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(撮影 中川吉右衛門 以下N)
 

それは、自分のための行動から、人のためへの行動へと、意識を変えることだ。

今を生きる行動から、未来を創る行動へ。


意識と行動が変わることで、土を変えることができる。

 

身を投じて、次の世代のために行動することで、土壌を変えていくことができる。

まずは、家庭、地域、職場、そして、日本。世界。地球。

 

たとえ、自分の代では難しいことでも、幾世代か先に、必ず志がつながるように。

「松下村塾」のようでありたいという、福田房仙の志に添うように。

 

◆結界

◆福田房仙からの挨拶

◆揮毫

◆おもてなしの心

◆どうでもいい

◆師匠を正解に

◆時間の作り方

◆種用の畑

 

***


◆結界


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(撮影 梶 益見 以下K)
 

会場となる十六畳の和室には、四隅とそのあいだを埋めるように、長押に沿って、福田房仙が半紙に揮った漢字一文字が、いくつも掲げられている。目をやれば、庭に面した縁側の天井にも。

 

揮われているのは、「天」「日」「月」「光」「風」「虹」「雲」「龍」「鶴」「金」「平舎」……などの文字で、墨だけではなく、金で書かれたものや、カラフルな色がつけてあるものもあった。
近づいてよく見ると、半紙の後ろには竹で骨組みが施され、それらは全て「凧」だとわかった。

風を受け、高く空に舞いあがる、凧。

 

この場所は、守られている。

 

結界のようだと感じた。

 

◆福田房仙からの挨拶

 

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(撮影 K)

あらためまして、あけましておめでとうございます。

ぐるーっと見渡したこちら側にいる人たちは、全員、房仙会の生徒です。

 

房仙会の生徒がわくわくするおまつりがこれから始まるのですが、そのときに、房仙会の生徒だけがいても、まったく盛り上がらないと思います。

 

おかげさまで房仙会以外の、生徒じゃない方たちが、これだけ多く集まっていただいて、本当にありがとうございます。

 

ここから、房仙会が新たな形で始まります。

 

みなさまの影響で、どうなるか、まったくまっ白けの、まっ透明の房仙会で、ここから、みなさまの力で色をつけていただくわけですが、せいいっぱい、房仙会一同がんばりますので、応援よろしくお願いいたします。


◆揮毫


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(撮影 N)

筆文字の凧による結界。

挨拶と表明の声による祓い。

トークショーでの笑いによる祓い。

クラビオーラの音色による祓い。

揮毫による、祓い。

 

どんどん場が浄められていく。

 

敷かれた赤い毛氈。

重ねる青い毛氈。

 

白い和紙は、聖域だと感じた。

 
その上に降り立てるのは、福田房仙、ただひとり。

 

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(撮影 N)

一メートルも離れていないような場所に控えていると、墨をたっぷりとふくんだ、大きな筆の穂先の、一本ずつの毛の流れまでもがくっきりと視える。

その動きを目で追っていると、いつしか、自分の身体に、筆の呼吸が宿るような気がした。

 

墨をふくんだ筆は、アサガオのつぼみに似ている。筆の動きは、つぼみの開花のようだ。

 

ねじれ、ほどけ、ゆるみ、たわみ、ねじれ、ほどけ、ゆるみ、たわみ…… そのくりかえしの中で、つぼみから、息を呑む墨の軌跡が、白い和紙の上に表れていく。

 

咲きそうで咲かない、そのリズムの高まりは、陣痛のようだと思った。

 

結界と赤と青の毛氈に護られた白い聖域の中で、福田房仙を介し、筆を介し、墨を介し、つながり、ほどけ、ひらき、生まれるもの。

 

360度全方向に操られ、舞い、白い和紙の上で、その証である墨の軌跡がぶつかりあう筆の動きを追いながら、生きることは摩擦だと、強く思う。

 

摩擦によって、磨かれていく。

いのちが、ふきこまれ、輝いていく。

 
クラビオーラの音色は、いのちをふきこむ吐息のかたちをしていると、聴くたびに感じる。

折重由美子さんは、いつも、とても楽しそうだ。

 
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(撮影 N)

平舎が、喜んでいる。

 
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(撮影 K)

風(折重由美子さんの楽曲『風の贈り物』の演奏とともに)

ゆき(子どもが知っている曲をというリクエストで、『雪やこんこ』の演奏とともに)

さら しおり(女の子たちの名前 名前を書いてもらって、うれしそう)

開口笑(大きく口をあけて笑う)

百祥(今年、たくさんの幸せが訪れるよう。百の幸せ、お百姓さんにかけて)

上を向いてあるこう(『上を向いて歩こう』の演奏とともに)

夢(平沼広之さんの熱唱のあとに)

***

 

師匠の揮毫をしっかり記録しようと、デジタルカメラとメモ帳で、ワイドパンツのポケットをふくらませてスタンバイしていると、急きょ、スタッフとして、揮毫の場に臨場させていただくことになった。

 

何が起こるかわからないのが房仙流。

 

以前の私なら、大勢のお客様が見守る神聖な揮毫の場に、打ち合わせも練習もなしに、一度も経験したことのない「紙出し」をやってくださいと言われても、とてもできなかったと思う。

技術的にはもとより、メンタル的に。

 

このとき、さほど動揺することなく、事態を受けとれたのは、昨年の4月から房仙流書道で、〈脳力〉を鍛えられてきたからだと思う。

 

房仙会では、先生からの予想もしないミッションは日常茶飯事。しかも瞬時に遂行しなければならず、そのミッションには必ずそうすることが必要とされる理由があった。

 

今回、私に与えられ、期待されているのは、上手に紙出しをすることではなく、間近で先生の揮毫を感じて、その体験を文章で表現して伝えることであり、メモやカメラに頼らず、肉眼でしっかり視て、感じたものを記憶して伝えることだと、わかったからだ。

 

◆おもてなしの心

 

〈おでむかえ〉

 

大阪の枚方市に住む私は、朝、家を出て、京都駅から新幹線に乗り、品川で山手線に乗りかえ、池袋で降りた。

事前に、詳しい案内をいただいていたので、プリントアウトした地図を片手に目印を探し、

 

(曲がるのはあの角だ)

 

と目安をつけたそのとき、思いもしなかった光景が目に飛び込んできた。

 

「房仙会まつり」と書いた案内板を掲げた、スーツ姿の若い男性が立っている!

 

不慣れな土地での心細さが吹き飛び、うれしさと安心感で、胸がいっぱいになった。

まさか、お出迎えの人が出てくださっているとは思わなかった。

急いで、駆け寄って、挨拶をする。


そこから横道に入ると、房仙会まつり会場である平舎は、すでに見えているのに、その短い道に、さらにもう一人。

笑顔で出迎えてくれ、スーツケースを運びます、などと、声をかけてくれた。

 

いつからお出迎えをしているのだろう。

外で立っているのは寒くてつらいと思うのに、二人は、房仙会まつりに来場されるお客様へのホスピタリティ精神にあふれている。

 

会場を超えて、房仙会まつりが始まっている。

 

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(撮影 K)

〈おしるこ・漬物・干し柿・お茶〉

 

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(撮影 K)

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(撮影 K)

12時からの開催のため、房仙会一同の挨拶のあと、皆様には、メインイベントの前に、軽食を召し上がっていただくことになっていた。

 

東京校代表の深野弘之が、フェイスブックにその想いを投稿していたので、転載する。

 

~お汁粉とお漬物と干し柿。個人的には年末年始とお疲れ様の胃腸にとって、ちょっとホッとする品揃えかと思って考えました。

 

お汁粉の餅は中川吉右衛門さんに紹介してもらった彼のもち米の師匠、金沢の橋詰さんから送っていただいたもち米を当日搗き、あんこは御座候の十勝小豆を使った限定品、そしてトッピングで千葉陽平さんの蕎麦の実を茹でたものをパラリと。ほっこりと滋味深いおいしさ。

 

 漬物は中川吉右衛門の実母、中川和江さんの熟練の手作り品。「大根のビール漬け、赤身大根のキパワーソルトあさ漬け、白菜の重ね漬け、山形の青菜漬け」の4種。旨すぎる!という言葉で唸るしかない味。

 

 干し柿は長野県下伊那の農家、木下剛さんが作る無燻蒸の市田柿。その食感、口どけ、一口食べるごとに甘美です~


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 (撮影 O)


お茶は、二十二のカラダによいものをブレンドした、静岡県三島市にある漢方薬局 心音道の健康茶が朝から煮出され、皆様に飲んでいただいた。

 

〈大抽選会〉


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(撮影 K) 

食事をしていただきながら、米子校の原田幸代さんのご厚意で用意された鬼太郎グッズや、全国いのちの食育書道展記念のレアグッズなどの大抽選会が開催された。

 

〈トークショー〉

 
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(撮影 岡田 耕一 以下O)

東京校代表 深野弘之がフェイスブックに投稿した文章が、やっぱり、とてもよく表現されているので、転載する。

 

~食事の後はトークショーを企画し、房仙先生、東京校の一生徒でもあり医学博士の池川明先生、山形から無農薬・無肥料を実践する農家、中川 吉右衛門さんと千葉 陽平さん、三島で心音道を営む福田道穂さんの5人に登壇していただき、房仙会、そして房仙先生のここまでの道のりを振り返りつつ、心のあり方、未来のことなど、熱く楽しく語ってもらいました。房仙先生は時折、予期せぬ聴衆に向けても突然マイクを向けるので、聞いている方もドキドキしつつ真剣に耳を傾ける。これがいいですね♪~

 

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(撮影 O)

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(撮影 K) 

◆どうでもいい


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(撮影 O)

トークショーは、とにかく、笑いに満ちていた。

登壇している五人も、客席も、笑ってばかりいた。


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吉右衛門さんと陽平さんのことを、房仙先生は息子だとおっしゃっている。

道穂さんは、実の息子なので、息子三人が勢ぞろいだ。


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(撮影 O)

母親と息子三人という最強メンバーの中で、舵取りをまかされた池川先生の奮闘。

〈笑いは究極の祓い〉と言われているように、笑って笑って、さらに場が祓われていく。


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 (撮影 O)


「どうでもいい」

 

と最初に言ったのは、吉右衛門さんだった。

〈農を通じて、食を通じて、何を伝えたいかということを、よく訊かれる。前は伝えたいと思っていたが、どうでもよくなってきた。どうでもいい、ぼくが見せてあげる〉

 

そのような趣旨のことを、吉右衛門さんが言うと、池川先生が乗ってきた。

 

「お産もそう! みんな、いいお産とか言うけど、お産に、いいお産も悪いお産もないんです!」

 

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(撮影 O)

本当に、そのとおりだ。お産はお産。いのちが生まれてくる、ただ一度の瞬間。

いいも悪いも、あるはずがない。

 

池川先生が質問した。

 

「房仙会はこれからどのように?」

 

房仙先生が答えた。

 

「どうでもいいですね」


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(撮影 O)
 

◆師匠を正解に


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 (撮影 O)


吉右衛門さんが話していた「師匠を正解に」という言葉が心に残っている。

最近は、そのことだけを思っている。

 

たとえば、小さいころの夢なんて、どうでもいい。

今となっては、もう化石のようだ。

 

でも、房仙先生を正解にしたいと思ったら、多くの人に証明できる〈かたち〉が必要なので、どうでもいいというわけにはいかないと、感じている。

 

〈師匠を正解に〉

 

生徒の多くが、そのことを考えているのではないかと思う。


師匠は〈生徒が輝くため〉に動き、生徒は〈師匠を正解にするため〉に動く。

それが、房仙会の姿だと感じている。

 

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(撮影 N)

平沼広行さんの熱唱のあと、揮毫で、最後に先生が書いたのは「夢」という字だった。

その文字は、羽化を待つばかりの、大きなサナギのようにみえた。

 

◆時間の作り方


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(撮影 O)

陽平さんが話していたことも、心に残っている。

 

米沢校が開校したことにより、米沢の人たちの生活の中に、書道が入ってきた。

誰もが、やるべきことを抱えている。

 

そのなかで、どうやって時間をつくるか。

今までの自分の生活を変えて、どう書道をするか。

 

書道をやるために、時間の作り方を考えるようになった と、話していた。

 

また、陽平さんは、トマトとナスの生きざまを見たいと思い、ずっと置いていたらどうなるのだろう? と、収穫せず放置していたら、奥さんが怒ったと、笑っていた。


トマトとナスは、そのあとどうなったのか、続きが聴きたくてしかたなかった。

 

◆種用の畑

 

二次会では、自由な歓談と、ひとりずつ前に出て、思いを発表する場が設けられていた。


終了後、三次会に残る人をのぞき、興奮さめやらぬ、清々しい思いを胸に、それぞれ、平舎から帰途につく。

池袋で、地下鉄に乗る人と別れ、山手線の進行方向で別れ、最後に、陽平さんと二人になった。

私には、どうしても知りたいことがあった。

 

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(撮影 鈴木 良子)

「陽平さん、トークショーでお話されていた、トマトとナス、収穫しないまま放置したら、そのあとどうなったんですか?」

「自然のままです。土に還っていくんです。土から生まれたものは、土に還っていく」

「……」

「実ったあと、種をつくり、種を落とすと、土に還り、次の世代の養分になるんです」

 

思い出した。

食べている野菜は、花が咲く前に収穫される。種ができる前に収穫されているのだ。

 

「いいものができたら、売ると金になるけど、売らずに、種用の畑に移すんです。すると、土が変わるんです」

「土が変わる?」

「いい種をつくる土になるんです」

 

吉右衛門さんも、陽平さんも、無農薬無肥料の農法で作物を育てている。

無農薬無肥料とは、作物や土に本来そなわっている力を引き出し、高めていく農法だと感じた。

 

種用の畑には、次世代への使命と、いのちの循環があるのだと思う。

 

種は、土に護られ、土がたくわえた養分を吸収して、根を張り、芽を出し、成長し、実ったあとは、次の世代のための種をつくり、その種を土におとすと、身を投じて土に還り、種の成長のための肥料になる。

 

身を投じるという言葉が、農業で、こんなに実感できるとは。

 

陽平さんの言葉を聴きながら、房仙会は〈種用の畑〉のようなものかもしれないと思った。

 

〈収穫用の畑から種用の畑へ〉

 

それは、自分のための行動から、人のためへの行動へと、意識を変えることだ。

今を生きる行動から、未来を創る行動。


意識と行動が変わることで、土を変えることができる。

 

身を投じて、次の世代のために行動することで、土壌を変えていくことができる。

まずは、家庭、地域、職場、そして、日本。世界。地球。

 

たとえ、自分の代では難しいことでも、幾世代か先に、必ず志がつながるように。

「松下村塾」のようでありたいという、房仙先生の志に添うように。

 

房仙会で学ぶからには、自分は種用の畑に選ばれた野菜だという自覚を持って、行動すると決めた。

 

私たちが変わることで、房仙先生の御指導が変わる。

いつも、先生から熱量をいただくだけでなく、私たちが熱量をあげることで、革命を起こす。

 

まだ、2019年が始まったばかりだと思えないほど、濃密な時間が流れている。

 

浜田えみな

 

「第一回 房仙会まつり」

 

まだまだ、書いていないことが山盛りです。いつまででも書いていたい。

尽きない想いが沸騰していますが、いったん、投稿します。

 

房仙先生のブログには、開始前の裏方の作業の様子がたくさん掲載されています。→ ★★★

1月27日には、米沢で雪上揮毫が行われます。

 

今年も、房仙会 元気です!

 

(※ブログの構成上、揮毫のことから書いていますが、実際は、トークショーの後に行われています)