2017年06月14日

チェンバロの響き@深大寺

調布国際音楽祭2017の目玉公演の一つ、深大寺でのフランチェスコ・コルティ氏のチェンバロ・リサイタルに伺いました。

鈴木優人氏をエグゼクティブ・プロデューサーに迎えた調布音楽祭が、5回目の今年「国際」の文字が付き、外来アーティストを含めた大きな音楽祭に輪が広がったとのことでした。

深大寺の境内近くの「湧水」で深大寺蕎麦をいただいてから散策。しっとりとした緑が美しく、そよ風が心地よく、水車がゆっくりと回っています。風情ある深大寺の自然を満喫させていただきました。

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プログラムはイタリアものが中心。1段鍵盤のイタリアンチェンバロを使い(梅岡俊彦さんによる調律)、パレストリーナからフレスコバルディまで、クレモナの名手により、チェンバロ音楽の歴史を俯瞰する濃密な1時間でした。マックの「風変わりな協和音」、フレスコバルディの「不協和音のためのカプリッチョ」など音楽の潮流の中での縦糸、横糸が交錯し、不思議な音空間が広がりました。スカルラッティの「フォリア」、フレスコバルディの「パッサカリアによる100のパルティータ」など超絶技巧の曲を真近の距離から拝聴でき、手に汗握る臨場感でした。

普段入ることができない深大寺本堂を、音楽の演奏と愛好家の聴取のために開放してくださる温かなお人柄のご住職ご夫妻にもお目にかからせていただくことができ光栄なひとときでした。演奏前にご披露くださった「声明」は、本堂の空気を清め、そこに集まる人々の気が一つになる瞬間に感じました。この「声明」は、10月に浜離宮朝日ホールでの公演が予定されています。

それにしても見事な美しい本堂で、2本の和蝋燭の炎が揺らめく中で聴くチェンバロの音は、幻想的です。音が戯れ、揺蕩い、飛び跳ね、捻じれ、飛翔しながら宙に消えていく様が見えるようでした。

水の神である深沙大王をまつった深大寺が開かれたのは733年。平安時代に天台宗に改まり、現在に至ります。平成29年に、深大寺ご本尊の釈迦如来像(白鳳仏)が国宝に指定され、演奏会の後、そのお姿を拝見させていただきました。静かに微笑まれたお顔、そして凛とした優雅なお姿を拝ませていただき、最高の午後のひとときとなりました。


yuko_hisamoto at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) コンサート鑑賞 | 雑感

2017年06月10日

装飾について

芸関連

藝術学関連学会連合 第12回公開シンポジウムが、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催され、
「東西の音楽にみる装飾」の発表の中で演奏を担当させていただきました。

藝術学関連学会連合は、15の学会からなり、毎年、東と西で交互にシンポジウムが行われてきたそうです。
今回、「装飾」というテーマでのシンポジウムに際し、デザイン都市神戸の歴史ある建物KIITOが選ばれたことは、嬉しいこと。KIITOには初めてお伺いさせていただきましたので、入り口前でまず記念撮影。

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藝術学関連学会連合会長、礒山雅先生のご挨拶に続き、3人の先生方の報告発表が行われました。意匠学会の川島洋一先生による「装飾と透明」、美学会の高安啓介先生による「無装飾から超装飾へ」、美術史学会の玉蟲敏子先生による「かざりと装飾〜日本美術からのアプローチ」。

普段、「装飾」というものを定義づけして深く考えることもないまま、自然に装飾音を弾いてきた私ですが、あらためて「装飾」についていろいろと考える貴重な機会となりました。

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本体の欠点を隠す装飾、本体の美しさを引き立てる装飾、本体を生気づける装飾、そして単なる飾りにとどまらず表現の本質にかかわる装飾、さらには装飾が本体を乗っ取った状態とも言える「超装飾」の世界まで、建築、美術など様々な世界での「装飾」について、興味深いお話が続きました。

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東西の音楽にみる装飾のコーナーでは、まず西洋音楽から。

礒山雅先生が、記譜法の発達と装飾について、モンテヴェルディの≪オルフェオ≫を例にご説明されました。発表の後半に、私がバッハのゴールドベルク変奏曲の「アリア」を装飾無し、装飾付きの両方で演奏し、続いてモーツァルトの装飾語法の優れた例として「ロンド イ短調 KV511」を弾かせていただきました。

モーツァルトの音楽においては、小さな音符で書かれた装飾音だけでなく、旋律の中の「装飾的な」音も多くあります。それらは、音楽の本質にかかわる要素であり、単なる「飾り」ではなく、決して切り離すことができない旋律の一部であることもあらためて実感しました。
 
東洋の発表は、東洋音楽学会の小日向英俊先生によるシタール演奏。自由に感興の赴くまま、即興で装飾が奏されていく様を実演してくださいました。

午後1時に始まった「21世紀、いま新たに装飾について考える」シンポジウムが終わったのが5時。今回お手伝いに来られていた神戸大学大学院の美女学生さん3人と一緒にほっと一息。

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多様な装飾について思いを巡らせた4時間でした。


yuko_hisamoto at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 神戸 | モーツァルト

2017年06月06日

オルガンとのひととき

大学での授業を終え、横浜へ。

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「日本の道100選」の1つ、山下公園通りは、初夏の花が満開です。

夜は神奈川県民ホールのオルガンのリハーサルをさせて頂きました。

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3段の鍵盤それぞれをどのような音色にするか、会場の音響と曲のイメージと合わせて決めていく楽しい作業です。

敬虔な音、厳かな音色、華麗な響き、それぞれが曲想にはまる瞬間を見つけていきました。

「オルガンを弾く機会を逃さないように。」とは、シューマンの言葉です。曖昧なタッチを許さない厳格な楽器は、自分の技術の綻びや弱点を教えてくれます。

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夜8時過ぎからは、ソプラノの菊地美奈さんを交え「アヴェ・ヴェルム・コルプス」や戴冠式ミサから「神の子羊」のリハーサル。

シュタイン・モデルのフォルテピアノを置く位置をステージ上で決めたり、本番に向けての大事な仕込み時間を過ごすことが出来ました。

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オルガン、フォルテピアノ、現代のグランドピアノを使っての盛りだくさんプログラムとなります。

神奈川県民ホール改修工事のためクローズになる直前の演奏会です。横浜の皆様、モーツァルト愛好家の皆様、是非ご来場下さいませ。




yuko_hisamoto at 23:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ピアノ(楽器)について | ホール・音風景

2017年06月04日

神戸国際フルート音楽祭閉幕



爽やかな初夏の神戸に、美しいフルートの音色が溢れた「神戸国際フルート音楽祭」。

多くの市民の皆様のご尽力により、大きな成果を残して幕を閉じました。

6月3日神戸文化ホールで行われた「第9回神戸国際コンクール本選会」。多くの聴衆が詰めかけ、入場制限が出るほどの超満員!

優勝を2人が分けあう結果となりました。

第1位 エレーヌ・ブルゲさん
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第1位 ユ・ユアンさん
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4年前の第8回神戸国際フルートコンクール参加が、初めてのコンクール体験だったエレーヌさん。夢のよう!と語ってくれました。

拮抗した審査結果は以下のとおりです。

第3位 マリアンナ・ゾォナック
第3位 ハン・ヨジン
第3位 アンナ・コンドラシナ
第4位 秋元万由子
奨励賞 キム・ソヒョン
奨励賞 脇坂颯
オーディエンス賞 ハン・ヨジン

翌4日、厳粛な表彰式と入賞者記念演奏会のあとは、神戸財界の皆様主催のガラコンサート&祝賀パーティー晩餐会

ポートピアホールでオープニング演奏をさせて頂きました。

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スーパーキッズオーケストラ、県立西宮高校音楽科の皆さん、ソプラノの幸田浩子さんらの華やかなステージが続きました。

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入賞者の皆さん、審査員の先生方を招いての晩餐会は、大変な盛り上がりとなりました。

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この日まで紆余曲折の道を辿った神戸国際フルートコンクール。関係者の皆様と大成功の喜びを分かち合うひと夜となりました。








yuko_hisamoto at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 神戸 | ホール・音風景

2017年06月02日

ひろ〜い広い歌の世界

たましんRISURUホールにおいて開催されました礒山雅先生主宰の「楽しいクラシックの会コンサート2017」で、バリトンの田中純さんと共演させて頂きました。

バッハの「ゴールドベルク変奏曲」のアリアで始まったコンサート。カンタータ第82番≪まどろめ、疲れた眼よ≫が続き、モーツァルトのKV330、≪クローエに≫、フィガロの結婚から≪もう飛ぶまいぞ、この蝶々≫。

休憩をはさんでドイツリートと日本歌曲、そして最後は歌謡曲まで。

20170602たのくら

文字通り、幅広〜〜いプログラムとなりました。距離で言うと地球半周、時間で言うと300年ほどを旅した一晩でした。田中さんのキャパシティーの広さのなせる業でしょう。お客様も大変楽しまれ、一体感に包まれたコンサートとなりました。

それにしても30年続いている「楽しいクラシックの会」。会員の皆様が、それぞれに役割と担当を決めておられ、強い絆が出来上がっていることが伝わります。そして何より、礒山先生の感動の波及効果が大なのではないでしょうか。「涙なしには聴けない曲が4曲続いた・・・」と仰りながら声を詰まらせる先生にもらい泣きしながら、あらためて歌の魅力を感じたお客様も多いように思えました。

ホールのコンピュータとの互換性トラブルで間際まで字幕の準備に追われておられた先生。
本番には無事に間に合い、ほっとしました。
ピアノは、RISURUホールのベーゼンドルファー。温かな歌に寄り添う楽器として、力を発揮してくれました。




yuko_hisamoto at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 久元祐子コンサート | ホール・音風景

2017年05月28日

国立音大 楽器学資料館@オープン・キャンパス

晴天の今日、オープンキャンパスで賑わう国立音大楽器学資料館。
スタジオにて「作曲家が愛したピアノたち」と題し、シャンツ(1820年製)とプレイエル(1848年製)を演奏させていただきました。

先月に続いての演奏会。楽器は、息を吹き込むことで生きてくることを感じます。
ショパン時代のプレイエルで弾く「前奏曲」「夜想曲」「ワルツ」。
2回目、3回目と、演奏会の数を重ねるにつれて、楽器が微細なニュアンスに応えてくれるようになるのが不思議です。

聴こえるか聴こえないかギリギリのような超弱音や、かすってしまう直前の軽快なテンポの冒険など、様々な挑戦を許容してくれるようになるのです。

もちろん、演奏会直前にハンマーが戻らない、とか弱音ペダルでクロス(弱音にするための布)が前に出てこない音がある・・・というような不測の事態が起こったり、歴史的楽器の演奏には、常にリスクがつきものです。

そんなこんなの心配ごとに対して、なるべく神経を尖らせず、楽器と調整技術に対する信頼を胸に、ステージに向かうようにしています。

聴いてくださる皆さんと、歴史を超えて存在し続ける楽器の魂、そして奏者・・・この三位一体の中で立ち上る何かがあるように思えるのです。

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(本日も19世紀サロンの明るさを目指し、蝋燭もどき?!の灯りで演奏。薄暗い中で弾くこと、、、実はとても気に入ってます。)

シャンツの5本ペダルも、慣れてきました。当初は「足が2本なのに5本ペダルは勘弁してほしい」とか、「なぜ一番多く踏むダンパーペダルが右でなく真ん中にあるのだろう。連弾ならいいけれどソロのときには踏みにくい」などとペダルの位置にも数にも愚痴を言いながら踏んでいたのですが、19世紀初頭のウィーンの遊び心に少しずつついていけるように?!なったのかもしれません。

夏を思わせるような蒸し暑さの中、おでかけくださいました皆様、そしてお世話になりました楽器学資料館長はじめ学芸員の皆様に、感謝申し上げます。



yuko_hisamoto at 22:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 久元祐子コンサート | 国立音楽大学

2017年05月24日

第 9回神戸国際フルートコンクール開会式

神戸文化ホールにて、第9回神戸国際フルートコンクールの開会式が行われました。

世界38の国・地域から240名の応募。予備審査を勝ち抜いた46人が出場権を得ました。参加者の席には、神戸の小学生たちによる参加者への皆さんへの温かいメッセージカードが、それぞれの椅子に置かれており、緊張感の中会場入りされたコンペティターたちの顔もほころんでいました。日本人最年少出場者の脇坂さん(兵庫県立西宮高校音楽科2年)の姿も見えました。予備審査の難関を突破し、世界の強豪と肩を並べる若手奏者の登場にも頼もしさを感じます。

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このコンクールは、4年ごとに開催。ミュンヘン、ジュネーブと並び、世界三大フルート国際コンクールの一つとされ、エマニュエル・パユ(ベルリン・フィル首席奏者)はじめ、優秀なフルーティストを輩出してきました。

これまでの8回のコンクールと異なるのは、3月からおよそ3か月間にわたり、「神戸国際フルート音楽祭」が催され、地元の音楽家の皆さんや市民の皆さんも参加され、大きな音楽の輪が生まれていることです。

審査員コンサートは6月2日に催されますが、これまでの3か月間、地元演奏家の皆さんの音楽会をはじめとし、大規模なアンサンブル、街中コンサート、教会でのバロック演奏会、高校生コンサート、ボランティア活動など、交流と親善の場となってきました。

5月25日の第1次予選から6月3日の本選までコンクールが続きますが、予選で惜しくも敗れた出場者には、ホームステイ先が斡旋され、学校での演奏会などを希望される参加者には、演奏の場がアレンジされます。
子供たちにとっても本場の音楽に触れる良い機会となることでしょう。

参加者の皆さまがベストコンディションでステージに臨んでくださいますよう、そして開港150年を迎えた神戸の街を楽しんでくださいますよう、心からお祈りしています。


yuko_hisamoto at 19:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 神戸