〜作家、伊坂幸太郎氏は私を裏切らない〜

上質で、品のある、美しく、力強い家族の物語を見た気がする。
それはまるで・・・清々しさに包まれて、心の中の濁りを拭い払ってくれたかのような爽快感。読後・・・ちょっとした不思議な感動〜。
これだから止められない、伊坂氏の著書にやっぱり触れてみたくなる。
たぶんそう・・この不思議感覚が刺激的なのだ。

冒頭の書き出しから、インパクトのある一文。
読み進めていくうちにそのリズム感を持つ歯切れのいい文体に魅了される。
幾度となく、気に入るフレーズが登場する。
その度に溜息混じりに、繰り返しその文章を目でなぞってみたりする。

後半から一気に物語りは展開を早めていく。
ミステリの一部である
‘連続放火魔って一体誰だ?’
‘グラフィティアートで街の建造物を汚す奴は何処のどいつだ?’
そんな犯人探しも、多くのヒントから容易に察しがつくわけで、それ以上に家族の絆や父子関係、兄弟愛に少なからず大いに知らず知らず共感していたりもするわけで・・・。
気が付けばほんとに不思議なのだ。
まんまとのめり込んでいる・・・この世界に・・

登場する人物は皆が個性的で魅力的だ。
長男である私、弟の春、父親、母親、それに探偵の黒澤、ストーカーの夏子、同期の英雄・・・。
それぞれがそれぞれにユーモアと知性を持ち、そしてなかなかに皆が個々に可愛げのある大人だったりする。
兄弟で言い合う雑学話などは、なかなか心地が良くて面白い。

煙突の煙が目に沁みて・・心にもじんわり沁みてきた・・。

重力ピエロ