大小迫 つむぎの家

よみがえれ! 大小迫の里山、人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

2010年、定年と共に岩手県大船渡市三陸町の故郷にUターンし、里山暮らしを始めました。
長い間放置し、荒廃した里山の再生を目指してすぐに「大小迫 つむぎの家」を立ち上げました。
築150年の母屋を中心とした、田んぼや畑、山林に囲まれた里地・里山です。
この地で無農薬栽培による米作りや山林の整備をしながら、生き物で賑わう自然と共にある暮らしを目指しています。
里山は地域に開放し、子どもたちの稲作体験や遊びの場にもなっています。
家族は、夫婦とヤギ4頭です。

虫たちはすっかり息をひそめ、それぞれのステージで冬眠に入ったと思われる師走、放牧場の柵にピタッと張り付いたガを見つけました。
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カバエダシャク。地色が樺色をしているのでこの名がついたそうです。
翅には2本の横線があり、前翅の先端部には白紋がついています。
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手乗りさせて観察しようと思ったら地に落ちてしまい、折りたたんでいた櫛状のりっぱな触角が現れました。カバエダシャクのオスです。
カバエダシャク
羽ばたこうとしているカバエダシャク
よく見ると首の周りにはモフモフした毛をまとい暖かそうです。
越冬形態は卵ですので、メスと出会って命をつなぎ、余生をのんびり過ごしていたところのようです。

師走に入り、氷点下まで冷え込む日もある中で、ちょっと脅かしてしまいましたが、生き物との出会いはうれしいものです。 

すっかり葉を落としたオニグルミの木から、「コッコッコッ」と、ドアをノックするよう音に誘われ見上げると、一羽のアカゲラが木の幹に潜む虫を探していました。
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幹を叩くアカゲラ
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食餌中、時々頭部を上げ周りを見渡し警戒している様子。
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幹をチョコチョコと歩き、上下左右とかくれんぼしながら、たえず動き回るアカゲラ。
小春日和の抜けるような青空の下での心安らぐ平和な光景です。

わずかに残った柿の実を逆立ちしながらついばむヒヨドリ、「ジュクジュク チィーチィー ジュルルー」と鳴きながら枝から枝へと移動するカラ類の混群、海を渡ってきたツグミやカシラダカも飛来し、田んぼの落穂や草の実をついばんでいます。
これからやってくる厳しい冬を生き抜く山野の鳥たちの穏やかな一コマです。

昼夜を問わずに人の生活圏まで下りきたクマの被害を防ぐために、市から依頼を受けた担当者が柿畑に箱ワナを仕掛けてくれました。設置後20日が経過、その間、高木の柿以外は収穫、その他キウイなどのクマの餌になるようなものはほとんど採り終えました。その後は、一週間ほど前に、真新しいクマの糞を一か所見つけただけで、特段のクマによる被害は見当たりませんでした。
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柿畑に仕掛けられた箱ワナ
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入口付近には、クマの爪痕や小動物が入ったと思われる跡が残されていました。
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ワナには、動物を誘引するリンゴと奥の方には、クマが好む本命の餌と思われるものがおかれていますが、奥まで入った気配はありません。警戒していた野生動物たちの様子が読み取れました。

昨日、市の農林課の方が来て「何も変化がないようなので・・箱罠を回収したいと思う」と言われました。「変化はありましたよ!入り口付近を見られましたか?」と言うと、初めて箱罠の近くに来られたようで、米ぬかの散乱や動物の爪痕に気づいたようです。
林道から見通せる場所に設置したので、これまでは遠めに確認していたようで、変化には気づかなかったようです。「どうして、いかにも箱罠がここにありますというように、こんな目立つ場所に設置したんですか。」と聞くと、「もし藪の中に設置して、子グマがかかった場合、隠れていた親クマに襲われる恐れがあるから」と、狩猟者の危険回避の意図があったようです。
クマは捕獲されず、箱罠が無用だったことに反面ほっとしました。
今年はどんぐりの不作による食糧難と、クマにとっては生存権のがかかった特別な状況が生み出した里での出没です。人の生活圏と重ならないようにすみ分けしながら、共存できることを願っています。


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