2013年01月30日 00:30
孝行椅子
この椅子のキャッチコピーです。ある歌舞伎役者が年老いた母のくつろぎの為に椅子のデザインを依頼した・・・。
その優しいコンセプトとデザイナーの優しい人柄が表れた、デザインチェアの傑作です。
1960年にデザインされて以来、今もなお多くの人に愛され続けている名作家具・低座椅子。
「畳の上でも違和感なく使えて、ゆったりくつろげるイスが欲しい・・・」そんな明治生まれの母の願いをかなえるため、先代の松本幸四郎氏が当代一流の建築研究所（坂倉準三建築研究所）に依頼。
その答えがこのイス。
高さは普通のイスの約半分。
足を投げ出しても、胡坐をかいても座れ、無理なく自然に立ち上がれる。
自分も座らせてもらいましたが、実に快適な椅子でした。
椅子はどんなにカッコよくても、座り心地が良くなければ椅子たり得ません。早晩、片付けられるか手荷物置き台になるのが精々でしょう。
このバタフライ・スツールも見た目以上に座り心地はいいです。
パリのルーブル美術館、ニューヨークの近代美術館など、著名な美術館に収集されている名作チェアだけあります。
柳 宗理（やなぎそうり）デザインの椅子です。
彼は一時期、坂倉準三建築研究所の研究員でもあり、当時輸出工芸指導官として来日していたシャルロット・ペリアンの日本視察に同行もしています。
と言うことは、意外と山形県に縁がある人物というわけで、現在も彼のデザインした椅子は山形で作られ続けているのです。
ここは(株)天童木工。山形県天童市に本社工場があり、トヨタ（レクサス）やホンダの本木目パネル、ウッドステアリングも手がける家具メーカーです。
ショールームにお邪魔してみました。
出来れば工場見学をしたいところですが、ショールームもなかなか面白く、意外と多くの見学客の来訪がある人気スポットのようです。
木材は切ったり削ったりの加工は容易でしょうが、自在に曲げると言うわけにはなかなかいきません。秋田県大館市の特産品である「大館曲げわっぱ」も職人さんの高度な伝統技術があればこそでしょう。
それも最近は良質な天然秋田杉の入手が困難になっているとかで、自由に曲げるという加工はより難しいものになってきているかも知れません。
(株)天童木工はそうした木材の成形加工を得意としている企業のようで、こんなモノまで木材で作ってしまっていました。
