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 (撮影 深野弘之さん)

 

魔法の筆を使う房仙先生は、魔法使い。

私たちは、魔法使いの弟子。

 

◆魔法の筆

◆「啐」と「啄」

***


◆魔法の筆

 

鉛筆でもサインペンでもない、一本の筆。

ふさふさとした筆の穂に、硯の海から墨の液をふくませると、細い線や太い線、まっすぐな線やまあるい線、小さな点や大きな点が、跳ねたり飛んだり進んだり、歌うように奏でるように、白い半紙の上に表れていく。


***
 

房仙会で、一番長く、房仙先生のご指導を受けている、三島本校の斉藤嘉美さんが、房仙先生との出逢いのエピソードを教えてくれた。

嘉美さんは、小学2年生だったそうだ。

 

~私が一番初めに房仙先生のお稽古に伺っての感想は、房仙先生が書いていらっしゃる筆に釘付けになり、魔法の筆だと思いました。

 

それから、子供ながらに毎回違うお洋服を着ていらっしゃり、房仙先生はどれだけ沢山の衣装をお持ちなのか?と思っていました。

 

上級生が下級生の面倒を見るのは、今も昔も変わらず、居心地の良い環境を作って下さいました~

(平成30年10月12日 浜田えみなのフェスブック投稿へコメントより)

 

〈魔法の筆〉って、なんて素敵な言葉なのだろう。

 

魔法の筆を使う房仙先生は、魔法使い。

私たちは、魔法使いの弟子。

 

書いても書いても、うまくいかず、半紙に向かうのが、つらいときもあるけれど、自分が今、手にしているものが、〈魔法の筆〉だとしたら。

 

子どものころに観たアニメーションのように、筆の先からキラキラと、魔法の粉が飛び出しているとしたら。


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私たちは、魔法使いの弟子。

この筆で、社会をよりよくするための魔法をつかう。


そう思うと、練習が少し楽しくなる。

 

◆「啐」と「啄」

(そつ:生れ出ようとする雛が内側から卵の殻をつつくこと)

(たく:そのときすかさず卵の殻を親鳥が外から破ること)

 

フェイスブックを閲覧していると、魔法レベルのひらめきや気づきをもらえる投稿に出会うことがある。

 

房仙会のおひざ元、三島本校を牽引する〈魔法使いの弟子〉のひとり、菊地加奈子さんが10月13日に投稿された【啐啄同時~殻を破るには】がそうだった。

 

言葉や文章のおもしろいところは、同じものを読んでも、響く箇所やインスパイアされるものが、人それぞれちがうということだ。

 

香奈子さんは、房仙先生に薦められた『白隠禅との出逢い』(松下宗伯著)の中の、「啐啄同時」という言葉から感じたことを、タイトルからもわかるように、〈殻を破る〉ということに主眼を置き、殻を破る時機や、殻を破るために必要な熱量が、どのようなもので、どのような時にマックスに達するのかについて、魅惑的で歯切れよい語り口で、読み手それぞれのブレイクスルーへと、いざなっていた。

 

昇級昇段試験に向けて、房仙先生、光孝先生の懇親のご指導に応え、生徒も必死に、朝からぶっ通しで突き抜けるお稽古についてゆき、各自が家で課題に向きあっている今だからこそ、それぞれの心に浮かび上がる情景がある。

タイムリーな香奈子さんの投稿には、たくさんのコメントが寄せられていた。

 

そして、この投稿に私が反応したのは、〈殻を破る時機〉でもなく、〈殻を破る行為〉でもなく、〈殻を破るエネルギー〉でもなく、

 

〈殻を破る順番〉

 

だった。

 

(雛が先!)

(殻を破りたいと合図するのは、殻の中にいる雛のほうから!)

 

それは、からだの奥から、勇気が湧いてくるようなエールだった。


房仙先生からのミッションは、いつも突然、準備ができていないときに、無謀に降ってくるように思えてならなかった。

そうではなくて、先に殻をつついていたのは、自分のほうだったのだ。

 

肉体や思考は、何かと理由をつけて、しりごみをする。

けれど、魂は、全身全霊で

 

(やりたい!)

 

と叫んでいる。

魂の「啐」を受けとって、先生は「啄」をしてくださっている。

 

生れたい!

殻を破りたい!

 

その声は、雛のほうから、発信している。

 

(自分の声を、信じて)

 

香奈子さんから、そんなエールを受け取った気がした。

 

「啐」が先。

それを受けて「啄」


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                  〈かきたいの〉


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                  〈うれしいの〉


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                  〈だいすきなの〉
       

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                 〈さいこうなの〉

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                 〈かくことって〉

 


浜田えみな
(撮影 すべて深谷弘之さん)

 

***

 

菊地香奈子さんの投稿全文(平成30年10月13日のフェイスブックの投稿より)

 

【啐啄同時~殻を破るには】

 

房仙先生におすすめ頂いた

『白隠禅との出会い』松下宗柏著を

読んでいます。

 

 興味深い言葉に出会いました。

 

皆さんは『啐啄同時(そったくどうじ)』と

 いう言葉を知ってますか?

※「そっ」は口偏に卒です。

 

鳥がヒナをかえす時、親鳥が卵をあたためて、内側からヒナがクチバシで

殻をつっつきます。

 

それに応じて親鳥は外側から殻をつっついて

 ヒナがかえること。

 

禅宗では、「啐啄の機」を大切にするそうです。

 

著者の松下氏は、三島の龍澤寺で修行され、

 鈴木宗忠老師に「雲水修行は十年じゃな」と

言われた由。

 

心の中で「えっ、十年!」と叫んでしまったと書かれています。

 

ああ、これは書道と似ている、

というか、ほぼ同じだなと思いました。

 

書道でも師範になるには、一般的に十年二十年かかるのはざら。

 

ところが、房仙先生は独自に編み出した

房仙流指導法で

 

師範をどんどん誕生させています。

 

最速の方は約5年余りで・・・(驚愕!)。

 

他所から「在り得ない!」と言われたとか。

 

『啐啄同時』の景色に似て、

 

先生は、書道の基本を指導。

→卵をあたためる。外側から殻をつっつく

 

生徒が記憶し反復練習。

→内側から殻をつっつく。

 

そして“機が熟す”のを待つ。

 

人により、タイミングは異なる。

 

ヒナがかえりたいのを察する親鳥の如く、

 

先生は、ドンピシャのタイミングで、

 引き上げてくださる。

 

そこには先生と同じくらいの熱量も

必要とされる。

 

生徒側の熱量は、向上心・真剣さ、

そして感謝をもって取り組んだときに上がるのではなかろうか。

 

そうしなければ卵の殻は破れない。

 

私は今年、準師範試験に挑戦させて

 いただきます。

 

課題は多いのですが、作品を仕上げるのと

同時に

 

色々まとってしまっている

『殻』を打ち破ることができたらいいなと

 そんな風に考えています。

 

コツコツ、殻をつっつく。

さあ、書くぞ!

 

房仙先生、ご指導よろしくお願いいたします。

 

***