2018年02月14日

バルト三国建国100周年記念演奏会

サントリーホールで開催されましたバルト三国建国100周年記念演奏会にお招きいただき、ギドン・クレーメルさんの演奏を堪能しました。

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ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」(マーラー編曲版)に始まり、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番(独奏:クレーメル氏)、ピアノ協奏曲第12番(独奏:リュカ・ドゥバルグ氏)、「セレナータ・ノットゥルナ」というプログラム。

クレメラータ・バルティカは、1997年、クレーメル氏50歳記念に結成された室内合奏団です。
指揮者なしで演奏されたベートーヴェンでは、きめ細かで生き生きとしたアンサンブルを披露してくれました。

各スラ―のディミニュエンドが徹底されていて、フレーズ最後の音は宙に溶けるようで軽やかなモーツァルト。そのクレメラータの波に乗って、クレーメル氏の1641年製「ニコラ・アマティ」から柔らかくまろやかな美音が紡ぎだされます。

若き日のクレーメル氏の演奏は、驚異的なテクニックと鋭くシャープな切り口が魅力でした。精力的で、ときには持っているエネルギー量が楽器を超えてしまうような音さえあったように記憶していますが、円熟の境地に入ったクレーメル氏からは、肩の力がすっと抜け、「歌心」そのものが残ったような・・・そんな印象を受けました。

アンコールで演奏された「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」は、様々な曲が挿入された編曲エンターテイメント。サントリーホール満員の聴衆を沸かせました。
心に響いたのは、静かなクレーメル氏のアンコール。余計なものをそぎ落とした素朴な旋律から、心のつぶやきが直接染み入るようでした。

ラトヴィアは、人口の数だけ民謡があると言われる「民謡の宝庫」です。ラトヴィアのリガ生まれのクレーメル氏も多くの民謡を心に刻みながら時を過ごしてこられたことでしょう。今年は、5年に1度のラトヴィア合唱祭(歌の祭典)と建国100年が重なる特別な年。7月の合唱祭は、大変な盛り上がりになることでしょう。

ブルーローズで行われた終演後のパーティでは、ダツェ・トレイヤー・マスィ駐日ラトヴィア大使にご挨拶し、エストニア出身の指揮者、パーヴォ・ヤルヴィ氏にお会いしました。マエストロは、眼光鋭い方ですが、バリトンの深く豊かな優しいお声です。

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クレーメル氏も建国100年に寄せてお祝いのスピーチ。

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ラトヴィアの地酒「バルサム」などが並びます。

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ラトヴィア国立交響楽団との共演は1991年、ソ連からの独立の少し前のことでした。
その後、リガのヴァーグナーホールやブラックヘッヅでリサイタルをさせていただいてきましたが、
バルサムを飲むと、リガの美しい自然やメルヘンのような街並みが想い出されます。


yuko_hisamoto at 23:28|PermalinkComments(0) コンサート鑑賞 

2018年02月13日

山陰の魅力

浜田散策。まずは、出雲大社石見分祠へお参りです。山陰らしい厚い雲に覆われた午後、山間の静かな鳥居をくぐりました。

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日本でも外国でも、旅先で必ず寄るのは市場です。今日もまずはお魚センターへ。立派なノドグロがギョロっとこちらを見ていたり、大きなウチワエビが鎮座していたり。。。お魚の顔はいくら見ていても見飽きません。

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お魚センターを出て、夕日公園に。デートの人気スポットになっているとか。海に沈む夕陽を恋人同士で眺めるのはさぞかしロマンティックなことでしょう。天候が良ければ夜はイカ釣り漁船の灯かりが海にずらっと並ぶそうで、石見のケンサキイカの美味しさは格別とのこと。うーん。烏賊好きの私としてはまた来なくては・・・。

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散策の合間に立ち寄った三隅のKAEDE GELATO。



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若者たちで大いに賑わっていました。KAEDE牧場のとれたて牛乳で作られるアイスクリームはコクがあり、栄養満点。珈琲ジェラートを美味しくいただきました。

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窓を眺めていると、その駐車場に別の牧場のトラックが駐車。なんとも大らかな風景でした。

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空港に着くと「現在雪雲が近づいており、飛行可能かどうかの天候調査中です。出発15分前まで天気の状態を見てから決定いたします」とのアナウンス。
しょげている私を見て、空港まで送ってくださった桑野さんが「大丈夫ですよ。もし飛行機が飛ばなかったら私が車で広島までお連れしますから」と優しく言ってくださいました。

けっきょく雪が降りだす前に飛行機が離陸。ギリギリセーフで
した。無事家に着き、食卓に「炙りわかめ」「エゴマ」「藻塩」「甘口たまり醤油」「煎り酒」など石見の品を広げました。

「煎り酒」は、お醤油より前から使われてきた日本古来の調味料。日本酒、塩梅、鰹節を煮詰めたものだそうです。身体に優しい自然な味わいに満ちていた江戸時代の食卓に想いを馳せました。

ディープな山陰の旅。お世話になりました みずほ楽器の皆様に御礼申し上げます。



yuko_hisamoto at 05:30|PermalinkComments(0) 久元 祐子・旅 | 味探訪

2018年02月12日

ショパン@島根

昨日は、島根浜田地区のピティナピアノステップが江津市総合市民センター(ミルキーウェイホール)
で開催され、120名以上の演奏を聴かせていただきました。キャパシティは702席。楽屋からは中庭が見え、開放感があります。凝ったデザインのホールでした。

自然に囲まれた毎日の中で、のびのびピアノに向かう子供たち、音楽の道に邁進している若き中学生、高校生たち、音楽と共に日々を重ねてこられた出場者のみなさんの熱演は、聴きごたえがありました。

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出場希望者が応募人数を上回り、出場できなかった方も30人以上おられたとか。長い歴史の中でピアノを学ぶ地盤がしっかりとできているように見受けられました。会場では、みずほ楽器のスタッフの皆さんが、司会、進行、表彰、写真撮影などすべてテキパキとしてくださり、無駄のない動き、細やかな心配りと時間配分に感服。

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夜は、ホテル松尾という由緒ある宿での懇親会。

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平成6年11月に天皇陛下と皇后陛下がご宿泊された静かなお部屋でのお食事と相成りました。

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広島の戸梶美穂先生、福岡の古賀未加緒先生、東京の桑原巌先生、みずほ楽器の桑野智子さんと静かな語らいのひととき。ホテル松尾では、一切BGMがかかっていません。無音の状態は、音楽関係の打ち上げで嬉しい限り。ピアノの演奏を一日中ずっと聴いたあとで、打ち上げ会場でもピアノのBGMが流れ続けている・・・なんてことが多いのですが、ピアノの音が鳴っているとそちらに耳が行ってしまい、会話は難しくなってしまいます。

美味しいお料理をゆったりと味わい、会話を楽しみ、初対面の先生方とピアノ談義を通じて交流させていただきました。

行ったことのない知らない土地のお話をお聞きしたり、若き日に鬼のような厳しい先生のレッスンを受けた話で盛り上がったり・・・。


一夜明けて朝10時からは、みずほ楽器4Fスタジオにおいてショパンのレクチャー&演奏。
ピアノの先生方がたくさんお集りくださり、満員御礼。スタジオというと密閉度が高く、閉塞感がある場所がほとんどですが、外光が入る明るく素敵な雰囲気の会場でした。終演後も熱心なピアノの先生方としばし色々なお話をさせていただいたあと、夕方の飛行機に乗るまでの間、浜田の街に繰り出しました。





















yuko_hisamoto at 23:24|PermalinkComments(0) 久元 祐子・講座 | ホール・音風景

2018年02月10日

浜田へ

大学の年度末試験やコース試験が全て終了し、ほっと一息。
担当した学生が演奏するのを聴くのは、自分が弾くより緊張する?!ひとときですが、皆頑張ってくれました。

今日は、羽田空港へ向かい、島根県への移動です。「萩・石見空港へ向けて出発!さあ、搭乗しよう!」と背中にバッグパックを背負ったとたん、ギョッとするアナウンスが耳に入りました。

「本日は、天候状況が悪く、見通しが悪い場合は、羽田空港に引き返すことをご了承くださいませ。」という「条件付き搭乗」なるものでした。

以前、青森に行く飛行機が大雨のせいで仙台に着陸し、電車で移動したことがありましたが、今回はどうやら雪のせいでも雨のせいでもなく「霧」のせいでした。けっきょく無事着陸できた瞬間、客席から大拍手!心配した分だけ喜びが大きい空の旅でした。

しかも空港のカウンターで益田駅までのタクシークーポンと益田駅から浜田駅までのJRチケットが手渡されました。合わせて1万円ほどにもなるのですが、飛行機で萩、石見空港に降り立ち、益田経由で浜田に向かう乗客に、浜田市が提供してくださっているサービスとのことでした。ありがたいやら申し訳ないやら、、、という気分で益田に向かいました。

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発車まで時間があったので、駅の横にある観光案内所に入り、おっとりとした優しいお姉さんとしばらくお話。以前、三隅に何度か演奏会で訪れたとき、毎回見せていただいた石見神楽のお面が飾ってありました。

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柿本人麻呂、雪舟に縁の益田。時間があれば人麻呂展望広場や雪舟庭園などにも足を延ばしたいところですが・・・。
「山陰線は1時間に1本です。絶対乗り遅れないように気を付けてくださいね。」という主催の方からのメールで、用心して早めに列車に乗り込みました。

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掲示板には、「スーパーまつかぜ」の横に「ワンマン」という文字が。「ワンマン号」っていったい何だろう?!と思っているところに、電車が到着。なんと可愛い一両編成です。そして運転手さん兼車掌さんの男性が一人ですべてをなさっておられます。中は市電のようなアットホームな雰囲気。進行方向左側に乗れば海が見えるはずなのですが、霧と夜の闇のため、まったく何も見えません。

そして三保三隅の駅で「反対方向の電車が遅れておりますので、しばらくお待ちください。」というアナウンス。反対方向の電車を何故待つ必要があるのだろう・・・と思った瞬間、「あ!そうか!単線だ!」と気づきました。

普段、中央線が遅れてイライラすることが多いのですが、今日は新鮮なことが多いせいか、ウキウキしてきて「じっくり待とう・・・」という気分に。


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以前、編集で大変お世話になったKさんと嬉しい再会。浜田の海の幸が並ぶ「具味」にて、旧交を温めました。感謝!

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鯖、鯵、ノドグロ、あわびなど、新鮮なお魚たち。。。

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山陰の夜が静かに更けていきました。


yuko_hisamoto at 23:31|PermalinkComments(0) 久元 祐子・旅 

2018年01月30日

武満徹:SONGS

武満徹さんのお名前を最初に知ったのは、音楽を志すよりずっと前の子供のころでした。
西洋占星術に凝っていて自分の誕生日のページをめくっていたとき、”10月8日生まれの有名人” の一人に「作曲家、武満徹」とあったのです。

その後、自宅のピアノの調律をしてくださっていた調律師、原田力男さんがプロデュースされる「零の会」などで、
武満さんの曲を多く拝聴しました。札幌で開催されたPMFの演奏会場でお姿を拝見したときには、そのオーラにしばし目が釘付けになった記憶があります。

芸大卒業後、10年間ほど作曲家、間宮芳生先生に師事し、現代曲も多く演奏しましたが、武満さんの「雨の樹 素描」などを演奏会で弾いたりするうちに、その独特の響きに神秘性を感じました。

最近では、武満さんの歌曲の伴奏をする機会がたびたびあります。「小さな空」は、親しい声楽家の方たちがレパートリーに取り入れておられ、様々な調で伴奏しています。

歌曲の場合、歌い手さんは、原調が自分の声に合わない場合、ご自分に合う調に移調して歌われます。手書きの譜面やフィナーレ・ソフトなどで作った移調譜を頂いて演奏会に向け、準備を進めます。その方がCDレコーディングまでされた曲であれば、移調楽譜に間違いはないだろう・・・と思って譜を読むのですが、移調をする方も人間ですので、ときにはちょっとした間違いがあるものです。タイが抜けていたり、ジャズっぽい複雑な和音のときに臨時記号が抜けていたり。

そんなとき指と耳に何となく違和感を感じて「?」と気づきます。理論ではなく、その作曲家の作品を聴いたり弾いたりする経験と記憶が無意識のうちに働くのかもしれません。作曲家の音と個性は、知らぬ間に、弾き手や聞き手に染み込んでいくのかもしれません。

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今回、あらためて武満さんの楽譜を手に取り、原典にかえってそれらの確認をするとともに、その美しい楽譜に魅せられました。

大竹伸朗さんの絵が曲の合間のページに散りばめられ、その絵からのインスピレーションと曲のイメージが溶け合い、楽曲をさらに魅力的にしています。1930年10月8日生まれの武満さんに対し、1955年10月8日生まれの大竹さん。これまたお二人が同じ誕生日なのです!

10月8日つながりの縁を感じながら紐解き、素敵な楽譜で大事に演奏していきたいと思っています。ところで
表紙にデザインされたたくさんの数字、、、、これがいったい何の数字なのかずっと考えているのですが、いまだにわかりません。

「音楽は数字の神秘である」ということで載せられている?!不思議なデザイン。この手書きの数字がどなたの手によるものなのか(もしかして武満さんご自身?!)、よく見ると混じっているアルファベットにどんな意味があるのか、気になって仕方ないのですが、いまだに謎です。

どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。







yuko_hisamoto at 18:11|PermalinkComments(0) 作曲家 

2018年01月28日

E-friends~世界に羽ばたく音楽家たち〜

モーツァルトの誕生日は1月27日。この時期ザルツブルクで開催されるモーツァルト音楽祭、毎年お誘いを頂くのですが、試験シーズンに重なり行くことができません。世界のモーツァルト・ファン、それぞれにモーツァルト時間を過ごされ、堪能されているようです。

先日収録したラジオ番組が1月27日放送になりました。
E-friends~世界に羽ばたく音楽家たち〜モーツァルト特集 FM kawaguchi です。

演奏を交えて、モーツァルトの鍵盤楽器についてお話しさせていただきました。

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チェンバロの2段鍵盤や、クラヴィコードの共有弦の話をラジオでというのはなかなか難しい。
一目瞭然のことも、耳だけの情報では、ややこしくなりがち・・・。きちんと伝わっていたら嬉しいのですが。

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パーソナリティの大須賀恵里さんは、高校の同級生。スーちゃん、ユーちゃんで呼び合う仲なので、賑やかで楽しい時間となりましたが、ワーワーキャーキャー言っているうちに、終わってしまった感も?!

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大須賀さんがラジオの仕事を始めた理由は、パリに留学中の息子さんに声を伝えるためだったとか。息子さんはじめ、ヨーロッパ各地の多くの楽友たちが聴いているのだそうです。それにしてもスマホでラジオ番組を世界中で聴ける、というのは知りませんでした。

リスラジ(Listen Radio)と検索し、無料アプリをダウンロード→全国のラジオ局からFM kawaguchi を選択。「お気に入り」に登録したらいつでも聴けます。

ちなみに、本日の話の後半は、2月3日の7時〜と23時〜〜、2月4日の7時〜と23時〜。計4回流れます。もしもお時間ありましたら、おつきあいくださいませ。



yuko_hisamoto at 14:03|PermalinkComments(2) モーツァルト 

2018年01月27日

卒業試験

試験シーズン到来。1月24日から27日までの4日間、卒業試験が講堂で行われました。
もともと点数で測ったり優劣をつけたりすることのできない「演奏」という世界に、結果としての点数をつけなければいけない苦しい季節でもあります。

今年の冬は雪が多く、講堂のまわりにもまだ溶けない氷や氷柱が・・・。
凍結した道を滑らないように、皆で注意しながら歩きました。

外の鎖に氷が張り付いて、毎日だんだん太くなっています。日光が当たっても気温が低いので氷が解けずに残っているのです。

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毎年、講堂で100人近い学生の演奏を聴き、あらためてピアノという楽器の不思議さを感じます。
同じ楽器を弾くのに、弾く人の数だけ音色が異なるのです。

驚くべき成熟度の高さを示し、音楽の持つ神秘性、精神性までも表現した演奏、
曲の美学と弾き手の個性がピタッとはまった爽快な演奏、
難曲に果敢に挑戦し、集中力とエネルギーで弾き切った学生・・・。

思わず大きな拍手で努力をたたえました。

演奏のあとのはじけた笑顔は、まぶしい限り。
色とりどりのドレスを着たまま寒風に肩をさらして皆で記念撮影する姿。
20代の元気な女子学生パワーには圧倒されます。

卒業試験はピリオドではなく、長いピアノ人生の道中では、むしろスタート地点と言えるかもしれません。
これからは、自らの考えと実力で進んでいくことになるでしょう。
大学で学んだ様々な知識、培った友情、感動の瞬間、積み重ねた経験、それらをさらに開花させてほしい、と願いながら講堂をあとにしました。

入学したと思ったら、もう卒業!
4年間って本当に速いですね。


yuko_hisamoto at 18:10|PermalinkComments(0) 国立音楽大学