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今年の大阪ヨーロッパ映画祭来日ゲストの一組目は、シネフィルならずとも感嘆の声を上げたくなる古今東西の450本のフィルムを使って男女の物語を紡いだ『ファイナル・カット』のジョルジ・パールフィ監督、ジョーフィア・ルットカイさん(脚本)。10年前からずっとご夫婦で映画制作をされており、仲の良さは折紙つき。背が高くてスタイリッシュなナイスカップルです。

張り切ってインタビューをしたら、ちょっとした事件が・・・。通訳の方が間に合わず、急きょその場にいる大阪ヨーロッパ映画祭のスタッフ(みなさん語学堪能♪)が代役を務めることに。でも、語学ができるのと通訳できるのとは別の才能、特に映画は作品を観ていなければかなり難しい部分もあり、最終的には広報Nさんがお忙しい中この難役を買って出てくださいました。
みんなで、ああでもない、こうでもないと言いながら、訳していただいた苦労の結晶インタビューでしたが、それもまた映画祭ならではの楽しい思い出。私ももっと英語でのコミュニケーション能力をアップしなきゃ!映画を観た方も、観ていない方も、究極のリサイクル映画(とご本人たちがおっしゃっていた)の舞台裏をご覧ください。

━━━本作を作ろうとした動機、きっかけは?
ジョルジ・パールフィ監督(以下パールフィ):1895年12月リュミエール兄弟によるシネマトグラフィが誕生してから、1995年で映画が100年を迎え、ハンガリーの月刊誌が100周年を祝うのに一番いいアイデアを募集し、今までの映画をまとめて新しい映画を作るという案が出ました。ただ、その時点では技術面の問題があり、コンピューターの動きは遅いし、ハードディスクの容量は小さく、DVDの品質も悪かったので、誰もその案を実行することはできませんでした。そのまま時が経ち、4年前に4本目となる映画を作りたいと思ったのですが、資金が足りなかったのです。資金をかけずに映画を作ることを考えたとき、95年に出たアイデアを思いだし、チャレンジしてみようと思いました。

━━━国の文化振興の一環として作ったのですか?
パールフィ:ハンガリーでは映画を作って映画祭や国内上映で成功を収めると、次回作への資金の一部を提供してくれる制度があります。前作『タクシデルミア』の成功でハンガリー政府より700万円の資金をもらったのですが、それだけでは新しい映画は撮れません。映画の歴史から新しい映画を作ることでポストプロダクションができました。

━━━これだけの登場人物やシーンを交えながら、一つのラブストーリーのようにみせる構成にするのに脚本の力も非常に大きかったと思いますが、どのように脚本を組み立てていったのですか?
ジョーフィア・ルットカイさん(以下ルットカイ):今回男性と女性の登場人物がおり、男性に関しては毎分変わる300人の俳優の顔を一つのキャラクターとして組み立てている訳ですが、それが本当に成り立つかどうか不安でした。最初に編集が1年をかけて準備をし、実際にシーンを繋げてみて、それがストーリーとして成り立つのか見ました。私たちにとってもゲームのようなもので、第三、第四の人物が登場させることができるのか分からなかったのです。

━━━これで映画として成立すると思ったのはいつ頃ですか?
パールフィ:編集をはじめて1年かかりましたが、このやり方で映画が成立するならもっと大きなストーリーを組み立てられると確信できました。

━━━膨大な映画の中からどういうプロセスで作品やシーンを選んでいったのですか?
パールフィ:最初に作品を作るためのデジタル素材が必要だったので、オフィス隣のDVDストアで2000〜3000本の映画リストから500本選びました。男と女が登場するロマンチックな作品にしたかったので、まずその中からロマンチックな映画を選び、次に映画の長い歴史の中で重要な作品を選び、そして自分の好きな映画を選びました。
ルットカイ:大体作品が出来上がった後で、特別なシーンが映っている作品を選んでいきました。例えば女性が電話で「私、妊娠したの」と言おうとするシーンでは、作品にこだわらず、そのセリフがある映画を選びました。

━━━編集の妙に驚かされましたが、どれぐらい時間がかかりましたか?また、どういった点を重視したのでしょうか?
ルットカイ:普通の映画だと感情移入は簡単ですが、本作は登場人物の顔がコロコロ変わるので、観客がどういう風にすれば悲しみや喜びへの感情移入がしやすいかに気を配りました。
パールフィ:私にとってこういう編集方法で何かを伝えることが重要でした。今まで作られた、ただ単に旧作をコラージュした短編映画のような作品にはしたくなかったのです。映画として一つの物語であること、感情を持った作品になるよう意識して作っていきました。一番最初は、たくさんの顔で一つの人格を描くことができるかどうかが重要で、それができると分かると、次には小さな一つの物語が成り立つか、そして一つの映画全体が成り立つかを重要視しました。更には新しい登場人物を持ってきて、観客が理解できるかと物語の枠を広げていきました。全てができるまで3年かかりましたね。

━━━2002年の『ハックル』よりご夫婦で監督・脚本をてがけておられますが、お二人が10年にも渡って一緒に創作活動を続けていられる秘訣は?
パールフィ:私たち二人の性格が一致していることが第一です。
ルットカイ:私たちにとって大きなキャリアや、いい家族であることよりも、今みたいに自由に仕事に打ち込める状況がいいのだと思います。
パールフィ:僕は大きなキャリアも必要だけどね(笑)。

<シネルフレ掲載>

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