気軽に楽しく美しく

アンテイーク着物コレクターのYUKOが着物の女の写真を中心に、短・中編のお話や詩を組み合わせて織りなす、時限を超越した世界です。サブのコレクションページ「銘仙の時代の女」http://blog.livedoor.jp/yukononono-12/も合せてどうぞ。

 都を荒らしまわった酒呑童子と茨木童子が源頼光によって滅ぼされた後、大勢の女達が残った。
 それは全員が拐われてきたものであったが、長く鬼の気にさらされてきたものは、その性根が汚されており、その見た目は美しくとも心の根というか、なにやら大切なものが失われていると思われるものが多かった。 
 さても、懲する訳にもいかず、都へ返す算段をしていたところ、四天王の一人が頼光にどうも毛色が違う女がいると耳打ちした。

 女達が集められている岩屋へ赴けば、女達が我先に頼光に群がる。名のある鬼の一団を誅したなら今後の出世も見えようというものだ。女達の媚には苛立ちこそすれ、心にそよぐものはひとひらもない。
その中にその女がいた。

 顔立ちはそれなりに美しいのに、他の女達と違って華美でない小袖をまとい、やたらと媚をうることもしない。呼びたてると訝しい顔をしながら丁重に手をついた。 
「端女にも見えぬが、その成りはこの中では珍しいな。」頼光が言えば
「私は山のふもとの村の村長(むらおさ)の女房でございます。御姫様がたと同じように振る舞うことなどできませぬゆえ」
 背筋を伸ばして凛と答える姿はなるほど、毛色が違う。
「近隣のものか。では、姫がたのようにあれこれ手続きを踏む必要もないな。女房といったな。村に帰るがよいか。実は共に鬼を退治たものが、お前に心を寄せておる。鬼に拐われたなら、夫(つま)も諦めてもおろう。お前が良ければ話をしてみぬか?」
 女、平伏して言うには
 「夫はとうに亡くなりました。私の村が鬼にみまわれた時、夫は私を守ろうとして茨城さまの逆鱗に触れて。気が付いたら、私を守ろうと立ったそのままの姿で木の姿になっておりました。」
 女の頬を涙がぼろぼろと溢れる。
 「私も死にたかった。でも、舌を噛むなどいくら試みてもできぬ。鬼が殺してくれぬかと言うことには兎角あがらい、楯突きましたがなぜか殺してくれません。私は、命と引き換えに私を守ってくれた夫を裏切ることはできません。どうぞ、汚されたものとして成敗してくださいませ。自分で死ぬことはどうしてもできなかったのです。」
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 頼光は話半分と女に心を寄せる金時をつけて女を村へ送らせた。
 鬼に拐われた女の帰還を心から歓迎するものはあまりない。ましてや山の村では余計だろう。つめたくあしらわれれば気持ちが変わるだろうという意趣もあった。

 女は村に着くとまっすぐにかつて自分が住んでいたという家に向かう。その家は誰も継ぐものがおらぬらしく、風雨にさらされてぼろぼろになっていた。その小さくはない屋敷の中で迷いもなく女の足が向かったのは屋敷に負けずぼろぼろになった柱のように仁王立ちした男の木像の前。見上げた女の頬を幾筋も涙がつたう。

 「あなた。長いこと、待たせてすみません。会いとうございました・・・」
木像にすがって泣く女をなぐさめるすべはなかった。

 その後、女がどうなったかは伝えられていない。木像はその細やかな作りを評価され、幾つかの収集家の間を転売されたという。その木像も時の中で崩れ落ち、無くなった現在。仲の良い庄屋夫婦の魂が再び寄り添っていることを願う。

  *      *       *
この写真は2015年に関健一さんにより撮られたもので、それから内容をずっと温めてきましたがなかなかしっくりハマるシュチュエーションを思いつかずにおりました。
やっとできたと思ったけど、平安時代ってあまり資料がないんだよね。
細かい呼称に少々不安は残っておりますが、お友達の考古学の人とか、日本語教師さんとかから、愛のムチが飛んでくることを期待しております(^^;保存

春まだ浅き頃。
お世話になっている高田馬場の「染の高孝」さんにて、年に一度の贅沢、浴衣染体験をさせていただきました。
今回の私の希望は「龍」もどき(⌒-⌒; )
高橋先生に「わがままだな〜」と言われながらも、まずはお手本。

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 そうなの。こんな風にしたいの。んでね、色は青と緑でね・・・
 夢は広がる(笑)
 
 「まあ、好きなようにやってみなさい。」
 と、苦笑いの先生。

 「うっ、上手くいかないっ」と拗ねたり、「きゃあっ、動きすぎたっ!!」って叫んだり、大騒ぎをしながら色を落とし、形を作る。
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 あたりまえだけど、先生のようにはいかないよぉ。
 でも、たくさん教えていただいて、なんとか自分のイメージに近い形になりました。

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 それを布に写して、乾かして定着させて。反物にしたのが、これ(^^)
 仕立てができてきました。ちょうど、「染の高孝」さんで、染体験と落語のイベントをするそうなので、その時おろそうと思ってますo(^▽^)o

染体験と落語イベントはこちら
えへへへへ、楽しみぃ〜
着姿はその日に追加で掲載しますね(^^)

保存

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愛したい。
私は人生を愛したい。

死ねばいいのにと親に言われ続けた幼少期。
生きていていいのかと何度も自問自答した学童期。
全てが裏目にしか出ないように見えるのはなぜかと泣いた青春時代。

その時には見えなかった支えてくれる人に支えられて生きてきた。
幼少期には痩せこけた私を見るに見かけてご飯を食べさせてくれた近所のおばあさん。
学童期にはあまった給食のパンをくれた給食のおばさん。
「食べられる野草」の本を「いいからもっておいき」と言ってくれた古本屋のおばさん。

ネグレクトに折れかける私を支えてくれたのは行きずりの不良のお姉さんだった。
古着をくれて、不良のお豆にしてくれて、あまった食べ物をくれた。
生きていれば笑える時もあるんだと教えてくれた。

間違った結婚に悩む私を支えてくれたのは
神様が間違った性別を与えたことに悩む人だった。
支えられるだけでなく支え合う幸せを彼女が教えてくれた。

崩した体調と、凹んだ精神状態で、落ちている今の私だけど
思い返せば馬鹿だねと思う。

帰る家がある。
食べるものがある。
必要としてくれる人がいて
愛してくれる人もいる。

凹むことはあるけど
後ろを向くのはやめにしよう。
後ろを向きそうになったら助けて、って叫ぼう。
その言葉に反応してくれるひとを、私はもっているのだから。
探せば、光がある限り、きっと私はすすんでいける。

写真は関健一さん。
本人の意思とは関係なく、流されてたどり着いたその場所でも、光を見いだすことができるかもしれないと。あえて花魁の写真を選ばせていただきました。
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