前、俺はDSW()っていう団体にいた。
※Deep South Wrestling:WWE傘下の提携団体
DSWで活躍すればWWEにデビューできるんだと必死でやっていた。
ある日、いつものように練習してたら、スーツ姿の青年が履歴書を持って入団希望に来た。連絡もせずに直接来て「入団させてください!」なんていう熱血漢は最近いないから、正直俺も最初は笑いものにしてた。それがエグゼビアだった。今にして思うと、自分が働きたいところを直接訪れて履歴書を渡すって全然変なことじゃないよね。オーナーのジョディ・ハミルトンも気骨がある奴と思ったのか「オーケー、来週から来なさい」と言った。

ウッズ帰り道は「よっしゃあ!」って舞い上がってたよ。ところが、まさにその翌日、WWEが発表したんだ。「DSWを閉鎖する」って。

-ひええ・・・。

コフィタイミングが悪かったよね。すでに在籍していた俺たちは、フロリダのFCW()に移ってしまった。
※Florida Championship Wrestling:NXTの前身であるファーム団体

ウッズサウスカロライナから3時間も車を飛ばして行ったんだぜ? 大学の教授に「どうしても挑戦してみたいんです!」って頭を下げて講義を休ませてもらってさ。教授も「君の夢を叶えなさい」と感動的に送り出してくれたのに。悲しいオチがついてしまった・・・。

-それがお二人の最初の出会いだったんですね。

コフィところがまだ続きがある。フロリダに移ってFCWで練習していたら、またドアが開く。またエグゼビアだ! また片手に履歴書を持ってる! でも今度はうまくいかなくて門前払いされてしまった。結局、彼がFCWに入れたのは、俺がWWEに昇格してからだ。噂でそれを聞いたとき、自分のことのように嬉しかったのを覚えてる。あの熱血漢が、どれだけWWEに憧れていて、そこに辿り着くまでにどれだけ辛抱強く努力してきたかって思うと素直に感心したよ。つまりその頃から、エグゼビアのことは芯の通った奴だなと一目置いてたんだ。

ウッズそして、俺がFCWに入ったときの同期入団がビッグEだ。ビッグEのほうが先に昇格したけどね。

ビッグE俺はFCWからWWEに昇格してすぐに、ドルフ・ジグラー、AJリーという人気選手と組むことができた。シナとも絡むことができたり、すごくいいポジションを与えられたと思う。でも、しばらくするとわかってくる。ポジションを与えてもらえるのは最初だけだ。その先は、自分で考えてギミックやストーリーを生み出していかなきゃいけない。俺には焦りが出てきていた。

ウッズ俺はビッグEの2年後に昇格できたんだけど、あまり良いポジションは与えられなかった。最初はRトゥルースの相棒。その後もオマケっぽい役割ばかりで、毎日すごく落ち込んでた。最悪な時期だったよ。
ある日、ふと気付いたんだ。「今すぐすごいことをやらなくちゃ」って。血の滲むような努力を重ねて、ようやくWWEのリングに上がるところまでこぎつけたんだ。何も面白いことができないままクビになったら後悔してもしきれない。俺は、温めていたユニットのアイデアを同期のビッグEに話すことにした。

-いよいよですね。聞いていてワクワクします。

ビッグEそのとき俺はIC王者だったが、ルセフとの抗争はあまり盛り上がっていなかった。エクストリームルールズPPVのときだったか、現場監督のロード・ドッグに言われた。「ビッグEに大変革がほしいと考えている」と。「それはどんなことだ?」と聞くと、「いや、何か決まってるわけじゃないよ」と言われた。つまり自分から何か大変革を起こさないと、下部団体に戻されるか、最悪クビになるってことなんだと悟った。じつは、あとになって聞いたんだが、実際にあの時、もうすぐ構想から外れることが検討されていたらしい。俺は窮地にいた。そんなときにエグゼビアから提案があったわけだ。俺は食いついた。

ウッズビッグEが賛同してくれたんで、まずは2人でプレテープをたくさん撮ってみた。プレテープってのは、新しいギミックを会社に提案するための映像だ。数週間あれこれ工夫して撮っては、撮った映像を見て2人で分析した。その結果、2人ともひとつの結論に達した。それは「もうひとり必要だ」ってことだ。

-おおお。

ウッズそのとき、真っ先に出た名前がコフィだった。3人目がコフィなら最高だなと思った。でも正直、実現する可能性は低いとも思っていた。なぜなら、コフィはすでに人気スターだったから、なにも俺たちの変革に付き合わせなくてもな、というのがひとつ。そして何よりも、俺たちが考えていたユニットのアイデアは、空気を読まずにひんしゅくを買うような「ヒール」だったんだ。コフィはWWEの中でも珍しい純潔なベビーフェイスだったからね。本人も会社も、ヒールターンに賛成してくれるとは到底思えなかった。でも、ダメで元々、当たって砕けろだ。俺はコフィに直接話を持ち掛けることにした。昔、何度も履歴書を持ってWWEの門戸を叩いたときのように。

コフィ俺の視点からの話をしよう。俺は7年以上WWEでやってきて、一定の地位は築いていたと思う。でも、もうひとつ壁を破るためのきっかけを探していた。憧れていたトリプルHやロックみたいな超一流を目指すにはどうしたらいいだろう? それは自分の中の「人間的な部分」を晒すことじゃないかと考えた。そのためにはいつかヒールをやることが必要だったんだ。悪意や慢心、他人への攻撃性こそ「人間的」だと思うからね。だから、じつは何度か会社にヒールターンを提案していたんだ。でも「コフィはベビーフェイスが似合うからなあ」と却下されていた。ずっと呑気にベビーフェイスをやってきたことのツケだよね。それまで、自分からやった一番のギミックチェンジは訛りを無くしたことくらいだったんだから。
エグゼビアのアイデアを聞いたのはそんな時だった。即答したよ。断る理由は無かった。

ウッズコフィが入ると言ってくれたときの俺の嬉しさがわかるかい? 彼がずば抜けた運動神経の持ち主だってことは誰だって知ってるし、コフィを嫌いなWWEファンなんかいない。ファンの記憶に残るモーメントを次々と生み出せるコフィは、団体にとって最も価値のある選手だと俺は思っていたよ。そのコフィと組めるんだ。最高だ!って思った。ビッグEはあの体とパワーを持ちながらクルーザー級のスピードで動ける。そして3人目は誰も知らない俺だ。ハハハ!

-ニュー・デイの誕生秘話を伺えてすごく感動しています。3人が必要としていたものが、シンクロしていたんですね。

ビッグE縁だよな。しかしさっきも言ったが、結成当初は苦労した。うまくいってないときってのは、周りからいろんなことを言われるもんだ。批判の嵐さ。3人一緒じゃなかったら耐えられなかったかもしれん。3人いれば「ちくしょう!」「今に見てろよ!」って一緒に悔しがってゴミ箱を蹴ったりできるからな。あ、「ゴミ箱を蹴る」っていうのは、話を面白くするために大げさに言ってるだけで、俺自身は温和な男だぜ? ハハハハ!

-具体的に周りからどんなことを言われたのでしょう?

ウッズファンや会社にもいろいろ言われたけど、やっぱりキツかったのは選手からのネガティブな批判だな。

ビッグEショックだった批判のひとつは、ビッグショーがコフィに言った言葉だ。そのとき、俺とエグゼビアもすぐ隣にいたんだ。なのに彼はコフィにこう言った。
「コフィ、この2人と組んでたって時間の無駄だぞ。ニュー・デイのギミックは失敗だ。お前にはポテンシャルがあるのに、どうしてまだこいつらと組んでるんだ?」

ウッズビッグショーは、コフィを呼び出してそのセリフを言うこともできたはずだ。なのに、俺たちの目の前で言った。あの悔しさは忘れられない。

コフィプロレスのギミックっていうのは、やると決めたらしつこく続けて成功の芽を探すものだ。ビッグショーくらいのベテランなら、そのことはわかっていたはずなんだけどね。知恵を絞って一生懸命、成功させるために邁進するしかない。俺たちはまさにそれをやっていたときだった。

ビッグEその通りだ。

-・・・キツいですね。

ウッズビッグショーを嫌いにならないでくれ。今ではすごく尊敬しているんだ。なぜかというと、ニュー・デイ結成当初、批判してきた人は何十人もいた。その中で、ニュー・デイのブレイク後にわざわざ謝りに来てくれたのはビッグショーだけなんだ。「すまなかった。お前たちは本当によくやっている。俺が間違っていた」って言ってくれた。誠実な態度だ。なかなかできることじゃない。

-それはすごい。見習いたいものです。

ウッズククク、何も言ってこない他の奴らは、仕返しのために名前を忘れないようにしなくては。

ビッグEリスト入りだ! ハハハハ!

-大ブレイクした時点で、もう仕返しは終わっていますよ。

ウッズそのとおりだな。ブレイクの転機になったのは、ある日のちょっとしたプロモだった。俺はアーサー王の物語が好きで、そこから考えたセリフを使ったんだ。
「俺たちはWWEに魔法をもたらすユニットだ。ユニコーンが持つ魔法のように」
これがファンにものすごくウケた。ポニーの絵が描かれたTシャツが作られ、光るツノが発売された。じつは、レッスルマニア32のグッズ売り上げはニュー・デイが1位だったんだ! シナやレスナーより上だったんだぜ?

-なんと!

ビッグE昔、グッズ開発部門にニュー・デイのグッズ案を持っていって門前払いされたのが懐かしいぜ。そうだ、あのグッズ担当者もリストに入れておこう・・・。

ウッズハハハ。そういう反骨精神がニュー・デイの強みかもしれない。とくに俺は、レスラーとしては体が小さいだろ? プロレスラーを目指すと決めた日も、WWEに入ってからもずっと「お前には無理だ」って言われ続けてきたよ。だからこそ誰よりも「無理」に対抗できるのかもしれない。

-素敵なお話をたくさん聞けました。最後の質問なのですが、今年のレッスルマニアでニュー・デイは、ファイナルファンタジーの衣装を着ていましたよね! 我々日本のメディアとしては、すごく気になっていました。あれは誰のアイデアだったのですか?

ウッズおっ、あれか! 何を隠そう、じつはスクウェア・エニックスからの提案だったんだ!
もちろん俺はゲームが好きだし、とくに「ファイナルファンタジー7」の大ファンで、いつかプロレスにも活かせないものかと考えていた。でも、自分で考えているよりずっと早くチャンスが来たわけだ。

-ウッズ選手のゲーム好きは有名ですからね。

ウッズある日、トリプルHの役員室に呼ばれたんだ。役員室に呼ばれることなんて滅多に無いから、緊張して行った。そしたらトリプルHが、「お前ら、ファイナルファンタジーってゲーム知ってる?」と聞いてきた。
「知ってるどころか! 知ってるどころか俺が一番好きなゲームだ! 素晴らしいシリーズで・・・」って詳しく語ろうとしたら、「待て待て、知ってるならそれでいいんだ。それを作っているスクウェア・エニックスという会社が、レッスルマニアでニュー・デイとファイナルファンタジーのコラボをしたいって言ってきたんだけど、どうする?」
「は!?」
レッスルマニアで!? ファイナルファンタジーとコラボ!? 断る理由なんてひとつも無い。「ぜひ!! ぜひ!!」って答えたよ。コスプレの専門家や衣装デザイナー、小道具やぬいぐるみのスタッフにも協力してもらって想像以上の出来映えになったし、本当に素晴らしい体験だった。夢を叶えてくれたスクウェア・エニックスには感謝しかない。ぜひまたコラボしたいな!

-今後のご活躍も楽しみです。本日はありがとうございました!