ビートルズ・ストーリー ５０１ ブライアンが泥をかぶって、ピートをクビにした

　ビートルズのマネージャーになったブライアン・エプスタインが頭を悩ませていたことの１つが、ジョンの親代わりをしていて、厳格な性格を持つミミ伯母さん（彼女は夫を亡くして後に、下宿していた息子ほども年の違う学生と愛人関係にあったのだが・・・）に、ジョンがプロの演奏家として活動することを了解してもらうことだった。
　ブライアンがミミ伯母さんの住むメンディップスに来て話し込んでいたのを目撃した、ジョンの異父兄妹ジュリアは次の様に回想している。
　「ブライアンはモーニング・ルームのテーブルにもたれて腕組みをし、静かな声で話していた。またある時は、マントルピースに肘をついていたのだが、それがかなり高い位置にあったので、簡単なことではなかった。ジョンのプロとしての演奏活動を認めてもらうため、多少無理をしていたのかもしれない。彼はいつも礼儀正しく、魅力的な英国紳士だった。ミミ伯母さんはそういうブライアンを素敵だと思っていた。それが、ジョンがビートルズへ変身するのを受け入れる助けになったのは間違いないわ」
　一方、ジョンは個人的にもグループのためにも、ブライアンがしてくれたことに対して最大の愛と尊敬の念を抱いていた。またジョンは「ブライアンは俺たちに未来を与えてくれた」と感謝の言葉を言っている。
　ブライアンは、問題が山積していたがビートルズのデビューに向けて懸命に働いた。可能な限りの演奏機会を獲得し、彼らのイメージを変える一方で、ロンドンに出向きレコード会社に強引に売り込んだ。その結果は惨憺たるもので、ほとんどの会社は契約を断ったが、１９６２年５月ついにＥＭＩの小さな子会社「パーロフォン・レコード」とレコーディング契約を結んだ。後になって、契約を断った会社は大きな魚を釣りそこなったと地団駄踏んだことだろう。９月に最初のシングルを出す予定だったが、一つ問題があった。ピート・ベストのドラミング・スタイルに、他のメンバーがグループに合わないと難色を示していたことだった。しかしアマチュア時代から苦楽を共にしてきた仲間に対して何かをする勇気もなかったのだ。結局、ビジネス・ライクに動くことのできるブライアンが泥をかぶってピートをクビにした。
　ピートに代わってグループに加わったのが、ローリー・ストーム＆ザ・ハリケーンズで演奏していたリンゴ・スターだった。実はビートルズがドイツのハンブルクで演奏していた同じ時期に、リンゴのグループも演奏していたことがあり、運命的な接点があったのだ。
　
［「IMAGINE THIS」／ジュリア・ベアード（ジョンの異父妹）を参考］


＜懐かしいリバプール＆ロンドン旅行の一コマや関連画像＞
①リバプール：マネージャーがまだブライアン・エプスタインではない時期のビートルズ、革ジャン姿でドラマーはピート・ベスト



②リバプール：デビュー直後のビートルズ、スーツ姿でリンゴの姿が見える。






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