2018年06月17日

AOIの一日

昨晩遅く、しとしとと雨が降る中、静岡に入りました。一夜明けると梅雨の晴れ間の美しい青空が広がります。

今日は国立音楽大学静岡県同調会主催の「くにたちコンサート2018」に出演させていただきました。
会場は、静岡音楽館AOI。

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フランス・ストラスブールのアルフレッド・ケルン社によって建造されたパイプオルガンが備え付けられた温かい響きのホールです。

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今日の演奏会のために、ベーゼンドルファーのインペリアルがステージに!
最近演奏会では、ベーゼンドルファーNEWモデル280VCを弾く機会が多かったので、インペリアルは久しぶり。豊かなボディとエキストラ・キーの黒い9鍵を見て、嬉しくなりました。

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前半は、岡本菜穂さん、清水美沙さん(ソプラノ)、柴田翔平さん(フルート)、野々村俊輔さん(打楽器)新卒の4名のみなさんが、名サポートのもと、フレッシュでエネルギッシュな演奏を披露してくださいました。会場は、巣立つ若者への温かい応援の拍手でいっぱい。

歌、フルート、打楽器、ピアノ・・・それぞれの音色をまろやかに受け入れてくれるホールの音響。
ステージ、客席ともに、心地よい音楽空間でした。

私は、若者たちへのエール!ということで、モーツァルトの青春時代のソナタと変奏曲を演奏。その後、ショパンとリストの夜想曲などを弾かせていただきました。

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終演後、山田望会長はじめ、同調会の皆様と懇親会。山田先生が、「これ、兄のCDです。」と手渡してくださったお名前を見ると山田貢先生!なんと私の大学時代のチェンバロの先生です。バッハの「パルティータ」などを優しく細やかにご指導くださった日々のことが蘇りました。なつかしさとともに、音楽の世界の「狭さ」に驚いた次第です。

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AOIホールでベーゼンドルファーをお弾きになっておられる赤石千穂先生、落合美都恵先生らとベーゼンドルファー談義に花が咲き、静岡がぐっと身近になったひとときでした。山田先生、そして同調会の皆様から頂いた新茶。

無知な私は、これまで「静岡茶」をひとつに考えていたのですが、両河内の銘茶、藁科銘茶、、、と地域によって個性が異なることを教えていただきました。
ありがたくそれぞれの味わいを楽しませていただきます。

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大変お世話になりました静岡県同調会の皆様に心から感謝申し上げます。












yuko_hisamoto at 23:33|PermalinkComments(0) 久元祐子コンサート | ホール・音風景

2018年06月15日

里山の風景

梅雨の晴れ間の〜爽やかな風〜!

演奏会などで移動が多くても各地の里山の風景が心癒してくれます。

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先週は、梅干し作りに精を出す友人宅に和歌山から梅が届きました。よく熟した無農薬。楊子を使わなくても指でポロっと黒いおヘソか取れるので、楽しくお手伝い。3年後が楽しみ〜。

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ところで、2006年のモーツァルトイヤーに我が家で漬けた梅酒。その後、瓶をクラヴィコードの側に置き静かにモーツァルトを奏で熟成を待っていたはずなのですが。。。

当初「楽しみだねー!アマデウ酒と名付けよう!」などと言っていた主人も、多忙のうちに梅酒は忘却のかなたに。

今ではすっかり「もう飲むのはいくらなんでも無理だろう」と冷たい一言。私自身も恐ろしくて蓋を開けていません(汗)。

毎年、梅が店先に並ぶこの季節、複雑な思いで、捨てるに捨てられない力作梅酒「アマデウ酒」が心をよぎります。

話は変わりますが、下の写真は、あづみ野コンサートホールの軒下に巣を作ったツバメ達。

毎年この時期、ツバメの来訪とともに、コンサートホールの音楽を聴きながらの子育て、巣立ちのドラマが館長さんの楽しみになっています。

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ところが、今年は餌を運んでくれる親ツバメが行方不明に!というショックなニュースが入りました。「このままでは、子ツバメは死んでしまう。見殺しには出来ない!」と近所の心優しき方々が虫やら餌やらを持ち寄り、館長さんが親代わりになって、昨日無事に巣立ったそうです。

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めでたし、めでたし!
この季節の「いいお話」でした。


yuko_hisamoto at 20:22|PermalinkComments(0) ホール・音風景 | 雑感

2018年05月27日

灘区だんじり

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今日は灘区だんじり祭り。
5地区のだんじりが一堂に会し、これから出発!

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出店も賑やか。

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灘の名酒で鏡開き!ヨイショ〜!

夕方は初夏のそよ風の中、東遊園地を散策。
没後200年に建てられたモーツァルト像です。

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初夏の神戸散策を楽しみました。



yuko_hisamoto at 23:15|PermalinkComments(0) 神戸 | 雑感

2018年05月26日

アンサンブル神戸 定期演奏会@神戸新聞 松方ホール

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青空の美しい季節。そよ風が吹き抜ける気持ちのよい五月晴れの今日、アンサンブル神戸 第56回定期演奏会でモーツァルトピアノ協奏曲第20番を共演させていただきました。

アンサンブル神戸とは3度目の共演になります。前回はモーツァルトの第27番の協奏曲でした。
リハーサルで久しぶりにお会いするメンバーとの再会にわくわくしながら松方ホール入り。

今回は、ベートーヴェンの激しいカデンツァを使うことにしました。ベートーヴェンとモーツァルトは、メンタリティーも作風も全く異なる作曲家。これまでその違和感のせいで、異質な音を挿入することへの抵抗のようなものがあり、他の作曲家のカデンツァを使ってきました。

劇的でデモーニッシュな魅力もあるこの曲に魅せられた作曲家は多く、様々なカデンツァが残されています。
長大なクララ・シューマンのカデンツァは別にしても、皆それぞれに特色があり、たしか前回はアロイス・フェルスターというモーツァルトと同時代の作曲家のカデンツァを使ったように記憶しています。

今回、あらためてベートーヴェンのカデンツァを使い、熱いモーツァルトへの想いと激しい情念に共感しながら演奏することができました。もちろんモーツァルト時代の5オクターブをはるかに超えた音域を使っていますし、強音連打やロマンティックな書法も「モーツァルト」ではありません。けれど協奏曲というジャンルで、カデンツァの部分に託されたテンションの高まりと美しい旋律への回顧、ピアニスティックな飛翔、それらの条件を備えたベートーヴェンのカデンツァがやはり追随を許さぬ力を持っているように思えたからです。

アンサンブル神戸リハ

指揮は矢野正浩先生、コンサートマスターは辻井淳先生。
アンサンブル神戸は、阪神淡路大震災の年に結成され、神戸新聞松方ホールを本拠地として活発な演奏活動を続けてこられた室内オーケストラです。

上は前々日のリハーサル。下は本番の写真です。メンバーがかなりぐっとピアノに近づいてくださっているのが一目瞭然です。

辻井さんとは、ほとんど互いの息遣いが聞こえるほどの近さです。あと少しで弓に当たるか?!というくらい。
室内楽のときよりもさらに近い位置で弾かせていただきました。ここまで近い距離はもしかして初めての経験かもしれません。

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その結果、舞台上で生じる管楽器への音の伝わり方の時差も最小限に。。。
本番のホールと練習のホールが同じだからこそできる様々な実験。音響とアンサンブルの面で多くの発見がありました。

矢野先生は、合唱団も主宰しておられ、その八面六臂のバイタリティには敬服の限り。そして打ち上げの席で、辻井先生とは、なんと芸大の同級生だったことがわかりました。過去形と現在形、記憶の風景と今この瞬間が結びついた嬉しい瞬間でした。

「イニエスタ選手、ようこそ!」で盛り上がる神戸。
初夏の様々な行事が重なる中、会場におでかけくださいましたたくさんの皆様に感謝申し上げます。



yuko_hisamoto at 22:53|PermalinkComments(0) 久元祐子コンサート | 神戸

2018年05月20日

モーツァルトってすごい!

朝は、立川錦学習館で開催された「楽しいクラシックの会」主催の講座「作曲家、加藤昌則から見たモーツァルト」へ。作曲家としてモーツァルトのどこに魅力を感じるか、という視点でのお話を興味深く拝聴しました。

「魔笛」序曲、「後宮からの誘拐」序曲、「ジュピター」最終楽章、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」などを題材に、フーガとソナタ形式の語法がどのように使われているかを解析。

アーノンクール指揮の「ジュピター」の映像を、「どこのオーケストラかわからないけれど素晴らしい名演!」と絶賛されながら紹介されました。

溌剌とした演奏者の中に、見覚えのある懐かしい顔が1人、また2人、、、。
一昨年共演したウィーン放送交響楽団のメンバーでした。10年程前の映像、皆少しずつ若く細い?!頃の姿です。

作曲の凄技を分析してから聴くと、聴衆の拍手は演奏に対してだけでなく「モーツァルトってすごーい!」という拍手も入っている気がしてしまう、と加藤さん。同感です。

終了後、直ちに新宿に移動。夕方は朝日カルチャーセンター新宿で、レクチャーコンサート「モーツァルト ピアノ協奏曲第20番の魅力」。演奏を交えながら、この短調の人気作品の比類のなさについてアプローチさせていただきました。

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今日の講座は、今週末神戸で開催されます「アンサンブル神戸定期演奏会」のプレトークという位置付けでもありました。

このピアノ協奏曲第20番では、様々な工夫が施され円熟された技法が用いられています。それでいて決して「技」には見えません。沸き起こる感情が、音楽に乗って風のように、水のように、嵐のように、火のように、、、立ち現れます。全てが自然で、まさに「神技」。

やっぱり
モーツァルトってすごい!

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今回は、ドラマティックなこの曲を愛したベートーヴェンのカデンツァを使い弾かせていただきます。

東京から遠路聴きにいらしてくださる皆様にも感謝です。





yuko_hisamoto at 10:43|PermalinkComments(0) 久元 祐子・講座 | モーツァルト

2018年05月16日

美しいドイツ語

昨日、音響学の森太郎先生の訃報が入りました。50代に入ったばかりのお若さで、これからたくさんの研究成果を残される方でしたのに。。。悲しい知らせに胸がふさぎました。

いつもにこやかで静かな方でした。ドイツでピアノメンテナンスについて学ばれ、その後、音響学をご専門にされ、調律科では楽器について教鞭をとられていました。この数年、闘病生活に入られ、同僚の皆で経過を心配していた矢先のことです。

緻密で、バランス感覚に優れたジェントルマンでした。森先生がご病気になるずっと前、一度だけ、音楽学の先生方と共にお食事をご一緒させていただいたことがあります。

夜更かし、暴飲暴食のメンバーが多かった中で、森先生は一線を画しておられました。毎晩8時には就寝され、健康診断を欠かさず、喫煙もされない方でした。

昨年の「新入生のための基礎ゼミ」では、一緒に教壇に立ちました。学生に向け「私は”つんく”と同じ病気になりました。声は失いましたが、大丈夫です。楽器のことでわからないことがあったらいつでも来てください。」と仰り、声が出なくても意思疎通ができる特殊で優秀な機械を作ることに希望を持っておられたことを思い出します。

病は残酷であり、神様はなぜ素晴らしい方を天に呼び寄せてしまわれたのでしょう。

数年前、当時ウィーンのベーゼンドルファー社のトップマネージャーのオスさんが来日した折、国立音大をご案内し、森先生をご紹介したことがあります。珈琲を飲みながら研究室で語らった1時間弱。

オスさんは、「プロフェッサーMORIのドイツ語は、ドイツ人のドイツ語よりもはるかに美しい!」と感嘆しておられました。上品な声で話される森先生の流暢なドイツ語、穏やかな声の日本語。
「声」やお話のリズムがその知的なお人柄そのものでした。

音響学会にお声をかけていただき、モーツァルトとその同時代の作品を演奏させていただいたこともありました。森先生は「素敵な同僚を紹介できて鼻が高かった」と冗談まじりに喜んでくださり、その後、「耳と聴覚」について研究発表されました。

私にとって「学会」参加はそのときが初めてのこと。専門的な分野の発表はチンプンカンプンのこともあったのですが、森先生の発表は素人の私にも明快なものでした。

「目や肩の疲れは自覚しやすいけれど、”耳”は自分で意識しないうちに、疲れがたまりやすい器官のひとつである。特に大音量が危険。」
耳の繊毛の拡大写真を示しながらの説得力のある発表に、愕然としました。

その日以来、「耳」の疲れを極力 ”自覚” するようにし、大音量には注意するようにしています。
楽器のこと、音響のこと、気さくに相談にのってくださっていた森先生のお声は、もう聴くことができません。

爽やかで美しい五月のそよぐ風とともに、天国に行かれた森先生。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

arima





yuko_hisamoto at 21:54|PermalinkComments(0) 国立音楽大学 

2018年05月07日

山野楽器ベーゼンドルファー研修

銀座一等地にある「山野楽器 銀座本店」。
毎年、地価日本一のニュースで出てくる「銀座4丁目交差点」に面したお店です。

今日は、山野楽器のピアノ担当スタッフの皆様の「ベーゼンドルファー研修」。
中野坂上のベーゼンドルファー・ジャパンにおきまして、演奏とお話をさせていただきました。

フラッグモデルである「インペリアル」、最新機種「280VC」、そしてウィーン国立歌劇場で使用されていた楽器などを使用。同じベーゼンドルファーのウィンナー・トーンと言っても仕様が異なり、音色も全く異なります。ピアノの歴史と変遷を感じながらのひとときでした。

ウィーン国立歌劇場総監督も務めたリヒャルト・シュトラウス、そしてベーゼンドルファーと縁の作曲家、ブラームス、リストなどを演奏。調律師の津田克己さんが、ウィーンの工場やピアノの製作過程について映像を交えて紹介。調律のときは寡黙な津田さんが、ユーモア交えて雄弁に語る様子は新鮮でした。

1828年創業以来、ベーゼンドルファー社が継承してきた伝統、そして革新的な技術と時代のニーズをどのように取り入れていったか、、、、歴史を紐解きながら、あらためてピアノについて考える機会ともなりました。楽器の魅力は、仕様や理屈ではなく最後は「感覚」の世界ですが、楽器の仕組みや技術的なことを知ることで、見えてくるものも変わってきます。

ピアノの現場に直に携わっておられるみなさんとの質疑応答タイムでは、ピアノに関しての鋭い質問も多くいただきました。

yamano研修

私自身も3台のベーゼンドルファーそれぞれの個性を弾き分ける中で、学びの機会を頂きました。

ピアノ調律師さんが主人公の「羊と鋼の森」映画化で、ピアノ調律の世界が話題になることも多い今日この頃。

「音」という目に見えない神秘の世界。そして「音」を「音楽」という世界に構築していく過程。。。。その無限の円環の中で、楽器との出会いや人との出会いがさらに輪を広げていくように思えます。

研修のメンバーの中に、この春、国立音大を卒業したばかりのニューフェイス!再会の嬉しいひとときでした。



yuko_hisamoto at 23:11|PermalinkComments(0) 久元 祐子・講座 | ピアノ(楽器)について