2020年01月15日

昨年11月はベルリンの壁崩壊から30年が経過した年でした。30年前の1989年(平成元年)といえば、私は医師免許を取得し社会人1年目になった年です。東西冷戦、鉄のカーテンなどという言葉はどこかで聞いたことがあったものの、あまり興味も無かったことは否めません。
ところで先日、須賀しのぶさんの「革命前夜」という小説を読みました。 このベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ(当時)の状況を、日本からピアノ留学をしている男子留学生の姿を通しながら描いた小説です。久しぶりに圧倒的に面白い小説に出会ったというのが正直な感想です。社会主義国家の怖さを背景に所々にクラシック音楽、特にピアノとバイオリンの名曲が言葉で見事に表現され、青春時代独特のほのかな甘い香りに加えてミステリー感も合わさったすごい小説でした。本題からはずれるのですが、小説中に登場するフランクのバイオリンソナタ第4楽章は、以前宮本笑里さんのコンサート会場で購入したCDに収録されていた曲で、私のお気に入りの一曲です。久しぶりながら初めて文字で表現されたこの曲に今回出会い、今も私の脳裏から美しいメロディーが離れません(笑)。
思えば私の大好きなミュージカルの多くは、激動の世界史を背景にしたものが多くあります。例えば東西冷戦と関係する代表作では、ベトナム戦争時代を描いた”ミスサイゴン”があります。今まではその音楽や俳優さん達の演技、歌声の素晴らしさだけに魅了されてきましたが、これからはその作品の時代背景についてもっと知りたいと思うようになりました。”ミスサイゴン”なんかは、アメリカ兵とベトナムの少女の単なる恋愛ドラマではないんですよね。作品の背景には重い歴史が秘められている!このブログでも今後このような視点からミュージカルというものを見つめ直し、音楽、歴史、そしてそこに私の専門である医学をからめて思うところをいろいろ書いてみたいと思っています。
IMG_3936D



ゆめクリ院長yumeclinic at 21:48