2008年02月

2008年02月29日

「潜水服は蝶の夢を見る」梅田ガーデンシネマ4

20万回の瞬きで自伝を綴った実話に基づくお話です。アカデミー賞の監督賞、脚色賞、撮影賞、編集賞にノミネートされていましたが、受賞は出来ませんでした。

あらすじ

潜水服ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は3週間の昏睡から目覚めます。そこで、自分の言葉が医者にも看護婦にも伝わらず体も全く動かない事に気づきます。彼はロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)により全身が麻痺し話せなくなり唯一動くのは、左目だけだったのです。ジャン=ドーは「ELLE」誌の編集長として人生を謳歌し妻と子供が3人いて、女性関係も派手でした。このような状態になったジャン=ドーの心は沈んでいきますが、言語療法士のアンリエットは彼の左目のまばたきをコミュニケーションの手段とする方法を考えます。「はい」は瞬き1回、「いいえ」は2回。彼女がアルファベットを読み上げる「E,S,R,I,N・・」文字を選ぶ時に瞬きをし単語が完了したら2回瞬き。そうして文章を作り会話していきます。彼は絶望の淵で「想像力と記憶で僕は”潜水服”から抜け出せる」と考え生きる気力を取り戻します。そして彼は自伝を瞬きで綴っていく作業に入るのです。

最初はジャン=ドーの視点から映画は撮影されます。焦点が合わずぼやけた映像が映し出されます。監督のシュナーベルの映像表現は主人公の目を通して私たちに主人公の気持ちをダイレクトに伝えていきます。思うような視界を得られず孤独を感じる主人公のもどかしさや、内面の葛藤が私たちに伝わります。

そして「瞬き」のみで、おそろしく想像もできない労力で自伝を書き上げる場面では彼の想像力はこの映画の題名のように”蝶”のように羽ばたくのです。

不思議な映画でした。予告編で見て、大体の筋も知っていたので、絶対悲しく辛い映画なのかと考えました。ところが、この映画には涙が溢れる場面も感動で心が揺さぶられる場面もないのです。この映画には生に対する喜び、最後の瞬間まで人生を謳歌した主人公の思いが溢れていました。絶望から這い上がり自由に溢れた彼の精神は軽やかに素晴らしい創造に繋がっていくのです。言語療法士の読み上げるアルファベットが詩のように美しく不思議に色っぽい感じがしました。健常者である自分の精神が彼ほど自由に飛翔しない事実に気づき愕然としてしまいました。



yukipy1954 at 01:30|PermalinkComments(4)TrackBack(3) ヨーロッパ映画 | サ行の映画