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本日3日(木)より大阪ニコンサロンで始まった沖縄出身の報道カメラマン、石川文洋写真展「戦争と平和・ベトナムの50年」。
午前中に行われたセミナー室での会見の後、展示されている写真と一緒に、石川さんを撮らせてほしいとお願いし、キャメラを向ける。よく考えてみれば、カメラマンの方を撮るのは初めて。笑顔で映ってくださった写真もあるのだけれど、じっとこちらを見据える目をされたとき、ドキュメンタリー映画『石川文洋を旅する』のラストで雪の中じっとこちらを見つめる文洋さんの目と重なった。まるで、しっかり伝えてほしいという願いが響いてくるよう。ファインダー越しにみつめられる目の力を感じた。

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この写真展では、映画で紹介された写真(64-68アメリカ従軍カメラマンとしてベトナム戦争を取材)をはじめ、以降何度も訪れているベトナム戦争、戦争後現在にいたるまでの写真が展示されている。

ラストカットで登場するじっとみつめる瞳が印象的な少女ソーちゃんの写真。この写真展で、文洋さんは戦後ソーちゃんを何度も訪ね、彼女が戦争の傷からどう立ち直っていったのか取材をきっかけにした交流が続いていることを知る。

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文洋さんが「カメラ視点は民間人に向けられている。被害者の立場に立って報道している。カメラマンは心に感じたものに対してシャッターを押すもの。私の場合は民間人に自然とカメラが向いてしまう」と語っている。確かに、従軍カメラマンとして最前線で戦闘を撮りながらも、戦禍の中の民衆に対する眼差しを感じる写真の多さが印象的だ。

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最前線で撮影している文洋さんを護衛してくれたアメリカ兵が目の前で撃たれることもよくあったという。戦争は個人の意志ではどうにもできない、もっと大きな力が働いている。戦争は手加減しない。他にも韓国が集団自衛権を行使し、ベトナム戦争に送り込んだ兵士の写真もあったが、そこには5099人が戦死と書かれていた。「沖縄もベトナムも軍隊があったから地上戦で多くの民間人が犠牲になった。軍隊があるから戦争が起こる。基地があるから標的になる。軍隊は戦争の抑制力にならない。軍隊はいらない」幾多の戦場を目の当たりにしてきた文洋さんの一貫した主張だ。これ以上説得力のある言葉はない。

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ベトナム戦争だけが最前線で自由に取材できたという文洋さん。ベトナム戦争の写真を見れば全ての戦争が理解できると語る一方、「日本は戦争の総括をしていないから、戦争を知らない。戦争は風化するので次の世代に教えていかなければならない。写真も含めて色々なものを観て、想像力を養っていかなければならないが、日本ではそういう教育がない。沖縄問題が盛り上がらないのは、報道されないからだ」と戦争に対する記憶が薄れていく一方の現在の日本人に対する重要なメッセージも語られた。

ドキュメンタリー映画でご自身が取りあげられることについては「非常に光栄なこと。作品の出来については、自分のことはわからないが、沖縄の旧友からは『(映画を観て)久しぶりに泣いちゃったよ』と電話をもらった。この映画で一人でも多くの人にベトナムや沖縄のことを伝えることができればうれしい」。

今でも沖縄、ベトナム、他様々な取材を独自で続けている文洋さん。自腹を切ってでもやり続ける強い意志の中には「なんとしてでも次世代に戦争のことを伝えなければ」という決意がみなぎっている。飄々とし、「しゃべるのはあまり・・・」とおっしゃりながらも、一つの質問に対し、次から次へと話がこぼれてくる本当に心よく、気さくで、惹きつける人柄にも触れることができたのも非常にうれしかった。そして戦争を知る石川文洋さんの写真と語りは、ここのところ日本で起こっている出来事に対する自分なりの明確な意思が間違っていなかったことを確認させてもらった気がする。

ニコンサロン特別展「戦争と平和・ベトナムの50年 石川文洋写真展」は16日(水)まで 詳細はコチラ

ドキュメンタリー映画『石川文洋を旅する』 公式サイトはコチラ