キャバーン・クラブは、リバプールの古い倉庫の地下深く(実際に行った感覚では、地下2階ぐらい)、街の中心部マシュー・ストリートにある。その位置はセントラル駅からジェームス・ストリート駅まで地下を走る列車がマージー川の底を通るトンネルを渡る手前にあったため、キャバーン・クラブの下を頻繁に轟音を立てて走り、クラブの爆音に貢献していた。つまりクラブでの演奏がどんなにけたたましくても、通過する列車の深いうなり声が会場の音と混ざり合い、気にならないのだった。
 キャバーン・クラブの建築構造はざっとこうだ。石造りのアーチを持つ3つの洞窟のようなトンネルで構成され、当初は真ん中のトンネルにステージがあった。左右のスペースは座ったり、ダンスしたりするところだった。地下水が滲み出て壁に汗が滴っていた。当時は禁煙ではなく、ステージ上のグループもタバコを吸っていたし、観客は脱水症状を防ぐため、コカ・コーラを飲んでいた。全体にワイルドな雰囲気が充満していた。ビートルズはその雰囲気にマッチするように、黒いレザー・ジャケットにジーンズを履き、不精ヒゲのまま、気の向くままにジャム・セッションし、観客と冗談を交わした。

『ワン・アフター909』
キャバーン・クラブでのデビュー前、ビートルズの演奏


 彼らは出演するたびに人気を高めていった。やがて観戦チケットは、黄金のかけらのごとく高騰の様相を示し始めた。彼らはそれまでの常識を覆したと言われるが、当時の彼らの悪態は目に余るものがあった。ステージでの飲食、嘔吐、悪態をつく様は、その後マネージャーによって阻止されるまで、まさに当代髄一のパンク・ロック・バンドだったのだ。

[「IMAGINE THIS」/ジュリア・ベアード(ジョンの異父妹)を参考]


<懐かしいリバプール&ロンドン旅行の一コマや関連画像>
①リバプール:キャバーン・クラブのトンネル状のステージ。
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②リバプール:マシュー・ストリートのキャバーン・クラブ近くにあるジョンの銅像
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