2017年04月15日

楽器学資料館 リニューアル・オープン

資料館

国立音楽大学楽器学資料館がこの4月にリニューアル・オープンしました。
4月1日には、日本の伝統芸能「江戸の里神楽」で古式ゆかしいスタートを切った資料館。

劇場の幕開けの祝儀として舞われる「式三番」で寿ぎの舞を披露してくださった山本頼信社中の皆様。
稲城市を本拠としておられ、都内に伝承される4つの江戸の里神楽のうちの一つだそうです。
頼信氏は第19代ですが、初代は室町時代1373年にさかのぼる長い歴史を持っておられる社家とのこと。
ワクワクするリズムと高揚感、そして古の記憶に直接訴えるような舞に引き込まれました。

今月末は、西洋編。私が演奏を担当させていただくことになりました。「音楽散歩〜作曲家が愛したピアノたち〜」というタイトルで、プレイエル(1848年製)、エラール(1850年製)、シャンツ(1820年)、ベーゼンドルファー(1897年製)などを披露させていただきます。今回は学内限定で、すでに応募定数を超過してしまっているそうですが、来月5月28日のオープンキャンパスでは、12時半からと15時半からの2回、ミニコンサートをさせていただきます。こちらは、広く学外の方にもご参加いただけます。いい音色を奏でることができるよう、先日から調整に入りました。

リニューアルオープンしたばかりの楽器学資料館で、皆様のお越しをお待ちしております。


yuko_hisamoto at 23:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 国立音楽大学 | ピアノ(楽器)について

2017年04月13日

韓国語版がでました。

2013年9月にアルテスパブリッシングから出版の小著、「原典版で弾きたい!モーツァルトのピアノ・ソナタ」の
韓国語版が出版され、先程、私のもとにも届きました。

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MOZARTの文字、そして譜例と挿絵と私の名前以外は、判読できないので、なんだか不思議な感じがしています。

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日本語バージョンは、カラフルな装丁でした。これは、ウィーン原典版やヘンレ版の楽譜の色を意識してのデザインだったように記憶しています。

韓国伝統舞踊の華やかな色使いから考えて、さらにカラフルな装丁を予想していたのですが、意外なことに
ぐっと渋〜い抹茶色とモーツァルトの顔というシンプルなデザインでした。

教育熱心な韓国では、ピアノの教育も盛んです。韓国のピアノ勢の活躍が目立つ今日この頃。韓国の読者の皆様からのご意見、ご感想をお待ちしておりますところです。



yuko_hisamoto at 22:04|PermalinkComments(1)TrackBack(0) モーツァルト | 

2017年04月10日

これからの音楽教育

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先日、国立音楽大学副学長の久保田慶一先生主宰の「音楽の学び塾」に参加させていただきました。エリック・ブース氏の書かれた「ティーチング・アーティスト 〜音楽の世界に導く職業〜」と「これからの音楽教育」をテキストとして、音楽教育についてあらためて考える機会となった3時間でした。

「私達が教える内容の80パーセントは自分自身の精神性である」とブース氏は語っておられます。これは「演奏」も然り。私自身、多くのピアノのレッスンを受けてきた中で、実際の細かい指示と同じくらい大きな影響を受けたのが、先生の人柄や音楽への姿勢、美学でした。

Artの語源は、「結び合わせる」という意味に由来しており、Teach という言葉は、ギリシャ語の「見せる」という言葉から来ているそうです。音楽と学びの舎に身を置く中で、共に創造に参加し、感動し、挑戦していきたいと思っています。

帰りの新幹線での移動中、紐解いた「これからの音楽教育」。
様々な現実の問題を直視する中で、音楽大学は何を目指していくのか、学生はどう音楽と向き合うのか、自らの「ポートフォリオ・キャリア」(能力により築かれる職業キャリア)をどう作っていくのか・・・について述べられています。

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今年度もピアノレッスンのほか「演奏論」「室内楽作品研究」「ピアノ・リテラチュア」「作曲家と作品分析」「ピアノ教育論」「演奏解釈」の授業も担当します。音楽を志す上での「武器」と「技」と「精神」を作るための、小さな一助になれば幸いです。

yuko_hisamoto at 23:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 国立音楽大学 | 音楽教育

2017年04月05日

さくら横ちょう

新入生のための「基礎ゼミ」は、大学生活へのガイダンスであり、込み入ったカリキュラム履修について先生や先輩からアドバイスをもらう機会でもあり、4年間の「くにおん」生活をいい形でスタートするための期間として設けられています。と同時に、私達教諭陣にとっても他の科の先生方のパフォーマンスに接することができる貴重な機会です。

今年も3日間、朝から夕方5時までのハードスケジュールが続き、コンサート、授業、講演など充実したプログラムが用意されました。

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桜の季節に始まる、この「基礎ゼミ」期間、自分が大学に入学したころのことを思い出します。入学早々「水疱瘡」にかかってしまい、医務室の先生から「自宅待機」を仰せつかり、最初のレッスンを欠席。なんとも情けないスタートを切りました。分厚いカリキュラム表を配布される履修説明会後は、自己責任の日々。今のような懇切丁寧な仕組みにはなっていなかったように記憶しています。

今朝は、同じ声楽科のグループを担当する小泉惠子先生による「うたうこととは?」というレクチャーと演奏。
卒業生の盛田麻央さん、宮地江奈さん、宮西一弘さんも加わり、「日本歌曲」を堪能する内容となりました。美しい花岡千春先生のピアノのサポートで披露された16曲。滝廉太郎の「花」に始まり、山田耕筰「野薔薇」、「からたちの花」・・・・と続き、最後は木下牧子さんの「おんがく」まで。

1914年生まれの早坂文雄の「うぐいす」は、ピアノ伴奏なしで、小節線もない、「間」の美学と「静寂」の美しさを追求した曲。雅楽や絵巻物を思わせる音楽で、日本の歌、日本人の繊細な心情を音にした早坂氏の表現に感銘を受けました。

また加藤周一の「さくら横ちょう」の詩に、中田喜直、別宮貞雄それぞれが曲をつけており、この2曲が続けて演奏されました。同様に、「はなやぐ朝」でも大中恩と中田喜直の曲の比較。

同じ詩、同じ言葉でありながら、作曲家の感性を通して音になる瞬間、全く異なるイメージ、色、表現、情景が生まれ、別の音楽となることを実感。ふだん続けて聴くことがない2対の曲は、大変興味深いものでした。赤いドレスの宮地さん、青いドレスの盛田さん、二人の歌唱というのも印象的な演出でした。

私達日本人にとっての財産である童謡、抒情歌、日本歌曲。日本の音楽家として守り続けていきたいと切に願った90分でした。

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上の写真は、素敵な笑顔でステージから降りてこられた小泉惠子先生(右から3番目)に、「さくら横ちょう」の写真を撮りましょうよ〜!とお声をかけた瞬間です。

yuko_hisamoto at 23:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 国立音楽大学 | コンサート鑑賞

2017年04月04日

フィガロの結婚 by くにたち

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3月25日、国立音大声楽科教諭陣による「モーツァルト:フィガロの結婚」ダイジェスト版が、たましんRISURUホールで開催され、応援に駆け付けました。

普段お昼ご飯をご一緒したり、飲みに出かけたり、旅先で共演したり・・・というメンバーが次々にステージで繰り広げる名場面。ドキドキワクワクの2時間となりました。フィガロ役の久保田真澄先生とは、来月5月3日、カワイ名古屋でご一緒する予定です。「先生!フィガロでいきましょうよ!」とリクエストした次第です。

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「手紙」(伯爵夫人とスザンナ)の二重唱の溶け合う美しさ、「けんか」(マルチェリーナとスザンナ)の二重唱のエネルギー、フィナーレの熱狂・・・あらためてこのオペラの重唱の魅力を再認識しました。日常を共にしている親密な仲間が、非日常の表現に心を合わせ、「アンサンブルのくにたち」の底力を全開!

そして、思いがけず涙してしまったのが、ケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」。ズボン役を演じた加納悦子先生は、「これ、好きな役じゃないのよね〜」と仰っていたとは思えない、体当たりの演技と見事な歌唱で魅せてくれました。これまでなん百回と聴き、伴奏する機会も多いお馴染みの曲なのですが、今回まるで初めて聴くような新鮮さで胸に迫ってきました。

そして本日4月4日は、「基礎ゼミ」が始まり、国立音大講堂大ホールでオーケストラ・オペラコンサートとして再び「フィガロの結婚」ダイジェスト版上演。前半、オーケストラによるラヴェルの「ボレロ」の大迫力の名演の後、コンパクトにしたバージョンで披露されました。今回のフィガロは、先日神戸でご一緒したばかりの山下浩司先生。

そして会場が大爆笑となり盛り上がったのが、福井敬先生の語り。金髪の音楽教師ドン・バジーリオに扮した福井先生は、見事なナビゲーションでオペラの世界に新入生を引き込み、モーツァルトをぐっと身近にしてくださいました。

キャンパスの桜も咲き始めました。入学した新入生の皆さんにとって、大きな花開く4年間となりますように!







yuko_hisamoto at 22:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 国立音楽大学 | モーツァルト

2017年03月23日

サー・アンドラ―シュ・シフ@オペラシティー

一昨日、立川での演奏会を終え、神戸に。昨日は神戸でのガイダンスとコンサートを終え大阪に。今日は、ヤマハ大阪なんば店サロンで講座「リストとベーゼンドルファー」をさせていただいた後、新幹線で東京へ。
オペラシティーに直行し、アンドラ―シュ・シフの演奏会を聴くことができました。

「本公演は出演者の希望により休憩はございません。開演後のご入場の際は、購入されましたお席へのご案内が難しい場合がございます。時間には余裕を持ってご来場ください。 」というKAJIMOTOさんの注意書き。
「余裕を持って来ること!」は、遠路からオペラシティ入りする者にとって、ちょっぴり緊張するものでした。

ウィーンで活躍した4人の大作曲家の最晩年、最後のソナタを聴く、という夕べ。

・モーツァルト:ピアノソナタ第18(17)番ニ長調 K576
・シューベルト:ピアノソナタ第21番変ロ長調 D960
・ハイドン:ピアノソナタ第62番変ホ長調 Hob.XVI:52
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番ハ短調 op.111

シフ氏に、「サー」の称号が付いたのが、いつからなのかは存じ上げないのですが、
まさに巨匠と呼ぶに相応しい演奏でした。

晩年のモーツァルトにとり、対位法がいかに大きな要素であったかが音符の一つ一つ、フレーズの始まりと終わりすべてから伝わってきました。

シューベルトではシフの肉体を通じてシューベルト自身が語っているかのように感じ、旋律を慈しむような愛情あふれた「音楽」でした。

ハイドンの構築力も見事。ピアノから立ってお辞儀をして歩き出すとき、物理学者か宇宙人に見えてしまう・・・。ずば抜けた知性、記憶力、自然な奏法、どこにも無駄な力を入れず、集中力の糸を切らさない。

まさに人間業を超えた偉業の域に行っているのですが、あくまで「好きで弾いています」というスタンス以外のものが見えてこないピュアな精神が、シフの魅力でしょう。

もしも、「無理にでも何か不満を述べよ」と言われれば、ベートーヴェンかもしれません。すべての音が美しく、破たんはなく、決して荒げた音や軋みや叫びは起きず、「減七の和音」の不安は不安として美しく奏で、フォルテの叫びは、美しい強音として豊かに鳴り、バランスもコントロールも響きの点でも文句がないのですが、それらをぶち壊し、突き破ったところにある「何か」をベートーヴェン演奏に望んでしまうのは、私だけでしょうか。

弾き終わってその場で倒れてしまうような格闘、苦しみ、もがきとは全く無縁の「音楽は素晴らしい」という平和の世界、美しいものを愛でる幸せで満ちたりたベートーヴェンでした。

大曲4曲を一気に休憩なしで弾いたあと、さらに信じられない数のアンコールを!!!

・J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988 から「アリア」
・J.S.バッハ:パルティータ第1番 BWV825 から「メヌエット、ジーグ」
・ブラームス:インテルメッツォ 変ホ長調 op.117-1
・バルトーク:「子供のために」から「豚飼いの踊り」
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ第16(15)番 ハ長調 K545から 第1楽章
・シューベルト:即興曲 変ホ長調 D899-2
・シューマン:「子供のためのアルバム」op.68 から「楽しき農夫」

おそらく、まだまだ弾き続けることができると思われます。精神、身体、頭脳、すべてにおいて、余裕のうちに始まり、余裕のうちに終わった巨匠の演奏会でした。

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私が今年1月にニューイヤーコンサートでウィーン・サロンオーケストラと共演させていただいたときと同一楽器(ベーゼンドルファーのモデル280VC)を使用しての演奏会。鍵盤のタッチなどを指先で思い出しながら、遠い2階席から臨場感を持っての「シフ体験」でした。

yuko_hisamoto at 23:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0) コンサート鑑賞 | ピアノ演奏法

2017年03月22日

ミニコンサート&体験レッスン@神戸

国立音楽大学主催の「ミニコンサート&進学ガイダンス&体験レッスン」。
今年は初めて神戸でも行われました。

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初めての会場、ということでしたが、おかげさまで、会場である神戸文化ホールに、たくさんの皆様がお出かけくださり、盛況のうちに終えることができました。感謝申し上げます。

体験レッスンでは、久しぶりの再会で成長ぶりを見せてくださった生徒さん、初めてお会いする生徒さんなど、短い時間でしたが、一所懸命の演奏を聴かせてくださいました。将来の方向を定め、若さとエネルギーで邁進してほしいと願っています。

ミニコンサートは、モーツァルトのピアノ・ソロで開始し、ヴァイオリンの永峰高志先生、バリトンの山下浩司先生と共演。永峰先生とは、モーツァルトのヴァイオリンとピアノのためのソナタ KV304 、山下先生とは、山田耕筰の「かやの木山の」、シューベルトの「さすらい人の夜の歌」「ます」。

モーツァルトのKV304は、パリで作曲されたホ短調のソナタです。緊張感に満ちた第1楽章と哀歌の第2楽章というコンパクトな構成。「この曲は、他の曲とは全く違う特殊な曲。不安定で、どっかにイってしまっているような演奏をしたい」と仰った永峰先生。テンポを速めにとった緊張感漲る第1楽章と、ナイーブで涙が出るような第2楽章との対比が大きい演奏となりました。

山下先生が、包み込むようなあたたかな声で歌われる歌曲は、山や川の情景が目の前に広がり、非日常の詩の世界に誘ってくれます。私自身、シューベルトなどのドイツリートで心震わせた高校時代のことを思い出しました。

「アンサンブルのくにたち」と呼ばれる国立音大で、多くの音楽家と共に演奏できることの幸せを感じています。



yuko_hisamoto at 22:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 国立音楽大学 | 久元祐子コンサート