週刊新社会連載 辛淑玉さんのコラム・たんこぶ『帰結点の違い』第529回 2018.04.24
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『帰結点の違い』
ドイツに来て一番受けたのは、「ニホンて中国のどこにあるの?」という質問だった。
ある友人は、ドイツ人から「モンゴルは日本の領土だったのになぁ…」と言われて「?」となり、「満州国」のことだと思い至るのに時間がかかったという。
私の周辺のドイツ人の日本観は、大きく二つに分けられる。中高年以上はハラキリサムライ、フジヤマ、ゲイシャにカミカゼだ。若い人はアニメとコスプレである。レストランの店長が、腕一面にマンガ「ワンピース」の入れ墨を彫っていたのには笑ってしまった。
彼らはそうやって日本文化を楽しみながらも「日本の女性像は歪んでいる」と指摘する。子ども顔にミニスカート、内股X脚で巨乳という、信じられないキャラが巷を席巻しているからだ。次いで、「日本の男は、愛の消費はしても与えることを知らない」と話は弾む。
ふと、日本人の友人が「日本の男でフェミニストは天皇くらい」とつぶやいた。そして、「天皇としての最後の公務が沖縄訪問だったことは嬉しい」と言った。この友人は、日本でいうところのリベラルである。私は、敗戦後の昭和天皇の最後の勅令で私たちは日本人から外されたこと、明仁夫妻が沖縄入りした3月27日は琉球処分(植民地化)の日で、翌28 日は与那国島に配備された陸上自衛隊の2周年記念日だと指摘した。
「天皇は利用されたのでは?」と言う友人に、「当事者は何としても『天皇家』を維持しようと必死なのでしょうね。反戦政治家安倍寛の支持者たちの子孫が今は安倍晋三を支えるように。まさに家制度」と言うと、沈黙が流れた。
この国を破滅させた最大の戦犯の子として生きるのは辛いことだろう。しかし、本当に過去を反省し、平和を望むのなら、明仁氏は少なくとも天皇になることを固辞すべきだった。ドイツの戦後世代は、ナチスに加担した親を徹底的に批判することからスタートした。愛があっても批判は可能なのだ。
今日も、戦争犯罪を告発し続けるテレビチャンネルで、嫌と言うほどナチスの犯罪が暴かれている。自国の罪から目をそらすのは許されないことを、ドイツ社会は教え続けている。
英治コメント:
1 明仁天皇と美智子さんが沖縄の旅に出発した3月27日は、「琉球処分の日」
明治政府による琉球藩設置から分島問題の終結までをいう。明治維新にともない、1872(明治5)年、明治政府は〈琉球国〉を廃して〈琉球藩〉とし、廃藩置県に向けて清国との冊封関係・通交を絶ち、明治の年号使用、藩王(国王)自ら上京することなどを再三迫った。が、琉球が従わなかったため、79年3月、処分官、松田道之が随員・警官・兵あわせて約600人を従えて来琉、武力的威圧のもとで、3月27日に首里城で廃藩置県を布達、首里城明け渡しを命じ、ここに事実上琉球王国は滅び、〈沖縄県〉となる。(出典:琉球新報2003年3月1日)
https://ryukyushimpo.jp/okinawa-dic/prentry-43391.html
2 1945年3月23日以来、米艦載機による沖縄本島に対する攻撃が活発となった。24日には沖縄本島南部沖合に米艦艇が目撃され、これ以降沖縄本島南部地区に対して艦砲射撃が開始された。沖縄第32軍はこの状況から、沖縄本島南部(湊川地区)への上陸を考慮、防御を担当する独立混成第44旅団の戦備の度を強化した。
27日からは本島全域(特に飛行場のある伊江島・嘉手納・読谷地区)に対して米艦載機が来襲した。
出典:米軍の上陸戦闘
http://www.okinawa-senshi.com/landing-new.htm
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