August 06, 2006

リバティーン

リバティーン1










リバティーン・公式サイト
http://www.libertine.jp/

1660年代のロンドンに実在した貴族にして破天荒な詩人ジョン・ウィルモット第2代ロチェスター伯爵(1647-1680)の破滅的な生涯を描いたイギリス映画です。
脚本を渡され、冒頭の3行を読んだだけでジョニーが出演を即決したという「リバティーン」。先月調布まで見に行ってきたので、その感想です。
以下ネタばれしていますので未見の方はご注意ください。

ジョニー・デップの主演映画にしては、いやにマイナー扱いされているような気がします。たしかに退廃的で暗い印象の映画ではあるけれど、これはジョニーファンならずとも一見の価値は充分にある歴史映画でした。
ロンドンの泥沼のような汚い道や当時の情景、衣装なども雰囲気がよく出ています。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」で、今さらのブレイク中のジョニー・デップですが、本当に彼のコスチューム姿は美しくて、特筆すべき素敵さでした。

17世紀のイギリス、スチュアート朝3代目の王チャールズ2世(1630-85、在位1660-85)の治世。
その才能と美貌でチャールズ2世はじめ貴族、庶民、娼婦から愛されながらも、男女見境なしのセックスと酒に溺れ、アル中と梅毒のために33歳の短い生涯を駆け抜けた伝説の詩人ジョン・ウィルモット。
どこかとぼけた味がある王さまチャールズ2世のジョン・マルコヴィッチ、ジョン・ウィルモットに演技指導され大根俳優から最後はジョンを乗り越え大女優になっていくエリザベス・バリー役のサマンサ・モートン、ジョンの妻役のロザムンド・パイクがそれぞれ素晴らしくよかったです。
王様はじめ、みんなそれぞれ喰えないところがある人物で、英語での演技力をどうこう言うほどの見る眼は私にはないけれど、それでもサマンサ・モートンが女優に開眼していく過程の演技とか、様々な場面で見応えがありました。

やがて梅毒の症状が進行し、鼻の形が崩れ、片目は潰れ、セックスどころか歩くこともままならなくなったジョンが、椅子に座ったまま失禁するところは衝撃的でした。ジョニー・デップはやるといったらやります。といった覚悟さえ感じる壮絶なシーンでした。
このシーンでジョンを愛しながら浮気と病気に泣かされる妻も、ただおとなしく泣いているだけじゃなく、泣きながら、夫を罵りながら、しっかり存在感のある女性という感じが良く出てました。

リバティーン=自由人・放蕩者ですが、映画館でもらったパンフには「インモラルな人生を送る人。常に欲望を求め、特に性的な行為に喜びを探す人」とわざわざ説明書きされていました。
この映画ではジョン・ウィルモット自身、奔放で破滅的な性格ではあるけれど、決して悪辣な人間ではなくてどちらかといったら性格はけっこう甘ったれで面倒見のいい人。

史実の本人は死の床で淫らな生涯を悔やみ改心して亡くなったといいますが、何度も宮廷を追われながらその度すぐに許され、散々浮気しながらも愛され続け、最後は妻に看取られながら息を引き取ったんだから良かったじゃないの、と私は思わないでもない終わり方でした。

※ちなみにこの映画の時代。
チャールズ2世はピューリタン革命で議会に破れ海外へ亡命した後1660年に帰国。ちょうどこの映画の背景では国王の親カトリック的な言動が議会に不信感を与えていて、弟のカトリック信奉者ジェームズ2世(即位まではヨーク公)への王位継承権問題が起こっていた頃。ジェームズ2世はチャールズ2世の死後に即位するが、やがて名誉革命が起きフランスへ亡命した。

リバティーン2











映画の中のエピソードにもある「ロチェスター伯と猿の絵」




yumeria at 21:10│Comments(0)TrackBack(9)clip!映画 

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1. リバティーン  [ Kinetic Vision ]   August 17, 2006 22:27
モノクロームの映像の中でロチェスターが口上を述べる場面はすばらしい。低くささやくような官能的な声で挑発的な言葉を次々に繰り出して、観客に「私を好きになるな」と警告するジョニー・デップの眼は悲しげに見える。この警告????р
2. リバティーン  [ 映画/DVD/感想レビュー 色即是空日記+α ]   August 17, 2006 23:36
『The Libertine』 2005年 イギリス 監督:ローレンス・ダンモ...
3. リバティーン  [ シェイクで乾杯! ]   August 18, 2006 00:09
3 初めに断っておく。諸君は私を好きになるまい どうか私を好きにならないでくれ・・・・・ 冒頭、美しい顔のジョニー・デップ演ずるロチェスター伯爵がこう語りかける。
4. リバティーン/The Libertine  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   August 18, 2006 00:25
「どうか私を好きにならないでくれ....。」 なんて言ちゃって、一体どんなナルシストなんだ〜。 と観たいリストに入れてはいたものの、 きっと眠くなるような作品なんだろうなーと気合いをいれて、 期待もしないで観たら。。。 なかなかつまらなかった(笑 どうつまらないか...
5. 『リバティーン』  [ 映像と音は言葉にできないけれど ]   August 18, 2006 06:21
今日は下ネタ映画の日なのか『寝ずの番』に続いて隠語を躊躇いも無く字幕にぶつけています。しかし映画の中ではジョニー・デップ演じるロチェスターの才能を盾にした行動が恥じらいを超えてクールに表現されているので淫猥な不快感覚はありませんでした。
6. リバティーン  [ Aのムビりまっ!!!(映画って最高☆) ]   August 18, 2006 09:22
    評価:★3点(満点10点) 監督:ローレンス・ダンモア 主演:ジョニー・デップ サマンサ・モートン ジョン・マルコヴィッチ 2004年 110min 1660年代。王政復古のイギリス。この頃は科学技術や芸術が 急激に発達し、性の自由に対....
7. リバティーン  [ 日々映画三昧 ]   August 18, 2006 11:18
オフィシャルサイト → リバティーン 17世紀、王政復古のイギリス。追放されていたある男が、恩赦を受けてロンドンへと戻ってきた。ジョン・ウィルモットことロチェスター伯爵である〈
8. リバティーン  [ 映画鑑賞★日記・・・ ]   August 18, 2006 11:58
公開:2006/04/08(2006.04.08鑑賞)監督:ローレンス・ダンモア音楽:マイケル・ナイマン出演:ジョニー・デップ     サマンサ・モートン    ジョン・マルコヴィッチ    ロザムンド・パイク 1660年代、王政復古のイギリス。国王の親族が居並ぶ大事な宴の...
9. リバティーン(先行上映)  [ カリスマ映画論 ]   August 21, 2006 00:03
【映画的カリスマ指数】★★★☆☆  奔放がゆえの孤独、絢爛がゆえの闇  

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