中央にある「女性の部屋」と、マジックミラーを隔てて囲むいくつかの個室… それが私にとって初めての性的な体験をするための空間でした。
店内の照明が一旦消え、静かな音楽が閉ざされた部屋を漂うように流れます。暗がりは再び灯された明かりで微かに照らされ、性の空間をおぼろげに浮かび上がらせます。

マジックミラー越しにムートンが敷き詰められた「女性の部屋」には、いつの間にかスリップを身につけた女性が眠るように横になっていました。 


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さっきの理沙さん?… 違う…
理沙さんとは別の人だ…

その女性は、長く美しい脚を揃え、ゆっくりと寝返るように体を折り曲げます。まるで夢と夢の狭間を漂い、心地よい記憶を辿るような艶やかな表情だったのです。

暫くして部屋の奥から、女性の甘い声でアナウンスが流れます。それはミラー越しの彼女を見つめ、想い描いた淫らな光景で自慰に浸ることを促す囁きでした。
私は喉から込み上げる息を押し込み、小刻みに震える鼓動をなだめながらミラーの奥に目を向けました。ジーンズの中では、硬直した茎が行き場を求めて脈を打ち、張り詰めた火照りが下腹部を包みます。

ミラー越しの彼女はスリップの紐に指をかけると、ゆっくりと両方の肩から降ろしました。シルクのような布に隠れていた美しい乳房が晒され、滑らかな膨らみの上を彼女の手が這いずります。

私は震える指先でベルトを外すと、一気にジーンズを膝まで下げました。


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大丈夫なんだ…
このガラスはマジックミラーなんだ…
彼女から僕の姿は絶対に見えないんだ…

繰り返し何度も自分に言い聞かせ、張り裂けそうな肉茎に手を添えます。決して他人に見られてはならない恥辱の行為が、今までの自慰とは異質の快楽を与えてくれたのです。

ミラー越しの彼女は秘部を隠す下着の中に指を入れ、膝を曲げたまま少しずつ両脚を開きます。部屋を囲むマジックミラーに向けた虚ろな目線は、性の捌け口を求める男の刹那を弄ぶかのようでした。

もし、街中で彼女を見かけたら、綺麗なOLだと思いながら無意識に目で追うことでしょう。彼女の淫らな姿を見てみたい… 衣服の下に隠れた肌に触れてみたい… 心に浮かぶ不埒な欲望を押し隠し、あられもない光景を想い浮かべる筈です。

ガラスで仕切られた向こう側に想いを馳せ、自慰で得られる一時の快楽に身を委ねます。亀頭の割れ目から滴る粘液に指を濡らし、熱い息を吐きながら恍惚の昂りへと登っていったのです。
部屋の中には、女性のアナウンスが喘ぎのように流れ続けます。

私を見つめてオナニーをして…
白く熱い精液をいっぱい出して…

それは、女性を見つめながらの射精を誘う甘い響きの言葉でした。私はミラーの手前に置かれたテイッシュを手に取り、勃起した肉茎の先端にあてがいます。
体の奥から湧き上がる射精への誘惑が、滴る先走りとなって乾いたテイッシュを濡らしました。

もう我慢出来ないよ…
出したいよ… 精子をいっぱい出したいよ…

私はミラーの脇にいる彼女に向かって、心の中での譫言を幾度も繰り返しました。射精の欲望を必死に堪えながら、体を包む熱い想いを彼女に注ぎ続けたのです。

その時、私のいる個室の扉をノックする音が聞こえました。咄嗟の事に驚いて振り返り、足元まで降ろしたジーンズの裾を掴んで慌ててたくし上げたのです。

「だっ… 駄目っ、ま… 待って…」

私が言葉を発する間も無く、先程の理沙さんがドアを開けて個室の中に入って来たのです。
彼女は私の姿を見て、口元で微かに笑います。手には小さな籠に入れたローションを持っていました。

「オナニーしてたの?… 恥ずかしがらなくていいの… ここはその為の店だから」

私は持ったままのテイッシュを慌てて握り潰し、露わになった下腹部の勃起を手で隠しました。込み上げる羞恥に顔が熱くなり、彼女から逸らした目が潤みます。

「まだ射精してないんでしょ… オプションは手でのサービスでよろしいですね」

自慰の姿を見られた恥ずかしさと焦りで言葉が喉に詰まります。
その時の私には、息の乱れた口を閉じて小さく頷くのが精一杯だったのです。

<続きます>