雑板屋

グロ画像に要注意! おかげさまで映画525本、読了本220冊!映評・書評の黒ブログです。

携帯小説

「紫陽花のころ」 朱川湊人 犒搬咯説

26c96cd4.jpg男と女の叙情愛と、妻と夫と障害をもつ子供の3人の家族愛。
どちらも人間臭くてあたたかいのには違いはないのだけど。

互いに守り合わなきゃいけないような・・
もろくて儚い男女の恋は不倫という名の元・・
実はとても危険で破壊的でそれ自体がもう許し難いもののはず・・・。

けれど、こんな風に紫陽花のころ。
自然の消滅を遂げた男と女は、その花が咲くころ見る度に、寄り添った日々を思い出す・・
なんと皮肉で、なんと美しいのでしょう。

互いに守り合わなきゃいけないような・・
どこにでもある幸せな家族の絆という名の元・・
それを壊滅してしまう魔の手が忍び寄ろうとも決して微動だにしない家族の愛・・・

けれど、こんな風に紫陽花のころ。
例えば消え失せそうな今まで弱くてどうしようもなかった家族の愛さえも、
再び目に見えない心の力が動き、強く結び付けてしまう・・
なんとたくましくて、なんと頼もしいんだろう。

紫陽花のころ・・わたしは・・
紫陽花のころ・・わたしは・・
未だに続く、もろくて悲しい恋心を思い出す。

「老猫」 荻原浩 犒搬咯説

f73c1716.jpg「老猫」・・・このタイトルに惹かれて読んでみた。
またしても携帯小説短編ホラー。

心筋梗塞で亡くなった独り身で孤独だった叔父の家に、住むことになった私と妻と娘。
画家であった叔父の大きな家には、残された多くの絵画と1匹の猫がいた・・・。

途中で怪しげな匂いがしだして、なんとなく先は読めた。
嗚呼〜やっぱり!
動物・・犬や猫が小説の中に登場してくると、なんとなく嬉しくなったりするけれど、
ホラーともなると、本来の動物との楽しい触れ合いの想像が異質なものとなるわけで・・・。
結構、それはそれで楽しくなるもんだ。
活字でも映画でもホラーは大好物だし。

「黒い子供」 福澤徹三 犒搬咯説

fa473f0f.jpg福澤徹三氏の著書はこれが初めて。
携帯小説で、短編ホラーが読めるというので、早速・・・。

テーマは老人介護。
介護ベッドの枕元に黒い子供の姿を見る・・・。
果たしてそれが真実なのか?
老人が見る幻なのか?
家の中に存在さえもしない子供の姿を本当に目にすることになるのだろうか?

読後の驚きはさほどなく・・・
ただ淡々と物語りは進む。
感情を揺することなく物語りは終え、
こんな無味無臭な短編ホラーも、嫌いでない事を悟った。

携帯小説の利点は、未開拓で未知な作家に巡り逢えること。
それもなんの気構えもなく・・・。






「Jack,Ready,Play!」 戸梶圭太 犒搬咯説

621f7866.gif戸梶の書く小説が好きだ。
どうしようもなく、くだらなくて下品で疾走感と喪失感を併せ持つその世界観が結構お気に入りだったりする。
登場する人物も様々。
チョット狂いかけた奴、無気力な奴、利口な奴、その道のプロな奴。自ら死にゆく奴・・・
そんな人間像にはいつも感心させられて惹かれてしまう。
脳内で自己満足に映像化するのが非常に楽しいのだ。

そんなわけで、戸梶の携帯小説にもすんなりと溶け込めてしまう。
なんの違和感もなしに・・。

今回携帯の中で触れてみた作品は所謂、長編連載もの。
学園青春もの?と言っちゃっていいのか?
10代の健康な男子の有り余る性欲の表現が直球で青臭さにウケる。
考えるのは好きなテクノ音楽と女とヤルこと、モテること!

戸梶は表現に遠慮がないのがいい。
誰に遠慮があるというのか?その勢いは充分に伝わってくる。

残念なことに・・・永らく携帯で読み触れていたせいか、
突如最終回を迎えた気がする。
というか、最終回を迎えて結末を踏んだことに気がついていなかった。
なんとも気の抜けた読者だろう。
それでも、戸梶が好きなことに変わりはないわけで、
これからもずっとそのマルチぶりを拝見したいと思うのだった。


「池袋ウエストゲートパーク」 石田衣良 犒搬咯説

自身にとって初めての石田衣良さん。
作家としての石田衣良さんは、なんとなく人間的に魅力的な方で、内面的にもちょっとかっこいいお兄さん的な存在だった。作品には触れたことがなくっても、インタビュー記事は、よくあちらこちらで目にしていたし、大抵は衣良さんの写真付きだったりして、その容姿も個性的で洒落者・・・。そんな衣良さんの代表作にいつか必ず触れてみたいとそう思っていた。

しかも以前にテレビ放映されていたドラマの方も、途中で挫折しているわけだし・・・っといってもドラマ自体、作品がつまらなく面白くないわけじゃ決してなく、最後まで付き合うつもりだった。にも関わらず、時間的にやや拘束されるような生活があったからこその途中挫折・・・。

そんな中、これまたお手軽に自身が最近利用している携帯小説で、お目にかかれるというので、早速ダウンロード・・・。

まずは代表作「池袋ウエストゲートパーク」
文庫版でいうところの第一章ってとこか。

文体・・・極めて読み易く、なかなかに男っぽい強さを持つ硬派なイメージ。
想像の世界観としては、もっと軟弱で、今どき風な自己主張の限りなく不足気味な虚弱な連帯感・・・そんな悪いイメージはとっとと消え失せた。
嗚呼〜誠に作者に失礼極まりない勝手な想像・・・。

おかげで、どんどん引き込まれる。
作品に触れて見て、この世界に入らなければ、その連帯感は味わえない。
(衣良さん!貴方はやっぱり素敵な方です)

魅力ある人間像を描けるってこと、世代を超えてこの作品が多くの方に読み親しまれていること、あらためて衣良さんの魅力を噛み締めながら、まだ先続く作品の数々に期待するのであった。


池袋ウエストゲートパーク

「終末のフール」伊坂幸太郎 犒搬咯説

e029c873.jpg【登場人物】
私・・・定年退職 還暦過ぎ
静江・・・妻
康子・・・娘
和也・・・息子(自殺)
渡辺・・・レンタルビデオ店の店員

あと数年で地球が滅びる。
地球は滅び人類滅亡の日がやがてすぐそこに迫り来る・・・。

何気ない日常の片鱗で、熟年夫婦が揃って買い物に出かける様子。
コレといって、年老いてもずっと仲がいい夫婦とも思えないが、永く連れ添ってきた夫婦の歴史がそこに存在するのだろう。目に見えない確かなものが感じ取れる。

夫婦には、もう10年以上仲違いしてしまって会っていない娘がいる。
その娘が、今夜会いに来るという。

娘に何かあったのだろうか?

その娘と久しぶりに会うという実感を、夫である私はなんとなく気もそぞろに、それまでのこの午後からの時間を持て余そうとしているわけで・・・。

そこで妻の静江が‘レンタルビデオでも借りに行きましょう’と提案する。

夫婦揃って寄り道をする。
夫である私は、初めて足を踏み入れる自宅近くのレンタルショップ。
妻の静江は、店員の男性とも顔馴染のようで、軽く会話を交わすほど・・・。
私の知らない妻の一面・・。

妻と2人で見るレンタルビデオ。
時間も気になりながら、娘の来訪を少し緊張気味に待つ私・・・。

娘とどんな言葉を交わせばいいのだろう?
息子が自殺して以来、カタチあった家族の絆をあらためて見直すべき時がきた・・・。

読みながら、ひとつの家族のカタチを探ってみる。
崩れてしまったカタチはやがて、緩やかな時流を受け止めて、もう一度再生できるのだろうか?

妻の静江の存在は、大きいのだとつくづく思う。痛く思う。
しかも自己の存在価値を自覚しているかのようで、繊細でまた利口な女性だ。
そんな女性は静かに・・憧れもする。

タイトルの「終末のフール」
読み終えるとそこに、重くのしかかる馬鹿さ加減が実に心地いい。

自身も普段から注目の作家=伊坂幸太郎氏。
これからもちょっと身近に・・そして遥か遠くに・・存在し続けて欲しいと願う。
続きを読む

「太陽のシール」伊坂幸太郎 犒搬咯説

3bf1e123.jpg【登場人物】
冨士夫・・・少し優柔不断な夫
美咲・・・しっかり者の妻

優柔不断で頼り甲斐がなくて、自己決断力に欠ける夫の富士夫くん。
妻の方は、しっかり者で仕事もこなす、優しく女らしい美咲さん。

大事な物事も、いや他愛のない小さな物事さえも、自己決断力が全く出来ない富士夫くん・・・。
そんな優柔不断な冨士夫くんが、ココゾとばかりに一大決心をしなければいけないときがやってきた!

あと数年で地球は滅びるとされるこのご時世に、そう、地球が滅び人類滅亡の日がやがてすぐそこに迫り来るとわかっているのに・・・。
妻の美咲の妊娠が発覚したのだ。
迂闊には喜んではいられない・・。
新たな生命を・・・、この世に産むべきか?否か?

ここぞとばかりに、夫の威厳を見せ付けるべく・・
果たして一大決心は彼なりに下せるのだろうか?

夫の富士夫くんは、日々一人頭を悩ますのであった。

家族とは何か?
夫婦の絆とは何か?
生きるとは何か?

そんなものを、己に自問した作品であった。

読後はふんわり優しい気持ちになれた。

「初恋温泉」吉田修一 犒搬咯説

【登場人物】
重田・・・主人公、男、居酒屋飲食店経営者
彩子・・・妻、同い年、高校同級生、専業主婦

自身が触れた初の携帯小説。
途中まで読んでいたところを、終盤一気に読み終えたその場所は、作品タイトル同様に、温泉旅館の備え付けの椅子に腰掛けてのことだった。

今にも壊れてしまいそうな、この夫婦の互いの愛情を、最後まで黙って見守るしかなかったわけで、読後はなんとも言えない切なさが身に染みた。

この携帯小説を読みながら、己の恋愛観を見直してみたり・・・

心を癒す為に、部屋を出て薄暗がりの中、下駄をならし温泉へと向かう夫婦。
その先は、温かい幸福で身を包むことができるのだろうか?
すれ違ってしまった互いの心は再び会うことができるのだろうか?

読み終えて私は、少し重くなった心を癒そうと、無防備で布団の上に爆睡する相方を呼び起こし、二人揃って温泉へと向かうのだった。 
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雑板屋について
映画と読書について、時々美術やアートについても書いています。
映画はジャンルと製作国に問わずどんな作品でも・・。
グロ・スプラッタ・ホラーも大好物!‘ホラーウィーク’と題しストレス発散のため集中鑑賞もします。なので時々グロ画像も掲載しますのでご注意を!!!
読書傾向は男性作家が多く、活字ネクロフィリア系ノンフィクションは大好物です!
その他にも最近激増の、ベストセラー小説の映画化は、原作読了後に映画鑑賞することも楽しみのひとつです。
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