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令和元年最後の日となりました。
映画『時の絲ぐるま』の製作にあたり本当に多くの方に支えられ、そして各地の上映会ではたくさんの人に足を運んで下さり感謝の気持ちでいっぱいです。
 

この映画は大嘗祭へ調進される麻織物「あらたえ」と絹織物「にぎたえ」にまつわるドキュメンタリー映画ですが、取材を進めてゆく内に僕が10年以上追い求めていたテーマが重なることが分かりました。
それは、日本における『アニミズム性』です。
私たちは食事をする前に「いただきます」、終えた時には「ごちそうさま」と、手を合わせます。それは何故か。という学生時代からの疑問に、この「アニミズム性」の存在は予感しておりましたが、その先の答えは見つけられないままでした。それが今回の取材で多くの疑問と答えが結びつき、さらには新しい発見も生まれたのです。
決して日本びいきというものではありませんが、この素晴らしい文化と御心を国内外に伝えたくて、このような映画の内容になりました。



 

僕が子供の頃に両親はコンビニを経営していました。新しくどんどん入荷される食品に、消費期限が近づけばどんどん棄てられる食品。ゴミ箱へ無造作に放り込まれた未開封の弁当から見える魚の顔。
「あれ?僕、棄てられるんなら、殺されなくたってよかったじゃん」
そんな声を想像してしまう日々。弁当もおにぎりもサンドイッチも、毎日ゴミとされてしまう事態が世の中まかり通り、それは20年が経過した今も変わっていません。
 

わが国は2050年に温室効果ガス排出ゼロへ向けて動き始めました。しかし、スーパー台風の規模が前年度を更新し続けるなど地球温暖化防止のために待った無しの瀬戸際に私たちは立たされています。異常気象が続けば、昔話のような飢饉が現実味を帯び、当然資源の奪い合いが起こるわけです。そうならないためにも、CO2排出を可能な限り早くストップしなくてはなりません。そして、先ほどの食品廃棄物も一刻も早くストップしなくてはなりません。何故か、それは水分を多く含んでいるからです。80%も含んでいる生ゴミを焼却するエネルギー量はハンパなく、全くもって無駄としか言いようがありません。
 

スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんのおっしゃった『永遠に続く経済成長というおとぎ話』は的を得る話です。コンビニだけを矛先に向けるものではありませんが、<前年度比売上アップ>という繰り返される経済成長目標は資源が有限かつ気候変動が急速に進む中では不可能であり、そのためにまだ食べられる食品を破棄してまで経済のためだからと言い訳をして行うその姿は愚業の極みと言えるでしょう。
 

でも、そんな社会も過去の話です。僕もその経済成長の中で育ち今があるため、感謝の気持ちもあります。
しかし、明日からは違います。2050年まで残り30年。そして日本の人口が1億人を切る2050年問題もあと30年。2050年の僕は66歳。社会を先頭で牽引する責任ある世代です。まだ30年。でも、あと30年しかありません。
 

今の経済優先の価値観をあなたは30年後まで持っていきますか?
僕は持っていきません。
 

この「いただきます」と共に、あらゆるものに命があると感謝できる社会へ僕は30年かけて変えていきます。
 

この映画は、その第一弾なのです。



 

映画『時の絲ぐるま』監督・石井友規