b8b198e7.jpg注目の女性監督瀬田なつき、長編デビュー作。サラリーマンと少女のありそうでないロードムービーとそこで見る風景は・・・

『彼方からの手紙』（０８日本）

＜監督＞瀬田なつき
＜出演＞スズキ ジュンペイ、朝倉 あき、三村 恭代 他

吉永（スズキジュンペイ）が働く不動産屋に訪れた少女（浅倉あき）は、分不相応な物件を案内してほしいと頼む。適当にあしらった吉永は、翌日会社を思わずさぼって、橋の上でたたずんでいるところに少女と再会。

しつこくついてくる少女といるうちに、どこかへ行きたくなった吉永は、彼女の頼みで、彼女の父親がかつて住んでいた家を目指すことになるのだったが・・・

不動産の営業マン、かわいい彼女もいて何不自由ないように見える吉永と、突然現れた少女とのちょっと不思議で切ないロードムービー。

　何気なく会社をさぼったその日に吉永に起こった色々な出来事。さえない平凡な毎日がひっくりがえるような、そうなってほしいと願っているのではと思うような、もしかしたらまったく何も考えないでなるようになれと思っているかのようなある家へのドライブ。

　少女におじさんと言われながらも、兄と妹のようにじゃれあいながら、二人がたどりついた家は、摩訶不思議な空間。
　窓の外には魚が泳いでいるようでもあり、そこで再生したホームビデオから流れてくる自分が望んでいるのかどうかわからない近未来の姿、幻想のように沸き起こる音楽、未来の自分・・・何が夢か現実か分からないような旅の終点は、新しい現実への出発ともなります。

　何事もなかったかのように、それぞれの現実に戻る二人。それでも現実から逃げだそうとした短い旅路はきっと心の中に残るハズ。

　ライトで自然体な感覚の中に、初々しさと切なさが重なる作品。
関西では『大阪アジアン映画祭2009』にて、３月１５日（日）１６：２０〜『彼方からの手紙』が上映されます（終演後、瀬田なつみ監督との質疑応答あり）。

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