2017年07月19日

日野原重明先生ご逝去

聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が、7月18日午前6時33分、105歳で天国に旅立たれました。

100歳を過ぎてなお現役のお医者様として患者さんに接し、講演に全国を飛び回られ、コンサートのプロデュースまでされる、という超人的な人生。10年先まで書き込める手帳を使い、毎年、初めての語学に取り組んでおられる、というお話をお聞きしたこともあります。

去年、お目にかからせていただいた折にも、大変お元気なご様子でしたので、未だにご逝去の報は、信じられない気持ちがしています。

「音楽は、身体の中に元気が満ちてくるから、長寿の源なんだよ。ピアノは、いい!エネルギーの波動を人に伝えることができる人生は最高だよ。頑張りなさい!」と励ましてくださいました。ハグしてくださった手の驚くべき力強さは、今も忘れられません。

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新しいことに挑戦するとき、躊躇する気持ちがおきそうになると、日野原先生のことを思い出すことにしています。
人生をいかに生きるべきか、命はどう生かすべきかのお手本を常に示してくださった日野原先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。



yuko_hisamoto at 20:19|PermalinkComments(0) 雑感 

2017年06月29日

ショパンとプレイエル・ピアノ@ららぽーとホール

横浜での演奏会を終えた翌日は、朝9時から夜の7時半まで国立音楽大学での授業とレッスン。今朝は、10時半からショパンの講座でした。

立川立飛の中にありますららぽーとホール。こけら落としでモーツァルト講座をさせていただきましたのが、昨年の秋。半年でピアノの音色もタッチもかなり柔らかくなっていました。

ご受講予定人数20人のはずが70人以上。熱心なピアノの先生方、学生さんとともにショパンにアプローチした2時間。お忙しい朝に、お集まりくださいました皆様に御礼申し上げます。

ダン・タイ・ソン氏やユリアンナ・アヴデーエワさんが、ショパン時代のエラール・ピアノでピアノ協奏曲をレコーディングしたり、ショパン・コンクール歴史的楽器部門が開催されるようになり、楽器への理解が求められる時代になりました。

ショパンが愛した楽器プレイエルは、エラールよりさらに繊細で柔らかな楽器です。ヴィルトゥオジティが求められるコンチェルトやコンクールのような場には不向きのピアノと言えるかもしれません。サロンでの演奏を好んだショパンが、息遣いの伝わる距離感で披露したプレイエルの音色。ピアノの詩人ショパンによって、サロンで生まれ、演奏された音楽を今日の講座では取り上げました。

ショパンの持つ歌心、複雑なハーモニー、ZAL(喪失感)と滅びの美学・・・。それらに寄り添ったプレイエル・ピアノ。そこから生まれた音楽を現代楽器で演奏する際、作品の美学に直結しているプレイエルの持つ柔らかな音色をどう再現するか、プレイエルを前提に記載されたペダル記号をどのように読み解くか、が問われます。

「ピアノ・テクニック」というと、速く、強く、というメカニックの面で捉えられがちですが、ショパンのテクニックは、いかに歌うか、いかに語るか、の技術と言えましょう。

宮地

今年8月1日、2日の国立音楽大学夏季講習会(社会人対象)では、ショパンを取り上げます。プレイエル・ピアノの音色を間近で聴いていただいたり、リニューアルした楽器学資料館で様々なピアノをご覧いただく予定です。昨年に続き、また皆様にお会いできますのを楽しみにしています。


yuko_hisamoto at 22:30|PermalinkComments(0) 久元 祐子・講座 | ピアノ演奏法

2017年06月27日

モーツァルト・ディスカバリー@神奈川県民ホール

6月27日、神奈川県民ホールで開催されました神奈川フィル・モーツァルト・ディスカバリーvol.2に出演させていただきました。

オープニングは、伊藤さんと連弾で4手のためのソナタK.358 第1楽章。
前半に、演奏を交えたレクチャーで綴る「若き日のモーツァルト」。
そして後半に、交響曲第33番K.319とピアノ協奏曲第9番K.271の演奏。

今回は、現代ピアノの演奏のほか、フォルテピアノ(シュタインモデル)を持ち込んだり、県民ホールのパイプオルガンを使ったり、、、と盛りだくさんのコンサートとなりました。

レクチャーでは、菊池美奈さん(ソプラノ)による「戴冠ミサ」の「アニュス・デイ」、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をオルガン伴奏で。そして「鳥よ、年ごとに」をフォルテピアノの伴奏で。

そしてかなフィルのコンサートマスター谷直人さん、首席第2ヴァイオリン奏者の小宮直さん、首席ヴィオラ奏者の大島亮さんがご協力くださり、コンチェルトの掛け合いの部分を取り出したり、メヌエットを室内楽的に演奏したり、「ジュノム」第2楽章とそっくりな息遣いの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」第2楽章冒頭を演奏していただいたり・・・。おかげさまで豪華なレクチャーになりました。

K284,K.309,K.310など青春時代の作品、そしてベーズレ書簡や、楽器製作家シュタインの工房を訪ねたときの手紙などの紹介を加え、さらにマエストロが交響曲をピアノで演奏しながら、モーツァルトの旋律の魅力を解説。

かなフィルの皆さん、伊藤翔さんと一緒のレクチャーコンサートも今回で3回目となり、平日のマチネにも拘わらず、満員のお客様がご来場くださり、有難いことでした。

「ジュノム」は、一瞬たりとも油断のできないスリリングな曲ですが、マダム・ジュナミに捧げたモーツァルトの力作の大胆さ、優雅さ、斬新さにあらためて感じ入り、今回の共演を通じて、多くの発見がありました。

かなフィル2017

かなフィルの皆様、ご来場の皆様、そしてモーツァルトの音楽に、心から感謝の一日でした。


yuko_hisamoto at 23:28|PermalinkComments(0) モーツァルト | 久元祐子コンサート

2017年06月14日

チェンバロの響き@深大寺

調布国際音楽祭2017の目玉公演の一つ、深大寺でのフランチェスコ・コルティ氏のチェンバロ・リサイタルに伺いました。

鈴木優人氏をエグゼクティブ・プロデューサーに迎えた調布音楽祭が、5回目の今年「国際」の文字が付き、外来アーティストを含めた大きな音楽祭に輪が広がったとのことでした。

深大寺の境内近くの「湧水」で深大寺蕎麦をいただいてから散策。しっとりとした緑が美しく、そよ風が心地よく、水車がゆっくりと回っています。風情ある深大寺の自然を満喫させていただきました。

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プログラムはイタリアものが中心。1段鍵盤のイタリアンチェンバロを使い(梅岡俊彦さんによる調律)、パレストリーナからフレスコバルディまで、クレモナの名手により、チェンバロ音楽の歴史を俯瞰する濃密な1時間でした。マックの「風変わりな協和音」、フレスコバルディの「不協和音のためのカプリッチョ」など音楽の潮流の中での縦糸、横糸が交錯し、不思議な音空間が広がりました。スカルラッティの「フォリア」、フレスコバルディの「パッサカリアによる100のパルティータ」など超絶技巧の曲を真近の距離から拝聴でき、手に汗握る臨場感でした。

普段入ることができない深大寺本堂を、音楽の演奏と愛好家の聴取のために開放してくださる温かなお人柄のご住職ご夫妻にもお目にかからせていただくことができ光栄なひとときでした。演奏前にご披露くださった「声明」は、本堂の空気を清め、そこに集まる人々の気が一つになる瞬間に感じました。この「声明」は、10月に浜離宮朝日ホールでの公演が予定されています。

それにしても見事な美しい本堂で、2本の和蝋燭の炎が揺らめく中で聴くチェンバロの音は、幻想的です。音が戯れ、揺蕩い、飛び跳ね、捻じれ、飛翔しながら宙に消えていく様が見えるようでした。

水の神である深沙大王をまつった深大寺が開かれたのは733年。平安時代に天台宗に改まり、現在に至ります。平成29年に、深大寺ご本尊の釈迦如来像(白鳳仏)が国宝に指定され、演奏会の後、そのお姿を拝見させていただきました。静かに微笑まれたお顔、そして凛とした優雅なお姿を拝ませていただき、最高の午後のひとときとなりました。


yuko_hisamoto at 23:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) コンサート鑑賞 | 雑感

2017年06月10日

装飾について

芸関連

藝術学関連学会連合 第12回公開シンポジウムが、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催され、
「東西の音楽にみる装飾」の発表の中で演奏を担当させていただきました。

藝術学関連学会連合は、15の学会からなり、毎年、東と西で交互にシンポジウムが行われてきたそうです。
今回、「装飾」というテーマでのシンポジウムに際し、デザイン都市神戸の歴史ある建物KIITOが選ばれたことは、嬉しいこと。KIITOには初めてお伺いさせていただきましたので、入り口前でまず記念撮影。

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藝術学関連学会連合会長、礒山雅先生のご挨拶に続き、3人の先生方の報告発表が行われました。意匠学会の川島洋一先生による「装飾と透明」、美学会の高安啓介先生による「無装飾から超装飾へ」、美術史学会の玉蟲敏子先生による「かざりと装飾〜日本美術からのアプローチ」。

普段、「装飾」というものを定義づけして深く考えることもないまま、自然に装飾音を弾いてきた私ですが、あらためて「装飾」についていろいろと考える貴重な機会となりました。

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本体の欠点を隠す装飾、本体の美しさを引き立てる装飾、本体を生気づける装飾、そして単なる飾りにとどまらず表現の本質にかかわる装飾、さらには装飾が本体を乗っ取った状態とも言える「超装飾」の世界まで、建築、美術など様々な世界での「装飾」について、興味深いお話が続きました。

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東西の音楽にみる装飾のコーナーでは、まず西洋音楽から。

礒山雅先生が、記譜法の発達と装飾について、モンテヴェルディの≪オルフェオ≫を例にご説明されました。発表の後半に、私がバッハのゴールドベルク変奏曲の「アリア」を装飾無し、装飾付きの両方で演奏し、続いてモーツァルトの装飾語法の優れた例として「ロンド イ短調 KV511」を弾かせていただきました。

モーツァルトの音楽においては、小さな音符で書かれた装飾音だけでなく、旋律の中の「装飾的な」音も多くあります。それらは、音楽の本質にかかわる要素であり、単なる「飾り」ではなく、決して切り離すことができない旋律の一部であることもあらためて実感しました。
 
東洋の発表は、東洋音楽学会の小日向英俊先生によるシタール演奏。自由に感興の赴くまま、即興で装飾が奏されていく様を実演してくださいました。

午後1時に始まった「21世紀、いま新たに装飾について考える」シンポジウムが終わったのが5時。今回お手伝いに来られていた神戸大学大学院の美女学生さん3人と一緒にほっと一息。

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多様な装飾について思いを巡らせた4時間でした。


yuko_hisamoto at 23:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 神戸 | モーツァルト

2017年06月06日

オルガンとのひととき

大学での授業を終え、横浜へ。

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「日本の道100選」の1つ、山下公園通りは、初夏の花が満開です。

夜は神奈川県民ホールのオルガンのリハーサルをさせて頂きました。

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3段の鍵盤それぞれをどのような音色にするか、会場の音響と曲のイメージと合わせて決めていく楽しい作業です。

敬虔な音、厳かな音色、華麗な響き、それぞれが曲想にはまる瞬間を見つけていきました。

「オルガンを弾く機会を逃さないように。」とは、シューマンの言葉です。曖昧なタッチを許さない厳格な楽器は、自分の技術の綻びや弱点を教えてくれます。

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夜8時過ぎからは、ソプラノの菊地美奈さんを交え「アヴェ・ヴェルム・コルプス」や戴冠式ミサから「神の子羊」のリハーサル。

シュタイン・モデルのフォルテピアノを置く位置をステージ上で決めたり、本番に向けての大事な仕込み時間を過ごすことが出来ました。

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オルガン、フォルテピアノ、現代のグランドピアノを使っての盛りだくさんプログラムとなります。

神奈川県民ホール改修工事のためクローズになる直前の演奏会です。横浜の皆様、モーツァルト愛好家の皆様、是非ご来場下さいませ。




yuko_hisamoto at 23:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ピアノ(楽器)について | ホール・音風景

2017年06月04日

神戸国際フルート音楽祭閉幕



爽やかな初夏の神戸に、美しいフルートの音色が溢れた「神戸国際フルート音楽祭」。

多くの市民の皆様のご尽力により、大きな成果を残して幕を閉じました。

6月3日神戸文化ホールで行われた「第9回神戸国際コンクール本選会」。多くの聴衆が詰めかけ、入場制限が出るほどの超満員!

優勝を2人が分けあう結果となりました。

第1位 エレーヌ・ブルゲさん
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第1位 ユ・ユアンさん
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4年前の第8回神戸国際フルートコンクール参加が、初めてのコンクール体験だったエレーヌさん。夢のよう!と語ってくれました。

拮抗した審査結果は以下のとおりです。

第3位 マリアンナ・ゾォナック
第3位 ハン・ヨジン
第3位 アンナ・コンドラシナ
第4位 秋元万由子
奨励賞 キム・ソヒョン
奨励賞 脇坂颯
オーディエンス賞 ハン・ヨジン

翌4日、厳粛な表彰式と入賞者記念演奏会のあとは、神戸財界の皆様主催のガラコンサート&祝賀パーティー晩餐会

ポートピアホールでオープニング演奏をさせて頂きました。

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スーパーキッズオーケストラ、県立西宮高校音楽科の皆さん、ソプラノの幸田浩子さんらの華やかなステージが続きました。

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入賞者の皆さん、審査員の先生方を招いての晩餐会は、大変な盛り上がりとなりました。

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この日まで紆余曲折の道を辿った神戸国際フルートコンクール。関係者の皆様と大成功の喜びを分かち合うひと夜となりました。








yuko_hisamoto at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 神戸 | ホール・音風景